レヴェナント/蘇えりし者 ★★★


レヴェナント:蘇えりし者(2枚組)[4K ULTRA HD + Blu-ray]


フラットな気持ちで作品を鑑賞できるか。


 レオナルド・ディカプリオの物語にも見える。これまでアカデミー賞に4度ノミネートされながら、オスカー像を手にすることができなかった彼は、いよいよ自らを極限状態にまで追い詰める。死の淵からの生還を、大自然と共に本能のままスクリーンに投影したのだ。時に生魚・生肉を貪り、裸体で馬の体内に入り込む等々…「体を張る」という表現を超え「演技」を超え、生きるために無意識に動く瞬間を映像に残した、そんな印象だった。

 しかし正直に言えば、「悲願のアカデミー賞主演男優賞なるか!?」という映画とはかけ離れた外部要因が、時にヒュー・グラスをディカプリオに見せてしまったと思えなくもない。どんなに過酷な撮影をしようが、生肉を喰らおうが、「全てはオスカーのため」と見えてしまっては意味がない。勿論、本人もそのつもりは毛頭ないだろうが、そのようなことが劇中、頭をよぎったのも事実である。

 そのような意味では、フィッツジェラルドを演じたトム・ハーディの方が自然体で違和感なくキャラクターに没入できていたように思えた。どのような振る舞いをしても「オスカーのため」と捉えられてしまうのは、若い頃より常に第一線で注目されたハリウッドスターならではの苦労だと思う。しかし私はこうも思った。「レヴェナント/蘇えりし者」により、ついにアカデミー主演男優賞に輝いたレオナルド・ディカプリオは自らに纏わりついた足枷をようやく外せるのでは、ということだ。

 本人も観客も余計な雑念やプレッシャーがなくなり、作品選びを含め次回作以降こそがレオナルド・ディカプリオの自由な演技が観れるのではないだろうか。「レヴェナント」は自然と共生し死の淵から甦る男の物語だった。それに準えて今後の彼の活躍が心から楽しみである。


■■関連作品■■
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) ★★★★
インセプション ★★★★
ウルフ・オブ・ウォールストリート ★★
ブラッド・ダイアモンド ★★★


スーサイド・スクワッド ★


スーサイド・スクワッド エクステンデッド・エディション ブルーレイセット(初回仕様/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]


why so serious?


 「またDCは…」と思った。DCエクステンデッド・ユニバースの作品は「マン・オブ・スティール」「バットマンvsスーパーマン/ジャスティスの誕生」に続き3作目となるが、いつまで経っても失敗から学ばないなと。マーベル作品の優秀さと比べ、この燻った感じが、むしろ愛おしく思える程である。

 「スーサイド・スクワッド」最大の失敗は「ぶれたこと」だ。そもそもDCエクステンデッド・ユニバースの世界観やコンセプトは、ダークナイトトリロジーに準えた重厚でリアルなもの。そのため「マン・オブ~」も「バットマンvs~」も驚くほどユーモアが少なく、ヒーローの存在意義を問う比較的重たい内容に仕上がっている。そのような路線で行くのであれば、今作のデヴィッド・エアー監督起用というのも納得がいくものだ。

 しかしである。本作最初の特報時にはダークな内容に観えたのだが、それ以降の予告編では急にポップなものとなり、本編完成版でも、どちらかといえば軽いノリのものとなっていた。一説では「バットマンvs~」評価が芳ばしくなかった為、途中で編集や演出を変えたともいわれている。

 この突然の路線変更がもろに作品の構造を悪くしている。軽くポップなノリなのに主な舞台は夜で暗い。稀代の悪の集団のはずが微妙に良い面があり、はちゃめちゃ感が皆無。編集のせいか時間軸やキャラクターの行動原理が分かり難い。敵対するボスの魅力の無さ等々…良い素材なのに全部ミキサーで混ぜ、香辛料を加え過ぎた結果、よく分からない味の料理となる、正に「バットマンvs~」の失敗を繰り返しているのだ。

 救いはマーゴット・ロビー演じるハーレイ・クインだ。思えば「バットマンvs~」の救いもワンダーウーマンだった。これら女性キャラクターがいなかったらDCユニバースは完全に沈没していただろう。


■■関連作品■■
バットマンvsスーパーマン/ジャスティスの誕生 ★★
ダークナイト ★★★★★
ダークナイト ライジング ★★★★

☆ 2016年中に観た映画ベスト3 ☆

☆ 2016年中に観た映画ベスト3 ☆

 今年はマイホームの土地がようやく決まり、現在、建設中の状態です。今、住んでいる賃貸のアパートは狭くそれ故に、自宅での映画鑑賞の機会も減っていました。新しい家ではわずかながらでも、自分のスペースを確保出来たことから、2017年はもう少し映画鑑賞が出来るかなと期待してみたり。なにか空いているスペースに映画のポスター等が飾れたらなぁと考えてみたり。そんな2016年に鑑賞した映画からベスト3をセレクトしました。


☆2016年初めて観た映画でのベスト3

1. サウルの息子 ★★★★
2. フレンチアルプスで起きたこと ★★★★
3. マジカル・ガール ★★★★



サウルの息子 [Blu-ray]


 1位は「サウルの息子」。この作品で強く感じたのは、”伝える”ということだ。同胞の死体処理をさせられるゾンダーコマンドの想像絶する体験は、主人公の背中を通じ観客にダイレクトに伝わってくる。これまでのホロコーストを扱った作品と異なり、物語を全体ではなく1人の主観に絞ったことが、あまりに無残な光景と史実をより強調する結果となっていた。このような悲劇を繰り返さないよう、映画として後世に伝えることは、エンターテイメントを超えた映画メディアのもうひとつの役割といえる。



フレンチアルプスで起きたこと [DVD]


 2位は「フレンチアルプスで起きたこと」。現実に起こりうるちょっとした出来事で、それまでのパートナーを不信に思いだす怖さを描いている。劇中では不可抗力である雪崩によって、文字通り夫婦関係が崩れていくのだ。高級リゾート地を舞台に繰り広げられる、ミステリーのような緊迫感も見所である。今年観た「さざなみ」も1通の手紙から夫婦の気持ちが揺らぐ様を見事に描いていた。



マジカル・ガール [Blu-ray]


 3位は「マジカル・ガール」。物語がどのように展開していくか全く読めない、変化球映画。ただし画面の構図や演出が丁寧で、ドロドロした内容なのにどこか気品を感じる不思議な作品だった。何が起きているのか見せないことが1番怖いのである。


☆2017年期待の映画☆





・ラ・ラ・ランド

 「セッション」のデミアン・チャゼル監督の最新作。前評判が高く予告編からも映像美が伝わってくるものだ。ミュージカル映画は苦手だが、ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンのダンスを見ていたら何か惹き込まれるものがあった。アカデミー賞を総なめするのは間違いなさそうである。

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