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アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー ★★★


アベンジャーズ / インフィニティ・ウォー (オリジナル・サウンドトラック)


10年という時間がもたらす感情のうねり


 それは正に”水を打ったよう”だった。エンドロールを迎える頃、劇場にはビッグバジェット映画ではあり得ないほどの冷たい空気と喪失感に包まれていた。ある劇場ではすすり泣く声が聞こえたとも。恐らくこのような状態は全世界のあらゆる館内で起きた事象だろう。そして、このような事象や特異な感情は二度とない体験だなと私は感じたのである。




*****以下、ネタばれ注意*****




 映画において、サプライズな展開というものはビッグバジェットでもよくあることだ。例えばスター・ウォーズで、ルークの父親が実はダースベイダーだったというのは映画史に残るビッグサプライズである。「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」で明かされるそれは、当時にしても相当な衝撃だったようだ。

 「ヒーローや世界の住人が半分消えて終わる」これもスター・ウォーズに並ぶ程のインパクトではないだろうか。そして決定的に違うのは”時間”である。スター・ウォーズが公開されたのは1977年、その3年後に帝国の逆襲が公開されてのサプライズ、つまり3年間想っていたキャラクターや相関関係が崩れることへの衝撃だったわけだ。

 「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」マーベル・シネマティック・ユニバースの場合は10年である。10年費やした、世界・人物・関係が一気に崩れ消滅するのだ。他の映画と大きく異なるのはその連続性にあり、マーベルの場合は毎年映画を製作したために感情や世界を常に観客が覚えていたことにある。

 例えば、何十年ぶりの続編で登場人物が消失する、またはジャスティスリーグのように、プロジェクト発足から3,4年くらいで同じように消失、ということがあっても今回のような感情は起こらなかっただろう。それほど、マーベル映画は10年という途方もない歳月をかけエンタメカルチャーの中心と観客の心を掴んだのである。

 そのような意味でも、今回の「世界の半分喪失」という展開及び劇場での空気間は、私の人生でも二度と起きえない映画体験だった。昨今のヒーロー映画乱立に異論を唱える声もある(私もたまにそう思ったりするが…)が、今までにない感情のうねりを引き出したことは事実であり、このようなプロジェクトに巻き込まれた、いち映画ファンとしてマーベルには素直に感謝したい。


■■関連作品■■
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キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー ★★★
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スパイダーマン/ホームカミング ★★


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劇場内から「えっ!!」と声が漏れる


 もう一度観たい、アクションシーンがない。アメコミヒーロー映画になにを求めるかは人それぞれである。キャラクター、ストーリー、映像、様々ではあるが私としては、そのヒーローの特長を活かしたアクションシーンが重要なファクターであると思う。「ダークナイト」におけるバットポッドでのチェイスや「ワンダーウーマン」でのノーマンズランドでのシーンだ。そのように考えると「スパイダーマン/ホームカミング」では、映画の象徴ともいえるスーパーなアクションはなかったように思えた。

 中盤での真っ二つに裂けるフェリーのシーンがフレッシュではあるが、もう一度観たい、と唸る出来には至っていない。お馴染みの摩天楼スイングを多用しなかったのも2回目のリブート作品であるが故に、既視感が強いと判断したからだろう。「親愛なる隣人」がキャッチフレーズのため、全世界レベルの脅威ではなく自分の街を救うヒーローのスパイダーマン、彼の素早くトリッキーな動きとスイングを活かしたアクションを観たいものだ。




*****以下、ネタばれ注意*****




 ホームカミングではアクションシーンよりも、どちらかといえば人間ドラマに重きを置いており、さながら学園ドラマものだ。また、映画館内で観客の誰かが「えっ!!」と思わず声を漏らしてしまったのが、バルチャーの正体が明らかになった場面である。想いを寄せるリズの自宅玄関を開けると、そこにはマイケル・キートンが。全く予想しない流れとリズムだったので、作品内のみならず劇場の空気を正に一変させた展開である。その後のホームカミングパーティーへ向かう車内でのやりとりこそが、今作で一番の見所となった。マイケル・キートン怖ぇー、大人怖ぇー、とトム・ホランドに肩入れしながらビクビクと鑑賞したものだ。


■■関連作品■■
キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー ★★★
アメイジング・スパイダーマン ★★
アメイジング・スパイダーマン2 ★★

ダンケルク ★★★

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「監督」 らしさかクリエイトか


 「ダンケルク」を鑑賞した直後の感覚は「ゾディアック」を鑑賞した直後のそれに似ていた。私はデヴィッド・フィンチャー監督が好きで「セブン」や「ファイト・クラブ」にかなり傾倒していた時期があった。そんなフィンチャー監督の当時の最新作「ゾディアック」を鑑賞した時に、それまで多用していた、カット割りの速いスタイリッシュな映像や、ひねりの効いた展開がなく、過去に起きた実際の事件を淡々と追っていく内容に失望してしまったのである。

 「ダンケルク」を観ようと思う要因にクリストファー・ノーラン監督の新作だから、という人も少なくはないはずだ。ノーラン監督といえば「メメント」「ダークナイト」「インセプション」等、独自のルールがあるフィクションの世界をCGに頼らず出来る限り実物で撮影し、あたかもこの現実と地続きにその世界が存在するように見せる映像と、その圧倒的な世界で起きる物語のツイストやフェイク、時間軸を入れ替える構成に、比類ない刺激と魅力があるのだと思う。

 では今作はどうか。まず監督が初めて史実に基づいた題材を扱ったこと、また物語がキャラクターで転がす展開ではなく、状況のみで進める展開となっている点でノーラン監督らしさどころか、通常の映画でもあまりない構成となっている。「ゼロ・グラビティ」も近い気がするが、このようなビッグバジェットで、全くキャラクターに移入させず全編に渡ってのタイムサスペンスは異例中の異例だ。空想の世界の中で起こるツイストばかりをノーランに求めてよいのだろうか。クリエイターでもある映画監督は、やはり新しいものも追求しなければならない。

 初見時は失望した「ゾディアック」を公開から随分後に観返した際、「なんと面白い映画なのか!!」と考えが一変したことがあった。そしてその魅力を、当時分からなかった自分を恥じたりしたものだ。もしかしたら「ダンケルク」もそうなる可能性があるかもしれない。しかし劇場から一歩足を踏み出した際のあの感覚を、あえてここに記そうと思う。


■■関連作品■■
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