スーサイド・スクワッド エクステンデッド・エディション ブルーレイセット(初回仕様/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]


why so serious?


 「またDCは…」と思った。DCエクステンデッド・ユニバースの作品は「マン・オブ・スティール」「バットマンvsスーパーマン/ジャスティスの誕生」に続き3作目となるが、いつまで経っても失敗から学ばないなと。マーベル作品の優秀さと比べ、この燻った感じが、むしろ愛おしく思える程である。

 「スーサイド・スクワッド」最大の失敗は「ぶれたこと」だ。そもそもDCエクステンデッド・ユニバースの世界観やコンセプトは、ダークナイトトリロジーに準えた重厚でリアルなもの。そのため「マン・オブ~」も「バットマンvs~」も驚くほどユーモアが少なく、ヒーローの存在意義を問う比較的重たい内容に仕上がっている。そのような路線で行くのであれば、今作のデヴィッド・エアー監督起用というのも納得がいくものだ。

 しかしである。本作最初の特報時にはダークな内容に観えたのだが、それ以降の予告編では急にポップなものとなり、本編完成版でも、どちらかといえば軽いノリのものとなっていた。一説では「バットマンvs~」評価が芳ばしくなかった為、途中で編集や演出を変えたともいわれている。

 この突然の路線変更がもろに作品の構造を悪くしている。軽くポップなノリなのに主な舞台は夜で暗い。稀代の悪の集団のはずが微妙に良い面があり、はちゃめちゃ感が皆無。編集のせいか時間軸やキャラクターの行動原理が分かり難い。敵対するボスの魅力の無さ等々…良い素材なのに全部ミキサーで混ぜ、香辛料を加え過ぎた結果、よく分からない味の料理となる、正に「バットマンvs~」の失敗を繰り返しているのだ。

 救いはマーゴット・ロビー演じるハーレイ・クインだ。思えば「バットマンvs~」の救いもワンダーウーマンだった。これら女性キャラクターがいなかったらDCユニバースは完全に沈没していただろう。


■■関連作品■■
バットマンvsスーパーマン/ジャスティスの誕生 ★★
ダークナイト ★★★★★
ダークナイト ライジング ★★★★
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ヒーロー映画乱立時代に開花する毒花


 ここ数年、ハリウッドのビッグバジェット映画はアメコミヒーローものに占拠されていた。バットマンとスーパーマンが戦えば、同時期・同じ映画館でアイアンマンとキャプテン・アメリカが対決する、ひと昔では考え難い事態が巻き起こっている。

 私もヒーローものは嫌いではないので、ある程度は鑑賞しているものの、公開本数はインフラ気味だと思う。新たなヒーローが登場し、地球規模・宇宙規模の危機に陥りそれを救う、ヒーローは時として己の行動に悩み仲間と袂を分かつこともある…。このようなルーチンに食傷気味だった。

 このようなヒーロー映画乱立時代にこそ開花したのが「デッドプール」である。デッドプール最大の特徴は第四の壁を越えて観客に語りかけてくることだ。拷問中でも戦闘中でもお構いなし、赤いマスク姿の悪ガキは劇中とにかく喋る!!他のヒーローをディスり、自分の身内であるX-MENをディスり、現実世界の俳優をディスり、自らであるライアン・レイノルズを皮肉り、スタジオに対し予算が足りないと愚痴をこぼす。

 たしかに他の「バットマンVS~」「シビル・ウォー」に比べアクションの派手さはない。正義心もモラルもない。しかしながら、ただひとりの愛する女性の為だけに行動する姿に不覚にも感動してしまうのだ。

 結果、デッドプールはそこそこの製作費しか与えられなかったものの、興行収入は爆破的な大ヒットとなった。他のヒーロー映画にない要素が多く、それが新鮮に映ったこと、もっと言えばヒーロー映画が乱立している”現在”だからこそ、輝けた異端者ではないだろうか。乱立状態でなければB級映画として埋もれていた可能性が高い。
 
 映画の世界観を飛び越えて語りかける、ある種の反則技で一躍アメコミヒーローの人気者になったデッドプール。もちろん次回作の企画もあるようだが、予算を増やしたり、話の規模が大きくなったとき、この熱狂が持続するか非常に難しいように思える。キャラクターを理解しているライアン・レイノルズや今作のスタッフが携われば要らぬ心配事だろうか??三振かホームランか。終始喋りまくり落ち着きのないデッドプールのように、続編まで私自身もなんだか落ち着かない。


■関連作品■
リミット ★★★
X-MEN/ファースト・ジェネレーション ★★★


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ヒーローが12人登場しても散らからない、マーベル製作陣の超整理術


 “ヒーロー同士の対決”を題材にした映画が同時期に公開された格好である。大分の劇場でも「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」(マーベルコミック)の公開初日に、1日わずかではあるが「バットマンvsスーパーマン/ジャスティスの誕生」(DCコミック)も上映されていた。どちらの作品も初日に劇場で鑑賞したが、観客の数・内容の満足度、共に「シビル・ウォー」が圧倒していたように思う。




*****以下、ネタばれ注意*****




 「バットマンvsスーパーマン」はヒーローが3人登場するが、対峙する確固たる理由やキャラクターの動機が定まっていない(又は散漫な)印象があり、展開に粗が目立った。さらにヒーロー同士の対決を巨大なヴィラン、ドゥームズデイを登場させることにより共闘へと運ぶのも安易である。ヒーロー同士の対決や葛藤を全て帳消しにするような終戦であった。

 では、「シビル・ウォー」はどうだったか。延べ12人のヒーローが集結しても、話の筋や理由づけに無理がなく、最後まで飽きずに鑑賞でき、驚きの展開もある。わずか148分の枠内に、ここまでの内容を繋げたマーベル流、超整理術には敬意すら感じるほどだ。

 序盤から中盤にかけては、前作「ウィンター・ソルジャー」同様に政治的でタフな味付けとなるが、その後、ニューヒーローのリクルートや空港での乱戦シークエンスは軽妙で華があるものに。正に祭りである。そこに止まらずラストではキャプテン・アメリカとアイアンマンの重く苦しい決別が待っていた。

 全体のバランスや流れが巧く、ずっとポリティカル風であれば息苦しく、ずっと軽妙で祭りであれば後に何も残らない作品になっていただろう。この絶妙なシーソーゲームを完成させるため、「シビル・ウォー」の脚本には1年近くかかったとのことだ。DC製作陣に足りないのは、キャラクターの魅力と映画としての魅力を併せる技量と時間ではないだろうか。

 今後、アベンジャーズメンバーは、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」「ドクター・ストレンジ」等を経て20名以上にはなりそうである。さすがに飽和状態かと思ったが、アンソニー&ジョー・ルッソが、今作に引き続き「インフィニティー・ウォー」(アベンジャーズの続編)のメガホンを取ることが決まり、作品への不安はなくなった。


■関連作品■
キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー ★★★
アイアンマン3 ★★
アベンジャーズ ★★★