ビットコイン 夢と未来 (字幕版)


インターネットで起きたゴールドラッシュ


 先頃話題になっていたビットコインについて知りたく、本を読むよりも分かり易いかなと思い鑑賞した。しかし本作はビットコインの仕組みや利用法よりも、ビットコインに着眼しそれをビジネスにしたベンチャー企業や個人の様子に多くの時間を割いている。序盤に簡単なイントロダクションはあるものの、通貨発行にあたる発掘や価値が上下するといった、市場原理がよく分からないまま物語が進んでしまった。

 後にネットなどで仕組みを調べるもやはり複雑で、簡単に説明してもそれだけで90分が終わりそうではある。アニメでもよいのでこの辺りを上手に噛み砕いて説明するメディア媒体の登場に期待したいところ。

 2009年から運用開始となった新しい産業だけに、ベンチャー企業の広がりも目覚しい。朝から晩まで働き、次々に大きなオフィスへと引越す様子はアメリカンドリームを目指す、正にゴールドラッシュのよう。しかし、マウントゴックスがシステムの脆弱性を発端とし破綻したことや、インタビューを受けていた社長が法の枠組みの未整備により逮捕されるなど、物語の終盤はなかなかにドラマチックな展開をみせた。

 1度動き出したシステムは止まらない。上記の問題はビットコインを取り巻く環境下で起きた2次災害であり、ビットコインそのものは存続し続けている。最大のロマンは創設者のナカモト・サトシが誰なのか不明だということだ。世界の経済構造を変えるイノベーションとなるか後に廃れる仮想通貨一部か。ビットコインの動向はなんとも刺激的である。

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ステーキ・レボリューション [DVD]


美味しそうなステーキが見たかったのに…


 肉、とりわけステーキである。「ステーキ・レボリューション」という題名と予告編で、今作に惹かれたのは自分のなかでステーキが好物であり、特別な存在だったからだろう。いわゆる”ごちそう”である。ステーキが鉄板の上で調理される様子や、それらを食する様は見栄えも良く、いかにも美味しそうではなかろうか。そのような心構えでいざ鑑賞してみると、求めていた食欲をそそる画は少なく進行も淡々としたものだった。

 “美味しいステーキを探すべく世界中を食べ歩く”このようなメインストーリーの場合、何も考えず、ただただ味のみを追求し、美味しそうなステーキを紹介するだけのポップなものと、その国の食肉文化や、牛の育て方、品種・飼料に至るまでを描く硬派なものとに分かれそうだが「ステーキ・レボリューション」はそのバランスが中途半端である。

 劇中では、牛の育て方について放牧か牛舎か、はたまた牛がよく太るように工業的に造られた飼料か、自然の牧草か、といった家畜産業の現状を訴追する硬派な側面がある一方で、美味しかったステーキを味のみで評しランキング形式で紹介する、なんともポップで分かり易い面も混在するのだ。

 この映画に単純さと美味しそうなステーキのみを期待していた場合は裏切られ、硬派なものを期待した場合は物足りず、文字通りの消化不良に陥る。しかしながら、世界中を旅する中で、日本の和牛が上位にランクインしていたのは、なかなかに誇らしかった。

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(2014/08/06)
ビル・ブレイクモア、ジェフリー・コックス 他

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”なるほど”と”そんなバカな”の往来


 かの天才脚本家、チャーリー・カウフマンは「観客が自分が意図していない解釈をしてくれた時が喜びを感じる。だって作品が生きてるって事だからね。」なるコメントを残していた。「ROOM237」を観終えると映画「シャイニング」がいかに生きている作品であったか、スタンリー・キューブリックが愛されているかが分かる。劇中のそれらはキューブリック監督の本来の意図であったのか真相は不明だが、このようなムーブメントが起きるだけでも監督冥利に尽きるのではないだろうか。




*****以下、ネタばれ注意*****




 作品では映画「シャイニング」に関しての様々な自論が展開される。机上のトレーが勃起した性器に見える!!といった突拍子のないものから、オーバールック・ホテルの構造の矛盾を指摘するなど、なるほど納得させるものも。最もインパクトがあるのが、アポロ11号の月面着陸の映像が捏造であり、キューブリックがその映像製作に加担していたこと。またその加担していたことを、暗にシャイニング内で訴えているという見解だ。息子役のダニー・トランスがアポロのセーターを着ているのは、何らかのメッセージはありそうではあるが…部屋番号237が「地球から月までの距離が23万7000マイル」というのはなんとも。。。そう、今作は”なるほど”と”そんなバカな”を往来するドキュメンタリーなのだ。

 人々がここまで熱狂するのは、ひとえにキューブリックの画力のせいだ。奥行きのある映像、徹底したシンメトリー構図、ハイセンスなビジュアルイメージ、「シャイニング」の物語自体が本当はシンプルなホラーであっても、何度も観返したくなる画の連続である。キューブリックの強力な牽引力に「まずは映像ありき」そこから人々は憑りつかれたように鑑賞するのだと私は思う。

 本作のように製作者サイドに囚われることなく、自由に自論を展開するドキュメンタリーは面白い。自分とは違う主張・意見を取り入れることで、作品の幅が増し再見することや、愛着が深まるきっかけになるだろう。このようなスタンスで是非、デヴィッド・リンチ編をお願いしたい。出来れば「マルホランド・ドライブ」辺りで。