キングダム/見えざる敵 ★★★

キングダム/見えざる敵キングダム/見えざる敵
(2008/04/10)
ジェイミー・フォックス.ジェニファー・ガーナー.ジェイソン・ベイトマン.クリス・クーパー.アシュラフ・バルフム.ジェレミー・ピヴェン

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*****以下、ネタばれ注意*****





 報復の連鎖はどのようにしたら断ち切れるのだろうか。そのような想いが頭のなかを過ったのは、今作のラストカットが非常に余韻の残す感慨深いものだったからだろう。アメリカサイドとサウジアラビアサイドの台詞のカットバックで終わるのだが、アメリカの偏った視点と思えた作品が途端にそうではないことに気付かされる。「見えざる敵」という副題は、味方に成り済まして自爆したテロリストのことではなく、感情に流され復讐心を滾らす人間の本能を指しているのだろう。

 では、どのようにすれば啀み合わずに済むのか。現在の流れでは多少の距離を保ちつつ互いを尊重しあうことではないだろうか。その地に根付いた伝統や慣習・思想はそう簡単には変えられない、なにを基準に境界線が生まれるのか微妙なところだが、まずは互いを認めることからだろう。アクションシーンが記憶に残りやすいが、本編では子供との会話や描写に重きを置いている。それは教育の大切さや次の世代へと平和を託す一種のメッセージとも受け止められ、冒頭のジェイミー・フォックス親子・テロリスト親子のやりとり、ラストの対比関係もブラックな演出に捉えがちだが一抹の希望も伺える。

 アメリカとサウジアラビアの関係・現在の状態に至るまでの経緯を説明した、オープニングクレジットの映像から一気にこの世界に惹き込まれた。自爆テロという題材、ほとんどの舞台がサウジアラビアという点も映画製作には、ある種のリスクを伴っているが説得力とリアリティを感じる出来に。アクションシーンはマイケル・マンが製作に携わっているせいか、タフなものでライブ感にあふれていた。少々、強引な展開もあるが娯楽性と社会的な要素を見事にバランスさせている作品だ。


■関連作品■
マイアミ・バイス ★★
ヒート ★★★★
ステルス ★

[ 2008/03/31 00:01 ] アクション | TB(1) | CM(14)

タロットカード殺人事件 ★

タロットカード殺人事件タロットカード殺人事件
(2008/03/19)
スカーレット・ヨハンソン、ヒュー・ジャックマン 他

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 「タロットカード殺人事件」ひと昔前の火曜サスペンスのような題名だが、内容はサスペンスフルなものからは程遠く、原題「SCOOP」と邦題に齟齬を感じてしまうものだった。劇中にタロットカードは登場するも味付け程度のもので、スカーレット・ヨハンソンとウディ・アレンのコミカルなやりとりがメインとなっている。




*****以下、ネタばれ注意*****




 一応の推理や証拠集めはするものの、どれも浅く、ヒュー・ジャックマンはシロかクロか物語を引っ張った後に、犯人自ら自白するという演出は拍子抜けしてしまう。自分の素性を明かし、スカーレット・ヨハンソンを溺れさせるも、その姿を見届けることなく、ボートで悠々と帰ってしまう間抜けなヒュー・ジャックマン。それ以上に、その現場に向かう途中に自動車事故を起こし、死んでしまうウディ・アレン(笑)失笑せずにいられない場面の連続だ。奇をてらったようなラストだが、終始その狙いが外れているような印象を受ける。

 今作の1番の問題点は、ウディ・アレンが老けすぎてしまい、演技や台詞に力がないということだ。毒気の多い台詞まわしも、社会的・地域的な皮肉も何処か冴え渡らず、お喋りという設定が不快に感じられた。彼がスカーレット・ヨハンソンに惚れ込んでいるということは「マッチポイント」を観ても分かる。監督・脚本家として製作に専念したほうが彼女のためになるのではないかと思わずにいられない。この両者のコンビでもう一作品製作予定のようだが、どのような仕上がりになるのか期待と不安でいっぱいである。


■関連作品■
マッチポイント ★★★
プレステージ ★★★★
ブラック・ダリア ★★

[ 2008/03/30 00:00 ] サスペンス | TB(0) | CM(0)

パンズ・ラビリンス ★★★

パンズ・ラビリンス 通常版パンズ・ラビリンス 通常版
(2008/03/26)
イバナ・バケロ セルジ・ロペス マリベル・ベルドゥ ダグ・ジョーンズ

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 戦争やファシズムを題材にした映画は数多くあるが、子供の目線から語るというのはそうない。それに付け加えて劇中では、少女オフェリアの精神世界をも描いており、世間ではダークファンタジーと称されている異色の作品だ。




*****以下、ネタばれ注意*****




 幼い少女が思い描く世界というのは、それは色彩に富んだ華やかなイメージを連想させるがパンズ・ラビリンスは限りなく暗い。洞窟や地下室が舞台であり、虫が這いずり回り奇妙なクリーチャーが潜む光景が広がるのだ。しかしそのようなダークな世界以上に醜いのが現実の世界である。スペイン内戦下の独裁政治に感化された、ビダル大尉の歪んだ思想・言動はまさしく恐怖・脅威であった。


パンズ・ラビリンス DVD-BOXパンズ・ラビリンス DVD-BOX
(2008/03/26)
イバナ・バケロ、ダグ・ジョーンズ 他

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 この現実世界とファンタジーの世界との対比・対等関係が今作の脚本の巧いところだ。オフェリアは醜い現実から逃避するためにパンズ・ラビリンスを創り上げたのではなく、現実と対峙するために醜い世界を創り上げたのであり、自らに課した3つの試練は最終的には他者を守るという行動に繋がっていく。

 重くネガティブな作品にも捉えられるが、一握の希望を信じながら前へ進んでいくオフェリアの姿には胸うたれるものがあった。最後は死というこの上ない結末を迎えてしまうものの、暗い画が連続で続いていた作品中で、唯一煌びやかに映ったラストの景観は忘れることはできない。賛否はあるかと思うが、個人的には最高のエンディングであり、この美しさと哀しさの感情の共存・混同こそ、戦争の凄惨を際立たせる唯一の奇策だったのだろう。


[ 2008/03/29 00:00 ] 戦争・歴史 | TB(1) | CM(26)

プラネット・テラー in グラインドハウス ★★★

プラネット・テラー プレミアム・エディションプラネット・テラー プレミアム・エディション
(2008/03/21)
ジェフ・フェイヒー、ステイシー・ファーガソン 他

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 グラインドハウスの「デス・プルーフ」が会話劇・エロス・カーアクションの極みならば、「プラネット・テラー」はホラーと正義とアクション満載の快作である。ストーリーは化学兵器により人間が次々とゾンビ化、そのゾンビが人間を次々と襲い始める、というシンプルなもの。

 そのなか繰り広げられる、ゴーゴーダンサーと別れた男、バーベキューの味付けにこだわりをみせる店長と警官の兄弟、仲違いの医者夫婦…と、隅に置けないキャラクター達の人間模様がまた面白い。街がゾンビ一色になるなか、テキサスで1番の味を求めバーベキューソースの味を探求する店長のなんとも愛おしいこと。死に際に初めて、秘伝のレシピをマイケル・ビーンに明かすなど演出もなかなか憎いものだ。


グラインドハウス コンプリートBOX 【初回限定生産】グラインドハウス コンプリートBOX 【初回限定生産】
(2008/03/21)
ゾーイ・ベル、ブルース・ウィリス 他

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 ゾンビを倒す際の血の量が通常映画の約3倍あり、体の部位切断などグロテスクなシーンを惜し気もなく見せていた。この辺りの過激さはロバート・ロドリゲス監督の「デスペラード」や「フロム・ダスク・ティル・ドーン」を思い出させ、その描写をさらに加速させている。必見なのは片足になったローズ・マッゴーワンにマシンガンを付け、地面にロケット弾を発射しその反動で空中を舞うシーン。そして、ヘリコプターを低空飛行させ、プロペラでゾンビ軍団の首を吹き飛ばすという、なんとも漫画のような演出の数々に興奮して叫びそうになった。

 ロバート・ロドリゲス、タランティーノ両者のそれぞれの味が出ていたグラインドハウス。王道のカルト映画という意味では「デス・プルーフ」よりも「プラネット・テラー」の方が単純明快である。またフェイク作品として作られた予告編「マチェーテ」。短い時間ながらツボを押さえた濃い内容、あまりの出来の良さにお腹いっぱいになった。


■関連作品■
デス・プルーフ in グラインドハウス ★★★
ホステル2 ★★
ダイ・ハード4.0 ★★★
ブレイブ ワン ★★★
キル・ビル Vol.1 ★★★★
キル・ビル Vol.2 ★★★

[ 2008/03/28 00:00 ] アクション | TB(1) | CM(0)

めがね ★★

めがね(3枚組)めがね(3枚組)
(2008/03/19)
小林聡美

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 鑑賞を始めてすぐに「かもめ食堂」を思い出した。荻上直子監督、小林聡美、もたいまさこ出演とキャストやスタッフが同じなのだから、しょうがないことかもしれない。「かもめ食堂」では美味しそうなコーヒーや食事を前に見事、作品の魔法にかけられたのだが「めがね」はなんとなく、波長が合わなかった。

 劇中では「たそがれ」という言葉を繰り返し連呼していた。たそがれることは大いに好きなのだが「ここでは本は読めないでしょう」という台詞は引っかかる。個人的な意見だが、旅行に行けば本も読みたいし、本を読みながらもたそがれたいものである。大きなトランクに好きな本を詰め込むことを否定されたようで切ない気分に。普段の忙しさを忘れスローに生きる、というテーマは悪くないのだが、どうもそれを無理に強いられているようで辛い。メルシー体操も本来なら面白い演出なのだが、流れや人物描写にどうしても気持ちがのらなかった。

 しかし布石に食事のシーンは美味しそうである。海老の蒸し焼きや朝食の焼き鮭、温野菜など、それは食欲を誘うものばかり。重要なキーアイテムのひとつ、かき氷もこの上なくそそられた。小豆を氷の下に敷き詰め、最後は透明の水飴をたっぷりとかける…是非食べてみたいものだ。「かもめ食堂」「めがね」を観ると、健全な精神、効果的なメンタルケアは美味しい食事からなのかな、と思ってしまう。


■関連作品■
かもめ食堂 ★★★★
それでもボクはやってない ★★★★

[ 2008/03/25 00:00 ] ヒューマンドラマ | TB(0) | CM(0)

ブレイブ ワン ★★★

ブレイブ ワン 特別版ブレイブ ワン 特別版
(2008/03/07)
ニッキー・カット、メアリー・スティーンバージェン 他

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 「パニック・ルーム」「フライト・プラン」ここ数年、ジョディ・フォスター主役の映画は子供を守る母親というイメージが付きまとい、またそれらの2作品からは彼女が昔見せていた、鋭さや鬼気迫るものを感じることは出来なかった。興行収入・マーケットを気にする脚本がメインに位置するため、彼女本来の魅力は影を潜めていたが、今作にてようやくその感覚が戻ってきたように観える。

 「銃による復讐劇」というある程度のリスクを伴う問題提起。テロ以降、犯罪発生率が減少したといわれるニューヨークだが、闇の部分は払拭出来ていない。街を歩いていて普通にガンショップが立ち並ぶ光景。それが自衛の国、アメリカの姿である。




*****以下、ネタばれ注意*****




ブレイブ ワンブレイブ ワン
(2008/03/07)
ジョディ・フォスター、ニッキー・カット 他

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 自分の恋人を殺され、被害者から加害者へと別人に生まれ変わったジョディ・フォスターと、彼女の行動を疑う刑事をテレンス・ハワードが好演。結果として復讐をやり遂げるのか、刑事がその計画を阻止するのか、どちらかになると予想して観ていたのだが「ブレイブ ワン」では前者を採用した。意外だったのは、最後の復讐をする際、刑事がその手助けをしたということである。現場へ駆けつける直前に、事件当日の一連の動画を観たせいか、正義と悪それらの法の限界に疑問を抱いていたせいか、なんとも感慨深いラストだ。

 犯罪を犯した者は法で裁けるのか、それでも被害者の感情は決して癒えないだろう。銃社会の是非、彼女の行動など映画を観終えても議論の余地は沢山ある。今作はジョディ・フォスターの視点の比率が高いため加害者側の素顔は分からない。犯罪歴もあり、一方的な悪として描かれているが、例えば1人でも普通の人間らしい画があったとしたら…また別の角度から問題を眺めることができそうだ。


■関連作品■
羊たちの沈黙 ★★★★★
インランド・エンパイア ★★★★★


[ 2008/03/19 00:00 ] ヒューマンドラマ | TB(2) | CM(0)

明日、君がいない ★★★

明日、君がいない明日、君がいない
(2008/01/25)
テレサ・パルマー、ジョエル・マッケンジー 他

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 複数人の高校生のとある1日を追っていく展開は、ガス・ヴァン・サントの「エレファント」を思い出させた。「エレファント」のラストが銃乱射という出来事に向かうのに対して、今作が提示しているのは自殺という結末である。どちらの作品も映像に仄かな暖かみを混ぜ、青空を長回しで撮影していたガス・ヴァン・サント監督の画が、青々とした木の葉を下から撮っている今作の画と重なって観えた。




*****以下、ネタばれ注意*****




 冒頭で誰かが自殺した様子を見せておいて、時間が遡り、朝からその間の出来事を追うという構図。主要の人物で誰があの選択をするのかなと思っていたら、意外にも主要人物ではない人が自殺をしてしまう。観客へのミスリードを誘うこととは別に、無関心こそ最大の落とし穴ということに気付かされる。「彼女は何も悩みがないようだったのに」という同級生の台詞がそれを象徴していた。動機も曖昧で突発的な行動にでることは若者特有のものであり、形にならないものをスクリーン上で巧く表現しているように思える。

 印象的だったのは登場人物のほとんどがトイレに篭り、そこで様々な出来事が起こるという点だ。学校に行っても、教室にも仲間内でも彼らには居場所が無いのである。孤独感・逃避という心理を具現化したのが、そのような場所であり、19歳から製作に励んだという若い監督ならではの感性が垣間見えた。


[ 2008/03/19 00:00 ] ヒューマンドラマ | TB(1) | CM(0)

インベージョン ★

インベージョン 特別版インベージョン 特別版
(2008/03/07)
ジャクソン・ボンド、二コール・キッドマン 他

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 久々に二コール・キッドマンが出演している映画を観た。彼女はこれまで、魔女・幽霊・ロボットなど人間以外の役も多くこなしている。それらは彼女の端正な顔立ち、少し言い方が悪いが人工的な美しさをも兼ね備えているからだと思う。

 今作ではシングルマザーとして、未知のウイルスから子供を守る母親役を演じているのだが、最初からその均衡のとれすぎたビジュアルに、なにか違和感を覚えた。普通の日常を描いた姿、朝食をつくるシーンでも服を着替えるのもなにかぎこちなく、既に二コール・キッドマンが感染しているのでは??と疑ってしまうほどである。




*****以下、ネタばれ注意*****




 ウイルスに人々が感染していくというプロットは、最近でも観かけたよくある展開。本作のウイルスの特長としては、感染することで他人という概念がなくなり、世界が平和になるという点にある。「感染を防止することは悪を守ることになる」この辺りの葛藤を重く描くと面白いと思うのだが、中盤以降、自体は割りにあっさりと終息してしまう。

 1番分からなかったのは眠るとウイルスが活動し細胞を支配する、というルールの必然性だ。そのルールのため液体をかけられた主人公は、眠らないように努力をするのだが、他の人が同じように耐えている訳でもなく、わざわざそのような設定付けをした意味がつかめない。

 近年、二コール・キッドマン主演の作品は興行収入でも内容でも散々な結果になることが多く「インベージョン」も例外ではなかった。劇中では、感染者の口から吐かれた緑の液状のものが彼女の顔にかけられるシーンがある。「エクソシスト」などホラー映画でよくあるお約束シーンに嬉しくなりつつも、一方でB級並みの演出に二コール・キッドマンも落ちてしまうのか…と悲しい気持ちになった。


■関連作品■
007/カジノロワイヤル ★★★★
ミュンヘン ★★★

[ 2008/03/17 00:00 ] ホラー・パニック | TB(2) | CM(0)

HERO ★★




HERO映画版 サントラの詳細を見る



 テレビドラマの映画化は近年その数を増してきている。「踊る大捜査線」「アンフェア」「西遊記」「ガリレオ」(2008年 秋公開予定)など、特にフジテレビ系はその動きに積極的だ。オリジナルの映画に出資するより、ヒットしたドラマを映画にする方が、一定の需要や興行収入が望めるからなのだろう。それではテレビで出来ないことをやっているのかと言われると、「HERO」は豪華出演陣という要素以外では、テレビの枠や質を超えていなかったように思える。

 元々はテレビドラマなのだからその空気を壊さない方が良いという気持ちも分かる。しかしそれなら、テレビのスペシャル枠で良いだけのことで…邦画界の将来を危惧しつつも、今作で80億円もの興収があるのだから、ビジネスとして捉えれば当然の流れと言えばそれまでなのだが。


HERO 特別限定版(3枚組)HERO 特別限定版(3枚組)
(2008/03/08)
木村拓哉、松たか子 他

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 映画らしいシーンといえば、韓国でのロケやイ・ビョンホンの出演である。しかしこの1連のシーンは物語として、なくても成立してしまう箇所であり、アジア市場を睨んでの展開に違和感を覚えずにいられない。2回目以降の鑑賞時には完全に蛇足だということが分かるだろう。

 唯一、心から映画版だなと思えたのは豪華出演陣の面々だ。弁護士の松本幸四郎をはじめ、特捜役の香川照之、なかなか手堅いキャスティングを連ねるなか、1番の注目は花岡練三郎を演じた森田一義の存在だった。そのいかにも悪そうな髪形とメガネ。法廷内にて木村拓哉とやり合うのだが、不釣合いな2人が面白い。せっかくの大悪役なので願わくば、もう少し暴れまわって欲しかった。


■関連作品■
アヒルと鴨のコインロッカー ★★★
キサラギ ★★★
[ 2008/03/10 00:00 ] ヒューマンドラマ | TB(0) | CM(2)

ボーン・アルティメイタム ★★★

ボーン・アルティメイタムボーン・アルティメイタム
(2008/03/07)
マット・デイモン、デヴィッド・ストラザーン 他

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 今年の2月に開催された第80回アカデミー賞は、作品賞「ノーカントリー」をはじめ、あまり華がないなと思っていた。そのようななか、編集賞・音響賞・音響編集賞の3部門を獲得したのが「ボーン・アルティメイタム」である。この3部門受賞の快挙は一部メディア等で裏アカデミー賞と評されたほどであり、アクションを主体とする作品中のベースや素材がいかに造り込まれたものであるかを、証明した結果だといえるだろう。

 本作ではアクションシーンでの見所が大きく分けて3箇所ある。ロンドンのウォータールー駅、モロッコのタンジール、ニューヨークのポート・オーソリティ・ターミナル。それぞれの場所で追走劇が展開されるのだが、その映像美がまず眼に飛び込んでくる。ボーンシリーズは派手な爆発シーンや大掛かりな銃撃戦は一切無い、堅実で地味な肉弾戦が特長とされているが、それにプラスしてアルティメイタムではその舞台の美しさが増しているように思えた。空撮やクレーン映像など惹きつけられる画を、短いカットのなかに惜し気もなく使う辺りに見えない製作費、実直な豪華さを感じてしまう。


ジェイソン・ボーン スペシャル・アクションBOXジェイソン・ボーン スペシャル・アクションBOX
(2007/11/08)
マット・デイモン: フランカ・ポテンテ

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 また本編中のカメラワークはわざとぶれをだし、キーアイテムが映るとそこにズームがかかるという手法を繰り返し行っていた。この1連の流れ、演出技法は「24」を思い出させる。CIA支局の作戦本部とCTU内部の様子、黒幕は実は同じ組織のなかに居ることなど、共通点も多いように思えるが、大衆が求めるカット割やリズムなど新しい手法や文法がこの辺りにあるのかもしれない。カメラワークのぶれとズームの繰り返しは、マイケル・ベイ監督の作品のカーチェイスシーンで用いられていたが、この技法を最初に使った映画が何なのか気になる。注目して掘り下げてみるのも面白いのかもしれない。

 それにしても、ジェイソン・ボーンの強さはアルティメイタムでも健在だった。ただ強いだけではなく、車のミラーの位置を瞬間に調整して後方を確認したり、衝突の衝撃に備えてシートベルトを付けたりと、人間臭いカットがあるため強さに現実味を感じてしまう。

 あまりに無敵のため、敵役であるノア・ヴォーゼン局長を応援するのだが、この局長がなかなか頭が悪い。ボーンの仕掛ける罠に次々に嵌るなど良いとこなしである。そのような局長がレストランでの会食で「”心臓に優しい”ヘルシーオムレツ」を注文したシーンが妙に面白かった。中間管理職の悲哀かボーンとのやりとりに疲弊しているのか、緊迫した映画のなかでの微笑ましいやりとりだ。


■関連作品■
ボーン・アイデンティティー ★★
ボーン・スプレマシー ★★
オーシャンズ13 ★★★
ディパーテッド ★★★
ラウンダーズ ★★★
[ 2008/03/08 00:00 ] アクション | TB(0) | CM(4)

ホステル2 ★★

ホステル2 [無修正版]ホステル2 [無修正版]
(2008/02/22)
ビジュー・フィリップス、ヘザー・マタラッツォ 他

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 前作を観ている時に、余計な部分まで語りすぎているなという気がした。当然のことながら脚本・撮影の段階で、ヒットすることや続編が製作されることなど誰も予想出来なかっただろう。ほとんどの情報を明かした後でのパート2。前回と比べ、大きな変更点が2つあった。

1.加害者側の視点
 「ホステル2」では殺人拷問を受ける若者だけではなく、様々な手段で殺人を行う加害者側の視点も描いていた。アイディアとしては面白いのだが描写が浅く、そもそも快楽殺人という行為に走るまでの動機が分かりにくい。もう少し時間をかけ、納得しうる人物像に仕上げると、ホラー映画の概念を変えるような構図になっていたと思う。


ホステル デラックス・コレクターズ・エディション〈完全版〉(2枚組)ホステル デラックス・コレクターズ・エディション〈完全版〉(2枚組)
(2008/02/22)
エイゾール・グジョンソン、デレク・リチャードソン 他

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*****以下、ネタばれ注意*****




2.主人公が男性から女性へ
 メインとなる主人公のグループが女性へと変更したのは大きな賭けだったのではないだろうか。主役のローレン・ジャーマンは知的で小奇麗な印象の俳優。彼女がどのような目にあってしまうのか、男性の観客であれば若干の期待もしてしまうものだが、たいした露出もなく(笑)物語は終わってしまう。

 被害者から加害者に生まれ変わる展開、金が全てという世の中を皮肉るパワーバランスは悪くはないが、物足りなさは否めない。推測だが出演する際の契約に、露出や過激なシーンをNGとする一文があったのかもしれない。将来有望な女優は簡単には脱がないのだろう。


 また前作では、男が女を買い悦楽に浸っている前半から逆の立場になるという、戒めとしたメッセージ性。安易な悦に走ると後悔するという教訓があったのに対し、今回の女性グループは何も悪くないので、ただただ悲惨なだけというのもスッキリしない。

 そのようなことからなのか、今回は過激なシーンも大幅に減っていた。続編でビジュアルだけを強化して失敗する例が多々あるが、今作は抑止し過ぎて質を落としている。2つの変更点など工夫は見られるが、ファンとしては納得の出来ない内容だったのではないだろうか。


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ホステル ★★★
デス・プルーフ in グラインドハウス ★★★
キル・ビル Vol.1 ★★★★
キル・ビル Vol.2 ★★★

[ 2008/03/06 00:00 ] ホラー・パニック | TB(0) | CM(0)

世界でいちばん不運で幸せな私 ★★

世界でいちばん不運で幸せな私世界でいちばん不運で幸せな私
(2005/02/04)
ギョーム・カネ

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 「世界でいちばん不運で幸せな私」このタイトルにまず興味を惹かれる。「小さな頃から運に見離された女性が、紆余曲折の末に運命の男性と出会う。」と、このような物語を予想していたのだが中身は全く違うものだった。「私」とあるので、女性主観の作品と思っていたらどちらかというと男性視点、男性側のナレーションで物語が進んでいく。

 幼なじみのジュリアンとソフィーは、お菓子の缶を使いゲームを始める。そのゲームのルールは相手に条件を出し、その条件を絶対にクリアするというものだった。他人に悪戯を仕掛ける様子や細かいカット割りなどの作風は「アメリ」に似ている。ただ「アメリ」は身の回りの些細な幸せや小さな悪戯の積み重ねを描いたのに対して、今作は本気の悪戯。

 警察を呼ぶ、結婚式をぶち壊すなど相当に過激なものだ。この毒気が今作の売りでもあるが、周りは関係なく2人が幸せでよければそれでも良いという考えには同意しかねる。ファンタジーや寓話といえばそれまでなのだが...そういう視点で観ると、劇中にある「ゲームにのるか、のらないか」という台詞は鑑賞者自身の気持ちに問いかけているようだ。


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プロヴァンスの贈り物 ★★

[ 2008/03/04 00:11 ] ラブロマンス | TB(0) | CM(0)

デス・プルーフ in グラインドハウス ★★★

デス・プルーフ プレミアム・エディションデス・プルーフ プレミアム・エディション
(2008/02/22)
ヴァネッサ・フェルリト、ローズ・マッゴーワン 他

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 面白い映画とは一体どのようなものなのだろうか。「デス・プルーフ」は若い女性のグループのどうでもよい会話が延々と続き、バーで酒を飲み、元スタントマンのサイコ野郎に命を狙われるだけの、しょうもない内容である。「THE END」の字幕がスクリーンに映し出されたときには、飲んでいたものが吹き出しそうになるくらいのくだらなさ、突っ込み所満載のラストだ。それでもそれが何故か面白いのだ。

 60〜70年代に乱発された、カルト映画を復刻したのが「グラインド・ハウス」というプロジェクトだ。現在ある映画がこのようなものばかりだったら、ここまで注目されることはなかっただろう。2000年を過ぎ、大衆の好み・綿密なリサーチの末に、内容やラストカットまでもが決まる現在のハリウッド映画。CGを使い、派手なシーンを造りあげ、有名なスターを求め巨費を投じるも、出来上がりは中身がないものばかりである。そんな商業ロジックに縛られた世界のなかで、このような作品に巡り会うと映画の本質である「面白さ」とはなにか考えざるを得なくなるのだ。

 少なくともタランティーノ監督はその面白さやツボを分かっており、映画本来の味を復元・製作できる貴重な映画人だと言える。ただ単に昔の真似をするだけではなく、古い時代考証に見せかけた劇中の空気のなかで、さらりと携帯電話やipodを覗かせる辺りの感覚に驚き、タランティーノ監督の才能の片鱗を見せつけられる。


グラインドハウス コンプリートBOX 【初回限定生産】グラインドハウス コンプリートBOX 【初回限定生産】
(2008/03/21)
ゾーイ・ベル、ブルース・ウィリス 他

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 前半の内容から想像もつかない後半への展開。生身の人間の限界を感じさせるゾーイ・ベルのカースタント。バーでのダンスやジュークボックス。B級ながらに間を空けない見所の多いゴージャスな作品だ。

 70年代に生まれていないので当時のことは分からないが、個人的には80年代のしょうもないアクション映画を是非ともプロジェクト化してほしい。筋肉質、タンクトップ姿、どうでもいい敵に対して尋常ではない被害をだすカーチェイス、あり得ない敵の数に対しての銃乱射、爆発をバックに吹っ飛ぶ主人公、ヒロインとのロマンスなど想像するだけで笑えてしまう。まずは、タランティーノの後継者が現れるのを待つのみだ。


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キル・ビル Vol.1 ★★★★
キル・ビル Vol.2 ★★★
ダイ・ハード4.0 ★★★
ホステル ★★★

[ 2008/03/02 00:02 ] ホラー・パニック | TB(1) | CM(2)

それでもボクはやってない ★★★★

それでもボクはやってない スタンダード・エディション それでもボクはやってない スタンダード・エディション
加瀬亮;瀬戸朝香;山本耕史;もたいまさこ;役所広司 (2007/08/10)
東宝
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 痴漢事件の冤罪、日本の裁判制度の実態を鋭く描いた今作。冤罪で捕まってしまう主人公の男性が26歳、自分と同じ年齢ということもあり大きな衝撃をうけた。

 もし実際にやってもいない痴漢で捕まった場合「やっていない」と主張するだろう。鑑賞前は自分のなかにもそういう意識は当然あったが、上映して30分と経たないうちにその気持ちは揺らいだ。主人公は最後まで一貫して無実を主張したが、自分なら当番弁護士と接見した時点で確実に折れる。そして鑑賞後もその気持ちは変わらず、やってない罪を別のニュアンスで認めてしまうかもと思ってしまった。




*****以下、ネタばれ注意*****




 26歳でフリーター、これから企業の面接に行く途中の電車内で痴漢と間違えられる。細身で一見すると大人しそうな彼が、警察や検察官の偏った取り調べにもめげずに無罪を主張、12回にもおよぶ裁判をした後の判決。これは映画であり、弱者は助かると観ている側は願うが判決は有罪、愕然としてしまう。これが現実なのだ。

 映画としての脈絡を外しリアル路線を貫いたラスト、痴漢事件で無罪を勝ち取る難しさを思わせるし、この結果こそ今作の意義があるのかもしれない。


それでもボクはやってない スペシャル・エディション(2枚組) それでもボクはやってない スペシャル・エディション(2枚組)
加瀬亮;瀬戸朝香;山本耕史;もたいまさこ;役所広司 (2007/08/10)
東宝
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 また本作が巧いのは、痴漢はしていないけど鞄が被害者の少女に当たっていたかもしれない。真犯人がいたかもしれないが、いなかったのかもしれない、など事件の真相は分からずに曖昧であること。つまり主人公は痴漢はしていないけど、電車内で不用意に動いたり、電車に体の正面を向けて乗っていたりと突っ込み所を与え、完全に悪くないわけではないのだ。そして今作には本心から悪い人間が1人もでてこないこと(非難できるのは現状の裁判制度)この点が気持ち悪くすっきりしなかった、と同時に非常に巧い脚本だと感じた。

 それでは冤罪にならないためにどうすれば良いのか、とどのつまり最低限の知識をつけ自分の意識を高めておくことだと思う。極力疑わしい行動はせず、何か起きた場合は目撃者を押さえておくおこと。また被害者の女性のほうも難しいことだが、状況を鮮明に覚えてはっきりと証言することだろう。そういう意味でもこの映画は、男性のみならず女性にも多くの人に観てもらいたい作品だ。

 「自分に嘘をつき、軽い犯歴をもち、5万円ほどのお金を払ってその日のうちに自由になる」か「自分の気持ちを貫き無罪を主張し、4ヶ月拘留され、保釈金等何百万というお金を払い、有罪になるかもしれない裁判をするのか」普通の社会生活を送るうえでこの2つの選択は非常に難しい、一概に「それでもやってない」とは言い難い。
 それ故に「10人の真犯人を逃すとも、1人の無辜を罰するなかれ」という冒頭の一文が重く感じられた。


■関連作品■
かもめ食堂 ★★★★
めがね ★★


[ 2008/03/01 00:01 ] ヒューマンドラマ | TB(0) | CM(2)
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