2012年04月17日 (火) | 編集 |
![]() | おとなのけんか (初回生産限定リバーシブル・ジャケット仕様) [Blu-ray] (2012/07/11) ジョディ・フォスター、ケイト・ウィンスレット 他 映画の詳細を見る |
映画の原題は「CARNAGE」。舞台の原題は「God of Carnage」直訳すると「大虐殺」「殺戮の神」といったところか。これを邦題は「おとなのけんか」として劇場公開。「大人の喧嘩」と漢字表記ではなく、平仮名表記であることが劇中の登場人物達の大人気なさ、展開を皮肉っぽく表していて、大変良いタイトルだと感じた。原題をも超えそうなセンスの良さである。
「おとなのけんか」その文字通り、本編の内容は大人4人の口喧嘩である。しかも上映時間の79分を、アパートの1室で時間軸を飛び越えることなくリアルタイムで行っている為、正に目の前でその喧嘩を観戦しているかのよう。これをロマン・ポランスキー監督、出演ジョディ・フォスター、ジョン・C・ライリー、クリストフ・ヴァルツ、ケイト・ウィンスレットで行うのだから何とも贅沢な喧嘩観戦(笑)ではないか。
リアルタイムで物語が進行することや、密室劇・会話メインの内容、人物の動きは制限され、一歩間違えば退屈な内容になってしまう制約だらけの物語。しかしそこは傑作舞台劇、寸分の飽きを覚えることなく最後まで鑑賞できる。
*****以下、ネタばれ注意*****
興味深いのは映画の構造にはっきりとした起承転結が存在せず、4人それぞれの不満を積み上げているだけということ。本来は子供同士の喧嘩の和解の話合いのはずが、いつしか夫婦問題、仕事、子育て、世界の惨状と会話がスパイラル状に膨らむ。さらにお互いの夫婦間の争いが、それぞれの夫婦間の戦い、男女間での戦いと対戦カードを変化させ、議論は平行線を辿り、驚くことに”平行線のまま終わる”という着地点がまた面白い。理性を壊された同士の”おとなのけんか”は”子供の喧嘩”とは違い、そう簡単には終わらないのである。
ひたすらに続く不満の連鎖を飽きさせなかった要因は電話にある。ひとつの話題のやりとりを終えた丁度良いところで電話→次の話題という演出が巧い。大きな場面転換としては、嘔吐・携帯電話の水没が挙げられる。勿論、4人の配置やカメラワーク・鏡等、飽きさせない構図・演出も随所に観てとれた。
どの俳優がどの役を演じて良いのではなく、適材適所にキャスティングがはまっているのも見所だ。世界平和をナーバスなまでに訴えるジョディ・フォスターは、いかにもという感じである。個人的には「イングロリアス・バスターズ」のハンス・ランダ大佐役が記憶に新しいクリストフ・ヴァルツの動きが1番面白かった。「リトル・チルドレン」や「愛を読むひと」でほぼ全裸を見せたケイト・ウィンスレットだが、本作の衣装が最もセクシーではないだろうか。また蛇足ではあるが、本作の嘔吐シーンはリアル過ぎて強烈。映画史に残る(笑)
![]() | 愛を読むひと (完全無修正版) [Blu-ray] (2010/01/08) ケイト・ウィンスレット、レイフ・ファインズ 他 映画の詳細を見る |
■関連作品■
愛を読むひと ★★★
リトル・チルドレン ★★★
イングロリアス・バスターズ ★★★★
羊たちの沈黙 ★★★★★
フライト・プラン ★★
2012年04月15日 (日) | 編集 |
![]() | アーティスト オリジナル・サウンドトラック (2012/04/11) サントラ、ローズ・マーフィー 他 サウンドトラックの詳細を見る |
「タイタニック4D」が公開されている、という記事を目にした。立体視3Dの上をいく4D(4DX)では、場面に合わせて座席が傾いたり、香りが劇場を包むといった効果が追加されているらしい。沈没する様をリアルに体感しても怖い気がするが、映画もここまで進化したのかと驚くとともに、どこか辟易させる気分にもなる。
一般的に相手に情報を伝える作業、コミュニケーション等は、より多くの感覚に訴えかけることでその伝達密度が増すと言われている。映画もそのような進化を遂げることで製作側のメッセージを強く享受できるようになるのか??2011年の映画祭を瞬く間に席巻した「アーティスト」の評判や内容を加味すると、必ずしもそうではないことが分かる。
白黒の映像、台詞なしのサイレント、といった制約を乗り越えても伝わってくるキャラクター達の感情。少ない情報量でもそこに注視すること、または作り手に愛情があるからこそ見えてくるものもあるはずだ。時代に逆行した制約ばかりの「アーティスト」はそれらに立ち返るための為の、貴重な試金石となったのではないだろうか。
2012年04月01日 (日) | 編集 |
![]() | ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル ブルーレイ+DVDセット(デジタル・コピー付) [Blu-ray] (2012/04/27) トム・クルーズ、ジェレミー・レナー 他 映画の詳細を見る |
シリーズ毎に監督を変える為に作風も変化するミッション・インポッシブル。1作目はテレビシリーズからの大胆な変更。2作目はアクション重視。3作目はイーサン・ハントの引退、婚約と内面の要素を入れつつ、シリアス路線。そして最新作となる本作ゴーストプロトコルでは、ユーモラス、レトロ、チームワークといった要素が強く感じられた。
*****以下、ネタばれ注意*****
本作が実写映画デビューというのが信じられないほど、アニメ映画出身のブラッド・バード監督のセンスが全編に冴えわたっている。爆発や激しい銃撃戦など、それまでのシリーズに比べビジュアルに特化した派手な見せ場は少ないが、クレムリンへの潜入、ドバイのブルジュ・ハリファでのミッション、砂嵐でのカーチェイス等、新鮮で記憶に残る場面が多い。いつもIMFの身内に裏切られ、どこか孤高の存在であったイーサン・ハントも今作では裏切りがなく、はっきりとした敵が存在する為、勧善懲悪の構造となり物語もこの上分かり易い。
もっともテレビ版スパイ大作戦ではチームワークを重視していたが、パート2をピークにトム・クルーズの1人舞台となり過ぎていた映画版。今作ではそのようなことがないように、どのミッションでも仲間が居なければ達成できないものとなっている。核弾頭のストップスイッチをトム・クルーズが押してもそれだけでは終了にならないのだ。そのイーサンを取り囲むキャラクター達も個性豊かである。個人的に一番気に入ったのは、冷酷な殺し屋のレア・セドゥーだ。「イングロリアス・バスターズ」の1章に少しだけ出演していたフランスの女優だが、殺しの報酬にダイヤを要求するという設定がなんとも漫画ちっくでユニーク。ポーラ・パットンとの壮絶なキャットファイトの末に命を落とすが、最後まで観たかった惜しい役柄である。
本作の最大の見せ場はブルジュ・ハリファでのミッションだろう。メイキングでも分かるようにトム・クルーズ本人がビルを登り、ジャンプし、最後には側面を走る!!というアクションをこなしている。48歳(撮影当時)にして尚、衰えない映画への情熱とプロ根性。ハリウッドの第一線で活躍し続ける理由をそこに観た気がした。
■関連作品■
ミッション・インポッシブル ★★★★
Mi : 2 ★★★
Mi : 3 ★★★
ハート・ロッカー ★★★
ナイト&デイ ★
イングロリアス・バスターズ ★★★★
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