アカデミー賞史上最多タイとなる11部門獲得、そして歴代興行収入NO.1の記録的な大ヒットとなった「タイタニック」。あれから11年の月日が流れ、レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットが改めて共演した作品が「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」である。
「タイタニック」以降の2人は、ジャックとローズという固定化された自身のイメージを払拭するかのように、慎重に出演する映画を選び、演技の幅を広め人物の考察を深めていったように見えた。今作はその"脱タイタニック"の11年目の集大成でもあり甘いロマンチックな内容ではなく、アメリカ郊外型の結婚生活に巣食う現実的で重く厳しいドラマとなっている。蛇足だが、今作にはキャシー・ベイツも出演しているため、計3人が「タイタニック」からの共演となっていた。
*****以下、ネタばれ注意*****
「レボリューショナリー・ロード」は物語の構成が珍しいもので、初めに少しだけ出会いのカットがあり、後は倦怠期の夫婦のすれ違いを長い時間を割いて描き続けていくのである。激しく言い争う様や、独り遠くを見つめる姿など、全体を通してシリアスな場面が多く、一息つく箇所・甘美な部分がほとんどない。物語のかなり早い時間帯でパリ行きを決断するなど、起承転結の"転"の状態が続いていくような感覚に陥り、話の着陸地点が全く読めなかった。
また今作は、鑑賞する人の環境や経験、性別等によって大きく見方が異なりそうだ。未婚である自分にとってはケイト・ウィンスレットの言動が頭では理解できるのだが、恐らくは絶対的な気持ちの深度までは入り込まなかったのである。その部分こそがエイプリルの繊細さであり物語の肝だ。彼女の記号を読み取れるのか読めないか、また理解できる深度が鑑賞者に備わっているかどうかで印象も変わってくるだろう。夢を追うのが男性で現実を直視する女性、という一般的な概念を逆にした設定も新鮮味を感じるものだ。
マイケル・シャノンの存在、そして一旦は修復できたかのように見せかけた朝食のシーンは特に素晴らしいものだった。フランクとエイプリルの齟齬を表現した朝食時の2人の微妙な表情の違い、気持ちのずれは、その後の展開を密かに予感させるものである。
さて、最後まで鑑賞し終えると何気にキャシー・ベイツが怖い。「レボリューショナリー・ロード」という名前を借りた、都市伝説と言わんばかりに不気味な存在感があった。また補聴器の音量を静かに下げていくラストカットが記憶に残る。「相手の意見に反論せず、聞いているふりをしておけ。それが夫婦長続きの秘訣だ。」と画面越しに語りかけているように思えた。
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