2006年は個人的な所見として映画不作の年だった。それに比べて2007年は、大作ものから単館系まで幅広く、面白い作品が多かったように思う。特に5月、6月の公開ラッシュは凄まじく、週1以上映画館に通ったものだ。そんな今年を振り返って、2007年中に初めて観た作品のなかから、特に気に入ったベスト3を紹介します。

2007年初めて観た映画でのベスト3

1位 セブンス・コンチネント ★★★★★
2位 インランド・エンパイア ★★★★ 
3位 ゆれる ★★★★

なんとも鬱々しい3本(笑)

 1位「セブンス・コンチネント」はミヒャエル・ハネケ監督のデビュー作品で、全く情報を仕入れずノーマークの状態で鑑賞。冒頭から日常生活の画がひたすら流れ、どうなるんだろう、どんな展開になるんだろう、と観ていたら徐々に緊張・圧迫感に苛まれて…神経を摩り込まれるような感覚になった。物語の構成や繰り返される反復の演出など、映画の文法を探っても他とは一線を画す、異質な印象をうける。

 2位「インランド・エンパイア」はデイヴィッド・リンチ監督5年ぶりの作品とのことで、大阪まで行っての鑑賞。前評通り、ある女性の悪夢であり救済であり、3時間という長丁場ながらリンチワールドを充分に堪能できた。ウサギ人間の造形は忘れることが出来ず、リンチ作品のなかでも鮮烈なもので楽しいキャラクターだと思う。

 3位「ゆれる」は曖昧な記憶の回想劇という脚本が好きなことや、俳優陣の演技が素晴らしかったことで、普段あまり観ない邦画のなかでも際立って良かった作品。オダギリジョー、香川照之、真木よう子の3名の心のゆれ記憶のゆれ、田舎の描写など陰湿な演出、特有の気持ち悪さが好きだった。


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(2007/01/12)
ビルギット・ドル、ミヒャエル・ハネケ 他

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 「スパイダーマン3」「パイレーツ・オブ・カリビアン ワールドエンド」など大掛かりな大作映画も好きだが、瞬間的な刺激ではなく、じわじわと心が侵食されていくような映画がやはり好きなんだなと改めて思った。

 それとは別に、2007年はアルバムにツアーにとMr.Childrenが休まない年。上に列挙した映画を超えて3月に発売されたアルバム「HOME」が何よりも素晴らしかったように思う。ついこの前、iPodを買い、BOSEのSoundDockも購入。車でもiPodを聴けるようにして、日々、iPod三昧。そのなかでも「SUNRISE」「Wake me up!」「PIANO MAN」が特にヘビーローテーション化。年間を通しても、「HOME」は飽きないアルバムだった。2008年の活動にも期待!!


☆2008年期待の映画

2008年度に公開される映画で楽しみなものは、なんと言ってもインディ・ジョーンズの最新作。
◇インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 日本公開日 6月21日より
監督スピルバーグ、製作総指揮ジョージ・ルーカス、音楽ジョン・ウィリアムズ、主演ハリソン・フォードという前3作と同じメンバーが揃っただけでも感動もの。
19年振りのシリーズですが今から楽しみで待ちきれません。
最新情報は12月13日にアップしたばかりの日本語版公式サイト http://www.indianajones.jp/ で日々チェック!!

もうひとつはバットマンの最新作。
◇バットマン/ダーク・ナイト 日本公開日 2008年夏公開予定
バットマンビギンズからの続編であり、ジョーカー、トゥーフェイスが登場し、より密度の濃い物語とアクションが期待できる。 
ティム・バートン監督の世界観、そしてジャック・ニコルソンが演じたジョーカー、素晴らしい作品「バットマン」が既にあるのに大丈夫だろうかと不安だったが、youtubeでの予告編を観てその不安が吹き飛ぶ。ヒース・レジャーが演じるジョーカー、その狂いぶりに鬼気迫るものを感じ、ダーク・ナイトは物凄く面白い作品になりそうだ。


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ローラ・ダーン、ジェレミー・アイアンズ 他

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☆その他、2008年期待のもの

2008年6月からEURO2008オーストリア、スイス大会が開幕。気になる本大会の組み合わせは…

グループA:スイス、チェコ、ポルトガル、トルコ
グループB:オーストリア、クロアチア、ドイツ、ポーランド
グループC:オランダ、イタリア、ルーマニア、フランス
グループD:ギリシア、スウェーデン、スペイン、ロシア

グループCがあり得ないくらいの死のグループ。ただ、それ以上に面白そうなのはグループA。攻撃的で魅力あるサッカーをする国が集まっているように思える。今回もポルトガルを応援したい!!あと2008年は、レミオロメンのライブと、ニンテンドーDSで発売される1本のソフトが楽しみ。来年も良い年でありますように!!


■関連■
インランド・エンパイア
インランド・エンパイアを観に行く
HOME / Mr.Children
Mr.Childrenのライブに行く
"HOME" TOUR 2007 DVD/Mr.Children


ゆれるゆれる
(2007/02/23)
オダギリジョー香川照之

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 前回のブログで福岡・大分の年末年始の深夜映画を調べたが、そのついでに、それ以外の都道府県の放送内容も気になり調べてみた。やはり地方局、ローカルエリアで面白い作品を放送しているようで、以下その結果を紹介します。(眠りながら調べたので誤植等あるかもしれません、多少のミスは御了承ください)

◆対象の期間と時間帯
 12月29日~1月3日までの間、深夜0時以降に放送が開始される映画のみ対象。
◆番組表・内容に関するリサーチ元
 「Yahoo!TV」 http://tv.yahoo.co.jp/ を利用。放送局名や開始時間はYahoo!TVを参照しています。


★深夜枠の良さを踏まえたキル・ビル Vol1、Vol2の放送

 深夜映画の醍醐味であるB級映画、R指定の映画という条件を見事にクリアしている「キル・ビル」。そのキル・ビルを放送する地域が多く、Vol.1とVol2を2夜連続で放送する都道府県も多数見られた。石川県・鹿児島県などは元旦の夜にVol.1、2日の夜にVol.2と年明け早々にテンションが上がりそうである。特にVol.1はバイオレンス描写が激しいので注意が必要だ。また新潟県のように12/30にVol.1、1/3にVol.2と時間差で放送する局もある。この時間差で内容を忘れたり、途中で帰省したりとなんとも微妙な間延び感。それに比べて岡山県や香川県はVol.1とVol.2を同じ日に続けて放送するという素晴らしい番組編成。1:55にスタートしてVol.2が終わるのは朝方、おそらくVol.2の途中でかなり眠たくなると思うけど(笑)西日本放送の粋な番組編成は称賛すべきである。


Kill Bill, Vol. 2Kill Bill, Vol. 2
(2004/04/12)
Original Soundtrack

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★ブラッド・ピットが大活躍!!

 全国の深夜映画を調べるなかで目立ったのが、「ジョーブラックをよろしく」と「セブン・イヤーズ・イン・チベット」を放送する地域の多さ。もともと上映時間が長い2作品なのだが、放送される時間を見るとカットされているバージョンのような気もする(地域によってはノーカットかも??)主役がブラッド・ピットということでついつい観てしまう、という狙いがあるのだろうか。以下ブラッド・ピットが出演している作品一覧です。(発見できた範囲内で)

◇ジョーブラックをよろしく (長崎県他多数)
◇セブン・イヤーズ・イン・チベット (滋賀県他多数)
◇デビル (岐阜県他中部地方を中心に)
◇セブン (高知県他)
◇トロイ (徳島県)
◇オーシャンズ12 (大分県)

と年末年始はブラッド・ピットが深夜枠を席巻しているように思える。その他に目立ったのは「60セカンズ」「マッチスティック・メン」「天使のくれた時間」「ナショナル・トレジャー」等のニコラス・ケイジ、「ザ・エージェント」「マグノリア」等のトム・クルーズも多かった。


セブンセブン
(2007/11/02)
ケビン・スペイシーグウィネス・パルトロウ

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★ここにしかない、レアな映画

 全国各局で放送してもよい、大体の映画は決められているようだが、まさにそこだけ、ほぼひとつの都道府県のみで放送されるレアな映画もある。そのなかの一部を紹介します。

◇エボリューション(島根県・鳥取県)…日曜洋画劇場で放送予定だったが、野球中継のため中止となった話題のSF映画。
◇ガタカ(宮城県)…イーサン・ホーク、ジュード・ロウ出演のSFサスペンス。根強いファンの多い作品。
◇ワイルドシングス(広島県)
◇オーシャンズ12(大分県)…人気シリーズの続編。オーシャンズ13がレンタル開始されたばかりなので予習に良い。
◇地獄の黙示録(北海道)…戦争映画の金字塔。ヘリ戦隊とワルキューレの騎行のシーンは深夜でもしびれるはず。
◇パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち(徳島県・福井県)…ゴールデンでも高視聴率をマークした人気シリーズ第1弾。お正月からジャック・スパロウが観れるのは嬉しい。
◇青い珊瑚礁(広島県)
◇SPA_N(長野県)…藤原紀香の信じられないようなスーパーアクションが観れる。
◇バットマン・ビギンズ(大分県)…2008年に続編「ダーク・ナイト」が公開されるので予習に良い。
◇イージーライダー(富山県)…アメリカンニューシネマの代表作品。深夜にロードムービーは心地良いと思う。
◇トロイ(徳島県)…壮大なギリシア神話。豪華キャストと迫力の戦闘シーンが見所。
◇ナショナル・トレジャー(福井県)…続編、暗殺者の日記が公開中のため予習に良い。
◇ドリーム・キャッチャー(長野県)…物語の前半と後半で展開がガラリと変わる怪作。コアなファンが多く「アーイダディッツ」の名台詞も光る。
◇12人の優しい日本人(北海道)…「12人の怒れる男」を元にした密室コメディ。日本語を使ったトリックとひねりのある展開が面白い。


ドリームキャッチャー 特別版ドリームキャッチャー 特別版
(2007/10/12)
ジェイムズ・ニュートン・ハワード

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★07-08 民放深夜映画、最も充実している都道府県はここだ!!

 47都道府県を駆け足で眺めたなかで、深夜映画が最も充実していた地域はどこなのか??映画の好みや局数の違いがあるものの、レアな映画の放送、作品の質などを総合的に考慮すると、徳島県が1番良いように思える。NHK・NHK教育の他に民放6チャンネルが映る地域性が活きているせいか、以下のような映画が放送される。

◇ポセイドン・アドベンチャー
◇マグノリア
◇007/ムーンレイカー
◇ホワイトアウト
◇フラガール
◇アメリ
◇キッズ・リターン
◇パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち
◇バンジージャンプする
◇ホテル・ハイビスカス
◇沈黙のテロリスト
◇トロイ
◇フォレスト・ガンプ

上記に挙げた映画でも全部ではないのだが豪華である。洋画に限らず邦画もあり、新しい作品もあれば渋いところも押さえている、トータルで徳島県が1番だと個人的には思った。自分の地元大分県も、そこでしか映らない「バットマン・ビギンズ」と「オーシャンズ12」があり意外な善戦に驚く。なんでも都会が良いように思える時代の中で、きらりと光る地方の深夜映画。これを楽しみに帰省するのもまた一興ではないだろうか。


アメリアメリ
(2002/08/02)
オドレイ・トトゥ

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 お正月のテレビ番組といえば、豪華なスペシャルものばかりでテレビの前に釘付けになる人も多いのでは。今回の年末年始も「すべらない話 ザ・ゴールデン」や「ダウンタウンのガキの使い!笑ってはいけない病院24時」など、楽しみな番組でいっぱい。ただ、個人的に最も楽しみなのは民放各局で深夜に放送される映画だ。近年、ケーブルテレビ、ペイ・パー・ビュー、果てにはインターネットでの映画配信など、地上波で放送される映画にほとんど意味はなくなってきたように思える。場所や時間に拘束されない利便性を考えると、当然前者のほうが優位なのだが、地上波には地上波ならではの楽しみ方もある。その魅力を挙げてみると…

・日本語吹き替えで放送されることが多く、新鮮な感覚で鑑賞できる。
・無料で鑑賞できて気楽。画質が悪くても味がある。
・地域によって放送される作品が異なる。地方によって優劣が発生!!
・CMが挿入されることで、ローカルのCMを見ることができ自分が帰省しているんだとノスタルジックな気分になれる。
・作品や時間が選べないが故に、思わぬ伏兵映画が登場する可能性。
・こんな時間にこんなつまらない映画が…でも他に観ている人が居るかも、という妙な一体感。


以上を踏まえて今回の年末年始、福岡の地上波で深夜に放送される主な映画を調べてみると…

◇日本以外全部沈没 12/28 RKB 0:17~
◇バタフライ・エフェクト 12/28 FBS 1:50~
◇60セカンズ 12/29 KBC 1:30~
◇ゼブラーマン 12/29 RKB 0:15~
◇愛と青春の旅だち 12/29 TNC 1:30~
◇セブン・イヤーズ・イン・チベット 12/29 TVQ 3:22~
◇シザー・ハンズ 12/30 TNC 2:30~
◇ニューヨークの恋人 12/30 FBS 1:20~
◇親切なクムジャさん 12/30 FBS 3:16~
◇フェイク 12/30 TVQ 2:57~
◇世界の中心で愛をさけぶ 1/1 RKB 0:50~
◇8 Mile 1/1 TNC 2:22~
◇ワンス・アンド・フォーエバー 1/1 TVQ 3:14~
◇インストール 1/2 TNC 0:55~
◇ザ・エージェント 1/2 FBS 1:25~
◇ジョーブラックをよろしく 1/2 TVQ 1:24~
◇ポワゾン 1/3 KBC 2:55~
◇最後の恋のはじめ方 1/3 RKB 0:39~
◇パッチギ! 1/3 TNC 0:35~
◇マッチスティック・メン 1/3 FBS 1:25~
◇キリング・ミー・ソフトリー 1/4 KBC 2:49~
◇THE JUON 呪怨 1/4 TNC 2:20~
◇ブレイド 1/4 FBS 3:15~
◇フォレスト・ガンプ 1/5 TNC 1:25~

このなかで正月の深夜に観たいもので言えば
1位 フェイク
2位 マッチスティック・メン
3位 8 Mile


フェイク (Blu-ray)フェイク (Blu-ray)
(2007/05/23)
ジョニー・デップアル・パチーノ

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「シザー・ハンズ」もあるけど、これは正月ではなくクリスマス向けのような。
一方で帰省先の大分の主な映画は…

◇キル・ビル Vol.1 12/29 OAB 1:25~
◇バットマン・ビギンズ 1/1 TOS 1:30~
◇オーシャンズ12 1/2 TOS 1:00~

意外と豪華に見えるが、日本テレビ系列の金曜ロードーショーが、普段大分での放送がないため未放送分を年末年始に放送しているようだ。
それにしても深夜映画の醍醐味である、B級映画、R指定の映画、上映時間の長い映画という条件に当てはまるものが少なくパンチに欠けるものばかり。
強いて言えばキルビルが深夜映画の条件に適合して健闘いると思う。
もし自分に番組編成権があれば…

◇コマンドー
◇ニューシネマ・パラダイス 完全版
◇インディ・ジョーンズ シリーズを3夜連続
◇ゴットファーザー Ⅰ&Ⅱを2夜連続
◇デルタフォース2
◇ロスト・ハイウェイ
◇レクイエム・フォードリーム
◇マグノリア

このくらいのを放送して欲しいもの。絶対無理だけど(笑)
福岡や大分以外の地域でなにが放送されているか気になるけど、意外な良作を発見出来るかもしれない。
ストーブやコタツなど、熱気を帯びた部屋で観る民放深夜映画。
最初から観るでも、真剣に観るでもなく、のんびりぼーっと鑑賞、これこそお正月の楽しみだ。


マグノリアマグノリア
(2006/07/19)
ジェレミー・ブラックマントム・クルーズ

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ビフォア・サンセットビフォア・サンセット
(2005/06/10)
イーサン・ホークジュリー・デルピー

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9年間の歳月がカップルをどのように変化させたのか


 ビフォア・サンライズ待望の続編。この映画・シリーズが特異なのは、1作目から2作目までの間が9年で前作と同じ役者がそのままその役を演じ、劇中の設定も9年後だということ。つまり前作を公開年度の1995年に観た人は実際に9年待ち、ようやく9年後の2人に再会出来たことになるのだ。そのような人は自分を取り巻く環境、ライフスタイル等の変化を含め懐かしく鑑賞できたのではないだろうか。

 全体的な作風やスタンスは前作同様に2人の会話のみで展開される。前回では14時間という制限のなかだったが、今回は映画の上映時間と実時間が連動している部分、詩人・占い師といった脇役も全く登場しない、またBGMも一切ない、外部的要因を受け付けないため会話劇の濃度がより高くなったといえる。9年前の再開の約束は果たせたのか、ウィーンの公園での夜になにがあったのかなど、ビフォア・サンライズで明かさなかったネタをばらしているのはファンにとっては嬉しいことだろう。

 鑑賞してまず目に飛び込んでくることは、当たり前のことだが2人の変わりよう老けように驚く(特にジュリー・デルピー)9年という歳月の重みを感じさせるが、それはそれで味がある。また2人の会話も夢や希望に満ちていた前作(23歳の設定)に比べ、結婚生活の不満や子供・仕事・政治といった、いかにも大人らしい現実的で切実なものが中心になっているのも感慨深いものだ。




*****以下、ネタばれ注意*****




ビフォア・サンセット / ビフォア・サンライズ 恋人までの距離 ツインパック (初回限定生産)ビフォア・サンセット / ビフォア・サンライズ 恋人までの距離 ツインパック (初回限定生産)
(2005/06/10)
イーサン・ホークジュリー・デルピー

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 「映画はラストで決まる」という言葉があるが今作ほど記憶に残る、印象的なものはそうはない。サンライズと同じくサンセットも、その後の2人がどうなったか想像を掻き立てるシーンでラストを迎えた。

 彼女の部屋でニーナ・シモンの音楽をかけ、ジュリー・デルピーが彼女のコンサートでの仕草を真似する。一通り話しが終ったところでイーサン・ホークに「ベイビー 飛行機に乗り遅れるわよ」とニーナ・シモンの真似の延長上で忠告、イーサン・ホークは少し微笑んで「分かってる」再びデルピーにカメラが向けられ静かにフェードアウト。文章では通じにくいが最高に心地良い空気で終ってしまうのだ。

 ただ単に「飛行に乗り遅れるわよ」と台詞を吐くだけではなく、ニーナ・シモンのとぼけた感じを入れつつ忠告する部分は見事である。また部屋に入る前くらいから、彼女の目使いが微妙に変わっている、イーサン・ホークを意識して見つめているのも意味深だ。これらの些細なしぐさは、2人の積み上げたキャラクターの賜物なのだが、その後を見たい、そこまで見たくないという絶妙の位置づけでパタンと物語を切ってしまう粋の良さ、このシリーズのそのような憎らしい演出がたまらなく大好きなのだ。


■関連作品■
恋人までの距離/ビフォア・サンライズ ★★★★★
ビフォア・サンセット ★★★★★

テーマ:映画感想
ジャンル:映画
恋はデジャ・ブ恋はデジャ・ブ
(2008/09/24)
アンディ・マクドウェルスティーブン・トボロウスキー

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繰り返す2月2日。あなたならどうする??


 朝起きたら昨日と同じ日が始まった。2月2日という日を何度も生き、そのループから抜け出せないという異色のストーリー。海外ドラマやX-FILES等で同じようなエピソードがあったが、自分ならどのように行動するかと想像を膨らませながら鑑賞すると面白い。

 同じ日を生きるということなのだがある程度の規制があり、これが作品のミソでもある。動かしたもの壊したもの作り上げたものは朝の6時までにリセットされ、必ずベットで目覚めるところからスタート。唯一、蓄積できるものは自分の記憶や身につけた技能のみで、他人の記憶や行動は全てリセットされる。

 自分なら毎日映画を観まくり、沢山の女性に声をかけるものの何も積み上げることのできないため、徐々にそのループに悲観してしまうと思う。劇中のビル・マーレーも正にそのような言動の順番だった。最初は昨日と同じ日が繰り返されることに驚くのだが、そのうちに欲望の赴くままに行動する。お金を盗んで高級車を買ったり、女性を誘惑してベットインに持ち込んだり...その内に繰り返しに悲観し自殺をはかるものの、車に撥ねられようと飛び降りようと生き返り、同じ日を生きなければならない。

 この思考の順路が実にリアルであり、後半はラブロマンスの色が濃い展開になるのだが、「明日になると君はこの事を全部忘れてる」という台詞通り、人は独りでは生きていけない、繰り返しのような毎日であってもなにかを残して生きていかなければならない、という哲学的なメッセージも読み取れ、なんとも知的好奇心が擽られる。




*****以下、ネタばれ注意*****




 劇中では、自分だけが何故このループにはまったのか、そのような原因を教え救済してくれる時の番人のような存在が無いのもユニークだ。そのため主人公も鑑賞者も物語のゴールが分からないため、ビル・マーレーと同じく既視感と迷走を体験することになる。結局、正確な繰り返し日数は分からないが、内容を察するに1年以上は同じ日を生きていたと思う。なんの前触れも無くループが始まる恐怖と1人の女性に対する想い、他に類を見ない展開だが最終的にハートフルな気持ちに包まれた。デジャブ現象と同じく、オリジナリティに溢れた忘れがたい作品だと言える。
テーマ:映画感想
ジャンル:映画
エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか? デラックス版エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか? デラックス版
(2007/05/25)
元エンロン社員:ケン・レイ(元CEO) ジェフ・スキリング(元CEO) アンディ・ファストウ(元CFO)

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拝金主義の成れの果て


 年間売上高13兆円、全米第7位の「エンロン」という企業を御存知だろうか?巨額の不正経理・取引が明るみに出て2001年12月に破綻に追い込まれた企業である。当時ニュースではアメリカ史上最大の企業破綻と言われ、その影響はアメリカ全土のみならず世界経済をも巻き込むことに。今作はその企業スキャンダルの真相を暴く衝撃のドキュメンタリー映画である。

 マイケル・ムーアが作るようなドキュメンタリー、アポなし取材、全編を通じての主張、爽快感そのような物語手法は一切なく、本作は事実のみをナレーションで伝えるもの。それでも最後まで目が離せなかったのはあまりにも「真実」が嘘のように思えるほどスリリングで、それこそ台本のあるフィクション映画を観ているかのようだった。

 「何千万ドルの報酬が」「何億ドルを儲けた」などの会話、その額や桁に呆然としてしまう。果てには電気料金の規制緩和に伴い、山火事で送電線が燃えているのを「素晴らしい、もっと燃えろ」と喜んでいたり(送電線が燃えることで電力供給ができなくなり電気料金が上がるため)利潤を追求するが故の、歪んだ人間の本質には恐怖さえ覚えた。現実は小説より奇なりというが、本当にこのようなことがまかり通っていたのかと思うと、滑稽で笑いさえおきてしまう。

 時価主義会計を導入したこと株価・トレーダーばかりを重視したこと、ペーパーカンパニー、損失化隠し、顧問弁護士・金融機関・会計事務所一体となっての共謀など破綻までには様々な要因が挙げられたが、結局は人間のモラルの問題である。

 昨今では日本でも同じような事件が横行した。世界経済の中心は現在もアメリカであり、アメリカの会計基準を日本企業が多く採用し始めている。今作を観て本当にそのような流れ、アメリカ型経済・株主重視の体制が正しいのか疑問を持たざるを得ない。大きな数字ばかりに目がいってしまうが、破綻した裏では失職者が2万人いて、真っ当に働いた多くの人の財産や将来(退職金基金12億ドル、年金基金20億ドルの喪失)が奪われたことも忘れてはならない。

テーマ:映画感想
ジャンル:映画
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(2008/05/02)
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 仮に「エイリアンVS. プレデター」の脚本を書けと言われたら自分ならどうするだろうか??勿論、エイリアンとプレデターの激しいバトルを中心に描きたいのだが、両者には当然のことながら共通の言語がない。そのために状況を説明するのに、最低1人の人間は登場させなければならない、ということまでは大よそ想像できる。今作が悪かったのは、そもそも同一時間軸、同一箇所に両者が居る訳がないのに、設定や舞台を大真面目に構築したこと、それを説明する人間までも丁寧に描こうとしたところだろう。

 鑑賞したら分かるのだが、エイリアンとプレデターが闘い始めるまでが冗長に感じてしまうのだ。南極で謎のピラミッド発見→その道のプロを集める→探索→未知のクリーチャーに遭遇、ここまで恐らく40分くらいを要しており、しかも一通りの状況説明が終わると、そこまで味付けをしてい人間をあっさりと殺してしまうのである。そうするとそこまでの時間はなんだったのか??っと、一気に白けるのだ。


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(2008/05/02)
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 また「The enemy of my enemy is my friend(敵の敵は味方)」という台詞以降、人間・プレデターVSエイリアンという、ますます訳の分からない対決に進んでしまう。プレデターが生き残った女性のために武器を作ってあげたり、果てには脱出する装置の上に人間と並んでしがみ付いてる姿には失笑してしまった。突き抜けて破綻しているのではなく、真面目に破綻しているので極めて中途半端。後半エイリアンクイーンに背後から、ジャンピング1回半ひねりで槍を背中に突き刺すシーンが最大の見せ場であり、このような痺れるシーンをもっと観たかったのが鑑賞者の本音ではないだろうか。予告編でピラミッドの頂上でプレデター相手に、何百というエイリアンが襲いかかっている画があったのだが、実はそれすら回想シーンの一部だったりと随所で悲しい思いをした。

テーマ:映画感想
ジャンル:映画
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頭から離れない「キャンディー・ケ~ン」


 「ユージュアル・サスペクツ」を観ると「カイザー・ソゼ」という名前が頭から離れなくなるように、今作を観ると「キャンディー・ケン」という名前が頭の中にこびり付いて離れない。「ロード・キラー」は明らかなB級映画なのだが、そのチープさを逆手に取った、なんとも上質な仕上がりになっている。その理由を探ると...

 ・キャラクター設定の巧さ…軽犯罪を繰り返す兄の些細な悪戯が今回の事件の原因になる。しかしその一方で弟を思いやったり、弟のガールフレンドに密かに想いを寄せたり、「悪い奴なのに憎めない」という、絶妙なキャラクター構築は物語に牽引力を与えていた。ガールフレンド役のリーリー・ソビエスキーは、典型的なブロンドのアメリカ美女ではなくどこか田舎っぽい。なのにスタイルのせいか顔つきのせいか惹きこまれるものがあったり、主人公のポール・ウォーカーがこんな作品で全裸になったり(笑)また、妙に優しい強面のドライバーなどなどチョイ役に至るまで、キャラクターの味付けが非常に巧い。

 ・ロードムービーの要素…高速道路を横断し、途中のガソリンスタンドやモーテルが劇中の舞台の大部分を占めている。その映像は美しく、車が走るシーンの際には時折、空撮を交えるなど何気にお金をかけていた。主人公達と一緒に旅をするロードムービーの香りが何とも心地良い。

 ・繰り返されるお約束…犯人と思ったら優しいおじさん、ドアを開けると銃発砲→主人公がドアを開けると実は隣の部屋、急いでいる時にかからないエンジン(笑)ベタなシーンを惜しげもなく連発する潔さが嬉しかった。

 今作ではCB無線機がキーアイテムとなるのだが、よくよく考えると携帯電話が一度もでてこなかった。冒頭のシーンも固定電話、途中のガソリンスタンドでも公衆電話だった。いったいこの映画は何年の設定だったのか、この辺りが犯人の正体よりも気持ち悪かったりする。

テーマ:映画感想
ジャンル:映画
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(2007/11/21)
モーリッツ・ブライプトロイ、フランカ・ポテンテ 他

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 「性欲と支配欲は素粒子レベルで関係している」劇中の字幕からの引用だが、それを表すかのように本作に登場する2人の兄弟の言動は、説明が付け難いものだった。そもそも人を好きになったりすること自体、またエゴや愛や支配など、人間の気持ちは細分化していくと結局は説明がつかない事象ばかりである。

 それを覆そうとするためか「性的接触によらぬ生命の人口生殖」を研究する弟。この理数系を思わせるプロットと、目の前の女性に性的衝動を覚える国語の教師の兄、ヒッピー文化・自由・解放を連想させるプロットの2つの軸で「素粒子」という映画は構成されている。一度も肉体関係をもったことのない、それを望まない弟と若い教え子に想いを寄せ、なんとしてもセックスしたいと思う兄という対象的な兄弟像はユニークでもあり奇妙だ。

 前半までは過去の回想シーンを含めて、コメディのような軽いタッチの演出が多かったのだが、兄に焦点を当てだした後半からは一転してシリアスなものへと変化する。なにかと主題の掴みにくい展開になるのだが、不器用に生きてきた兄弟の行動にほろりと感動するシーンもあった。ブラックで過激なシーンもあり人によっては好みが分かれそうだ。


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ミュンヘン ★★★
善き人のためのソナタ ★★
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プール [DVD]プール [DVD]
(2008/10/10)
ジェシー・ブラッドフォード、エリカ・クリステンセン 他

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 「プール」を観てそのB級以下の出来に思わず嬉しくなった。30分くらいで終わりそうなストーリーを、80分まで引き延ばしている薄さ、明るいアメリカティーンの学園生活が観れるのも魅力だ。今作は将来を期待された高校生スイマーが、転校して来た女性と関係をもってしまい以後、執拗に追い回され悲劇が彼を襲うというスリラーである。

 男性を誘惑して今ある状態から落とすというのは、昔からよくあるプロットであり、大抵、お金とキャリアを兼ね備えた社会性のある男性がターゲットになるのだが、本作のように学園ものスポーツ選手というのは珍しい。しかしである、この類の作品で一番重要な誘う女性役のエリカ・クリステンセンが「プール」ではそこまで魅力的に映っていない、それどころか主人公の男の彼女の方がどちらかと言えば可愛かったりする(笑)

 この彼女は性格も良く、2人の関係は順風満帆。そのなかでエリカ・クリステンセンと関係をもってしまうため、それ以降、主人公ジェシー・ブラッドフォードの気持ちに同調出来ず、どんどん追いつめられるも自業自得だろっと突っ込みたくなる。天国から地獄への落差が激しいと言えばそうなのだが、彼に魔が差してしまう要因、例えば彼女とケンカをしていたなど理由があれば雰囲気も変わっていただろう。




*****以下、ネタばれ注意*****




 中盤以降、エリカ・クリステンセンの行動は激しさを増し、人を殺してしまうなどあり得ない展開に。ラストは主人公の彼女を椅子に縛り付けてプールに突き落とす→主人公は彼女を助けるためにプールに飛び込む。ここで悪女のエリカ・クリステンセンのとった言動といえば、プールの水面をデッキブラシで叩くという単調な攻撃!!なぜならエリカ・クリステンセンは泳げないから、なんじゃそりゃ!!(笑)それまで警察を簡単に銃殺したような女性がデッキブラシをバシャバシャと…挙句の果てには浅いプールに落ちて溺死って。その流れからかラストカットもこの飢えなく後味が悪いものだった。

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バベットの晩餐会 [DVD]バベットの晩餐会 [DVD]
(2000/04/19)
ステファーヌ・オードラン

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 もし死ぬまでにあと1本しか映画が観れないとしたら、現在の自分の気持ちとしては「バベットの晩餐会」を選ぶだろう。ささやかな幸せを食事を通じて知ることになるのだが、この「ささやか」さこそ今作の絶妙の味付けであり、多くを望んだりとなにかと疚しい自分の心に「あぁ、これくらいでいいもんか」と不思議な感情を運んでくれる、そんな素敵な映画だ。

 晩餐会とあるように見所は中盤以降の食事のシーンにあるのだが、招待された村人が料理を絶賛する訳ではない。バベットの申し出や言動に勘違いを起こした村人たちは、料理のことには一切触れないのである。この控えめな演出・抑止加減がじわじわと心に沁みこんでいくのだ。「美味しい」と感嘆するわけではなく、微妙ながら顔に笑みがこぼれたり、ワイングラスを嬉しそうに傾けたりと、そんな些細なやりとりはいつしか観ている側にも笑顔を運んでくれるもの。

 デンマークのユトランドという地上の僻地が舞台だがシンプルに質素に生きる人たちに、自らを顧みず最高の晩餐会を用意したバベット。ちょっとしたことでは満たされない我々に、少し違った角度から「幸せとはなにか」というものを問いかけているようである。

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ナショナル・トレジャー (Blu-ray Disc)ナショナル・トレジャー (Blu-ray Disc)
(2008/06/04)
ニコラス・ケイジジョン・ボイト

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 ジェリー・ブラッカイマー製作という見出し、彼のプロデュースする作品はスケールが大きくて派手なものがほとんどである。「アルマゲドン」「パイレーツ・オブ・カリビアン」等々、巨大ハリウッド資本を携えたビッグバジェットムービーのオンパレードだ。それに比べると「ナショナル・トレジャー」はなんとも地味で堅実なものであった。秘密結社フリーメイソンにより守られた秘宝、独立宣言書に隠された謎を解くというストーリーラインで構成されたものだが、爆発シーンが1シーンであったり、ディズニー配給が影響しているせいもあってか、キャラクターの味付けや演出もなんとも汎用的なものばかりで驚く。

 謎ときものと言えば、最近では「ダ・ヴィンチ・コード」を思い出すが、向こうがヨーロッパを舞台にして現実から少し離れた位置に探し物があるのに対して、今作はアメリカの紙幣や国立公文書館、独立記念館、フランクリン博物館とアメリカ内の身近な観光地が物語の舞台であり、宝の在り処なのである。そのためそこに住んでいる人は場所の意外性に興味は一層深まる、それに詳しくない国外の人はなんとなく傍観するしかない。製作地であるアメリカとそれ以外の場所では、楽しみ方や印象がどうしても変わってしまうだろう。

 アドベンチャーものによくある、逃げ役に徹する主人公をニコラス・ケイジ、宝を追う役に徹するのがショーン・ビーンだ。ある場所に行く→手掛かり→次の場所→手掛かり→次の場所を延々と繰り返す、地味な構成ながらCGや爆発に溢れた現在ハリウッドのなかでは逆に新鮮で面白かったりする。宝の場所を示す地図や地下道での松明など、ニコラス・ケイジが演じたベン・ゲイツは正に現代世界に生きるインディ・ジョーンズそのものだ。


■関連作品■
ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記 ★★
パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールドエンド ★★★
トロイ ★★★★

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