イレイザーヘッド デイヴィッド・リンチ リストア版 [Blu-ray]イレイザーヘッド デイヴィッド・リンチ リストア版 [Blu-ray]
(2013/08/23)
ジャック・ナンス、シャーロット・スチュワート 他

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何度も観たい悪夢


 「イレイザーヘッド」がカルトムービーとして長年愛される理由はどこにあるのだろうか。今作のDVDを購入して随分経つが、仕事で疲れて帰った後でも、寝る前でもジャケットに写っているジョン・ナンスと目が合うと、ついつい鑑賞したくなるのだ。面白い面白くないという概念を超えて、ただ傍観していたい、その世界に入り浸りたいという感覚、中毒性は他の映画では体験できないものだ。

 結局、この作品はなにを表しているのか、未だによく分からない。よく言われるのが、若くして父親になった、デヴィッド・リンチ監督の不安やストレスを表現しているという見方だ。劇中の赤ん坊(のようなもの)はそのままで、白く紐状の生物が精子という具合だが、それ以外の演出は謎である。様々な解釈ができ知的好奇心を刺激するが、父親になるプレッシャーよりも、鑑賞者自身が現在、抱えているストレスに置き換えて観ると、さらに楽しめるのではないだろうか。

 登場人物を紹介し、ある出来事をうけて物語が展開される、一般の映画文法から外れていることもあり感想を書き難いが、「イレイザーヘッド」というものを分かり易く食べ物に例えると"ウニ"のようなものだと思う。

 見た目はトゲトゲしくグロテスクなもので、その外見からは想像もできない黄色の中身がでてくる。食べるか食べないか悩むが、食べてみると意外と美味しい。ある人はその味を苦手とするが、一度食べるとまた食べたくなる。映画の内容とはかけ離れるが、漠然とウニを連想してしまった。

 突然、首が吹き飛び、その頭の中身を鉛筆に付いている消しゴムにする。そんな不条理な悪夢を何度でも観たくなるのだ。


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インランド・エンパイア ★★★★
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バットマン リターンズ [Blu-ray]バットマン リターンズ [Blu-ray]
(2010/04/21)
マイケル・キートン、ダニー・デビート 他

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 バットマンの見所は"悪役"そのような空気ができたのは、前作でジョーカーを演じたジャック・ジャックニコルソンの影響に違いない。続編となるリターンズでは、ペンギン、キャットウーマンという2人の敵が登場し、それぞれダニー・デヴィートとミシェル・ファイファーという面白い配役になっている。しかし面白いのは俳優陣だけではなく、キャラクターの味付け・ダークさもまたユニークだった。

 ジョーカーは生まれながらの悪だったのに対し、今作に登場する敵は元々は悪くなく、様々な要因から変わってしまうのだ。それは両親であったり、企業・組織であったりするのだが、バットマンを含め3人ともトラウマを抱えながら戦うという暗い三つ巴戦が面白くも哀しい。

 よくよく観ると、1番のワルは原子力発電所を造り利益を独占しようとした、クリストファー・ウォーケンであり、彼やキャットウーマンとの間で振り回されたペンギンが最も可哀想に思えてしまう。孤児として下水道で育ち、奇形で日陰で暮らしてきたという設定は、ティム・バートン得意のタイプのキャラクターだ。また全編に渡りキャットウーマンの変身ぶりや動きが印象に残る。側転やムチでの縄跳びなど、トリッキーな戦いに好感を抱き、「ミャーオ」と言った直後に背後の建物が爆発するシーンなどは最高にクールなものだった。

 ティム・バートンワールドも健在で、各種小道具や美術など細部までこだわりが観れるのだが、前作ほどゴッサムシティに広がりを感じられず、スタジオのような雰囲気がしたのは非常に残念である。クリスマスツリーが植えられた一画を何度も行き来しており、前作でいう教会や美術館のように他のロケーションも描いてほしかった。


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ファウンテン 永遠につづく愛ファウンテン 永遠につづく愛
(2008/06/06)
ヒュー・ジャックマンレイチェル・ワイズ

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 「ファウンテン」は当初、ブラッド・ピットが出演する予定だったがダーレン・アロノフスキー監督との方向性の不一致から、出演を断念したという経緯がある。その後、代わりにヒュー・ジャックマンが主演となったが、内容を見渡す限り彼が辞退した理由がよく分かった。

 ブラッド・ピットが降板した後、ケイト・ブランシェットも降板することになったのだが、いっそのことその豪華コンビでの「ファウンテン」観てみたかった気もする。頭を丸坊主にして、宇宙空間を背景に座禅をして瞑想をする姿はかなりのインパクトがあり、演じる側も相当な覚悟が必要だ。

 「π」「レクイエム・フォー・ドリーム」とスタイリッシュな作品を描いてきた監督が、ここに来て失速した原因はどこにあるのだろうか??前2作に比べ作品の出来が落ちた監督として、「CUBE」「カンパニー・マン」「ナッシング」の順番で製作したヴィンチェンゾ・ナタリ監督を思い出した。

 両者共にサスペンスやスリラーで斬新な物語を構築してきたが、コメディや恋愛など少しジャンルを変えただけで、表現方法が幼稚化してしまうのではないだろうか。ある感覚が秀でていて、得意とするジャンルはあるものの、その領域から外すと恐ろしく滑稽になるのだ。「レクイエム・フォー・ドリーム」で細かいカット割を駆使し、この上ない絶望感を表現した監督の力強さが、今回は見えず演出が散漫になっている印象をうけた。

 「ファウンテン」は主題としては大変面白そうなものだが、それを複雑に捉えすぎているように思う。期待の監督としてあえて難しい方にチャレンジしたのか、今作では個人的にはそのアプローチ方法に賛同しかねる。奇抜な画、丸坊主のヒュー・ジャックマン、興行的にも失敗しており珍作として語り継がれることになりそうである。


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サイン (Blu-ray Disc)サイン (Blu-ray Disc)
(2008/07/18)
メル・ギブソンホアキン・フェニックス

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見逃し三振を喰らった気分


 「サイン」を鑑賞すると、野球のピッチャーとバッターの関係を想像したくなる。M・ナイト・シャマラン監督がピッチャーでスクリーン越しの観客がバッターという具合だ。監督はこれまでの作品で「シックス・センス」という変化球、ややボール気味ながらも「アンブレイカブル」という変化球を投げてきた。さて今回はミステリーサークル。どんな変化球を投げるのか期待してバッターボックスに立つと、そのままストレートが来て見逃し三振を喰らった気分になったのだ。




*****以下、ネタばれ注意*****




 何故ミステリーサークルが出現したのか??人為的なものか、自然現象なのか、まさか夢なのか。あらゆる球筋を予想しておいたらそのまま宇宙人が登場。裏の裏を突いてのまさかのストレートに、もはや笑うしかなかった。

 今作にはいくつもの突っ込み所があり、そのことについては多くの人が触れている。最大の突っ込み要因は宇宙人が水に弱いということだ。UFOまで開発する技術を擁しておきながら、これから着陸する惑星についてリサーチしないはずはない。それなのにぬけぬけと生身の身体で登場する間抜けさ。梅雨の時期に日本に飛来していたら、なにをするでもなく即行で立ち去るだろう(笑)

 また「サイン」の1番の見所は、ホームビデオに映りこんだ宇宙人が道を横切るシーンではないだろうか。UFO特番でよくあるインチキくさい映像なのだが、その手作り感に癒される。時代はYOUTUBEだが、それに熱狂する感覚を映画内に収めている見事な場面だ。


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アイズ ワイド シャット [Blu-ray]アイズ ワイド シャット [Blu-ray]
(2010/04/21)
トム・クルーズ、ニコール・キッドマン 他

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 「キューブリックはキャラクターを描かない」という言葉を耳にしたことがあるが、その言葉に最も即した作品が「アイズ・ワイド・シャット」ではないだろうか。トム・クルーズ、ニコール・キッドマンの2大スター夫婦共演(当時)も話題となっていたが、2人の存在がまったく頭にはいらないほど影が薄かった。

 その原因のひとつに完璧主義といわれていた、キューブリック監督の徹底した映像美が挙げられる。どのシーンを切り取っても、幾何学模様を眺めるような規律があり、背景にあるフィラメントの灯りや、夜を表すブルーの光が、その前にいる人物の存在を打ち消しているように観えた。屋外でのシーンも立方体の部屋に居るような感覚に陥り、ステディカムを用いた流動的なカメラワークも、カメラの動きばかりを注視してしまう。また監督作品には珍しく、大スターを起用したことも作品をコントロール出来なかった要因になったのではないだろうか。

 このようなテクニカルな手法は人物像を打ち消してしまうものなのか、それともトム・クルーズ、ニコール・キッドマンがその技法に属さなかったのか、いずれにしてもキューブリックの遺作としては惜しい出来となっている。

 物語自体は謎が多く、その世界に突然放り込まれ、突然突き放されるような展開になる。起承転結の転で終わる印象であり、あまり深く探る気持ちにならない。異形の地ともいえる屋敷での乱交パーティーや、黒装束と仮面の異様さだけが鑑賞後も痛烈に記憶に焼きついたくらいだ。


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インディ・ジョーンズ 最後の聖戦 [Blu-ray]インディ・ジョーンズ 最後の聖戦 [Blu-ray]
(2013/12/20)
ハリソン・フォード

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 蒼い瞳をしたリバー・フェニックスの頭におなじみの帽子がかけられ、次の瞬間、ハリソン・フォードの顔に移行する。インディファンならずとも叫びたくなる演出だ。今作は「THE LAST CRUSADE(最後の聖戦)」と副題にあるように、インディ・ジョーンズ3部作の完結編と位置付けられ、これまでの様々な過去・秘密も明らかになった。

 アクションシーンはシリーズ屈指の激しさで、スティーブン・スピルバーグやジョージ・ルーカス、フランク・マーシャルが、アイディアを絞り出した賜物なのであろう。ほとんどがチェイスシーンとなるが、陸・海・空すべてを制覇するダイナミックなシークエンスばかりだ。船のスクリューの後ろで殴り合い、飛行機はトンネルに主翼を折りながら突っ込み、戦車のキャタピラ上での死闘を繰り広げる、これらのスリルの創造や見せ方には感服してしまう。アクションが少ないと感じバイクシーンを追加したことは、サービス精神旺盛なスピルバーグ監督らしいエピソードだ。

 また初めて父親を登場させたことにより親子関係を示し、物語に厚みと笑いを加える結果となった。ナチス・ドイツとの緊迫した展開のなかで、ひとつ抜けていた父親だが聖杯や息子に対する愛に満ちた人物である。勿論、名優ショーン・コネリーの存在がそれらを構築できた要因であり、「ジェームズ・ボンドがインディ・ジョーンズに」との不安もあったが、見事に作品に溶け込んでいたのが嬉しい誤算だった。ジュニアと息子のことを呼んでいた父親が、ラストで初めて「インディアナ」と語るシーンは冒険活劇を超えた感動を呼び起こした。

 過去の回想シーン、親子関係を見せることで、インディ・ジョーンズというヒーローにさらなる魅力を付加し、荒野の夕日をバックにシリーズは完結を迎えた。「スターウォーズ」や「ゴッドファーザー」など1作におさまらずシリーズ化された例は沢山あるものの、物語をそれぞれに完結させ、これほどバランスのとれた映画は「インディ・ジョーンズ」より他にない。


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ブルース・ブラザース [Blu-ray]ブルース・ブラザース [Blu-ray]
(2012/05/09)
ジョン・ベルーシ、ダン・エイクロイド 他

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 映画史上最高のカーチェイスとしてよく耳にするのが「ブリット」だが、個人的には「ブルース・ブラザーズ」が1番だと思う。映画のカーチェイスに何故、魅せられるのか??そのことに特化した専門の本まで発売されているが、日常生活に密着した車・道という光景に"日常外のスピード感と破壊を尽くす"この辺りに魅力があるのだろう。

 今作と同じくシカゴの高架下を疾走する「フレンチ・コネクション」も、カーチェイスのシンボル的作品だが、破壊するという点でいえば「ブルース・ブラザーズ」の方が勝っている。蛇足だが最近発売された、世界的大ヒットゲーム「グランド・セフト・オートⅣ」では、シカゴのような高架下の街並がゲーム内で完璧に再現されていて驚いた。映画のようまでにはいかないが、それに近いカーチェイスが表現できそうである。

 「ブルース・ブラザーズ」のカーチェイスの良さは、特撮や秀でたカメラワークはないが、スタントマンの腕前や車の破壊について職人気質のこだわりが見られるところだ。近年の映画のカーチェイスは、素早いカット割りやスローモーションの多用で、車の位置関係やスピード感を把握しにくく、一連のプロセスが伝わらないため味気ない。

 それに比べ、今作では正にそのスピードで対象物に突っ込み、且つ、車の壊れ方も千差万別で1台1台が変わったリアクションを見せるのが面白い。壊れた車の台数もすごいのだが、ショッピングモール内を破壊しながら疾走する一連のシーンも見所である。エキストラの人がそのままカメラに突っ込むなど、撮影の危険さや手作り感が伝わってきた。ありえないジャンプや挙動も多いが、そこはご愛嬌で。なにが起きても動じない主役の2人もクールである。

 アクションの合間には有名ミュージシャン、ジェームズ・ブラウン、アレサ・フランクリン、レイ・チャールズなど豪華出演陣が歌い、数多くの楽曲がながれる。お馴染みのテーマソングや「監獄ロック」を聴くたびに顔がにやけてしまうのだ。


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インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 オリジナル・サウンドトラックインディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 オリジナル・サウンドトラック
(2008/06/06)
ジョン・ウィリアムズ

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6/5に開催される「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」ジャパンプレミアに…行きたかった(笑)
インディ・ジョーンズは小学校のときからずっと好きだったので、今回の新作が発表されて以降、その動向をチェック。ジャパンプレミアの情報も随時、確認していました。4月の下旬辺りから雑誌等でジャパンプレミアの応募開始!!ハガキを大量に購入。


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パソコンのソフトで応募すると熱意が伝わらないだろう、ということで1枚1枚手書きで記入。あまり目立ちすぎないようにしつつ、一言だけインディ・ジョーンズが好きだという想いを伝えながらハガキに書き込む。しかも日を変えて投函する念のいれよう。ハガキとインターネットも併せて相当数、応募しました。
…っで、結局はずれ(笑)

舞台挨拶と試写ではなく、レッドカーペット・セレモニーは当選しましたが諸事情で断念。レッドカーペットのほうが、本人に間近で会えたり、サインを貰えたりしたかもしれないけど…平日の夕方、福岡から東京に行くのはやはり難しいことでした。


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「インランド・エンパイア」のときもそうでしたが、都心部、特に東京が有利というのを痛感。政治も経済もトレンドも、日本はなんでも東京に一極集中しすぎだと、はずれたことを理由に妬む(笑)

今回のジャパンプレミアの招待状はヤフオクへの出品も多かったのですが、そのほとんどが東京在住の人が出品者だというのが気になりました。東京で開催されるプレミアなので当然、東京の人が多数応募したということでしょう…か????それでも出品するくらいなら、10何年間も熱を入れた大分県のインディファンを選んで欲しかった...パラマウントは好きな映画が多いのに想いが伝わらず残念…。


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会場に行けた人は思い切り楽しんでほしいです。生でハリソン・フォードやジョージ・ルーカスに会えるというのは羨ましい!!小さい頃からのヒーローに会う、というのはまたの機会にして、とりあえず6月14日の先行ロードショーを楽しみに待ってます!!

最近、発売された「メイキング・オブ・インディ・ジョーンズ」が異常に気になる。本屋で見かけ手にとってみる、大きくて分厚い。ビニール張りで内容が確認できず、そして何よりも高い(笑)6300円は厳しい!!ネタばれもありそうだし、クリスタル・スカルの王国を鑑賞した後にでも買ってみようかな。オフショットが多いと嬉しいな。


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メイキング・オブ・インディ・ジョーンズ -全映画の知られざる舞台裏- (LUCAS BOOKS)メイキング・オブ・インディ・ジョーンズ -全映画の知られざる舞台裏- (LUCAS BOOKS)
(2008/05/31)
ジョナサン・W・リンズラー/ローレン・ボザロー

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ジャンル:映画
スーパーバッド 童貞ウォーズ コレクターズ・エディションスーパーバッド 童貞ウォーズ コレクターズ・エディション
(2008/01/23)
ジョナ・ヒルクリストファー・ミンツ=ブラッセ

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 ただのおバカ映画に終わらない


アメリカの高校生活はパーティーだらけなのか。週末ごとに自宅で行われるパーティーやプロムパーティーといった具合に、ティーン向け映画では頻繁に出てくる舞台である。劇中でも語られるように、女の子にもてようとするなら、これらのイベントを制することが必須のようだ。またお酒を買う際にIDを提示しないといけない、というのは意外。アルコールに対する規制が日本よりアメリカの方が厳重なのだなと感心させられたシーンだ。

 「スーパーバッド」は「アメリカンパイ」と同様に、初Hを目指す3人の男子高校生を描いた青春コメディである。そのせいか序盤からエロトークが満載であり、とりわけ小さい頃に男性器の絵を描くことに執着していた、エバンのエピソードは最高に可笑しい。その奇妙な絵や生々しいナレーションが、日本未公開になった原因になったのかなと規制線の境界をついつい勘ぐってくまう。しかし中盤以降では、「アメリカンパイ」とは違う要素、「スーパーバッド」がただのコメディ映画に終わらなかった"大人になること"という別のテーマが見えてくるのだ。




*****以下、ネタばれ注意*****




 途中から登場する警官2人は職務を全うしつつも、マクラビンと出会うことで大人への反抗心を見せ始め、最終的にはパトカーまで燃やしてしまう。マクラビンに銃を撃たせ「大人になるとはこういうことなんだよ」と言わんばかりに、しみじみしている姿が妙に悲しい。

 もっと素晴らしいのはラストカットだ。エレベーターを降りながら、後ろをちらりと振り向くエバン顔はこの上ない切ないものだった。大人になること、時間は戻せないこと、友人との別れ、といった要素が凝縮されており、既存のコメディ作品にはなかった大きな余韻を残している。「スーパーバッド」がアメリカで大ヒットした理由がこの辺りの演出から読みとれる。


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アサルト13 要塞警察アサルト13 要塞警察
(2006/08/02)
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 老朽化のためその日をもって閉鎖される"13分署"を謎の武装集団が襲撃する。13分署の職員+護送された犯罪者VS謎の武装集団というアクション篭城もの。ジョン・カーペンターが製作した過去のリメイク作のせいなのか、劇中のいたるところからB級の味わいがあり、大いに楽しめた。




*****以下、ネタばれ注意*****




 謎の集団といった物々しい雰囲気のわりに、早くに正体をタネ明かししてしまう素早い展開は笑える。敵のボス、ガブリエル・バーンが「AV5はまだか??」と息を荒げて言ってたので、ワクワクしながら到着を待っていたら、普通の突入チームのことだった。ヘリで登場というのでそこは良かったが、建物に降下して何もしないうちに炎に取り囲まれて撤退って...散々、引っ張っておいてお前らはいったいなんなんだと言いたい(笑)

 それにしても「アサルト13」では誰が生き残るのか全く読めない。口数の多い愛嬌のあるキャラクターは、大体生き残るはずなのだが意外にも即死。篭城戦に全く関係なく、主人公のせいで巻き込まれた分析医は、完全なる善タイプのキャラクターなのだがまさかの即死。悪い奴は完全には悪くなく、なんなく生き残ってしまうというのも意外だった。

 警察署の攻防が終わり舞台は何故か森へ。そこからはグダグダの展開。さらにエンディングでは、13分署のグラマーな姉ちゃんに抱かかえられるイーサン・ホーク。死んでしまった分析医のことを、一瞬も思い出さないままエンドというのも素晴らしい潔さだ(笑)

 最新の武器、スタングレネードや手榴弾、暗視ゴーグルや盾を駆使した銃撃戦は見応えがあり、イーサン・ホークやローレンス・フィッシュバーンの立ち回りもなかなか格好よかった。


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ナショナル・トレジャー2/リンカーン暗殺者の日記 (Blu-ray Disc)ナショナル・トレジャー2/リンカーン暗殺者の日記 (Blu-ray Disc)
(2008/06/04)
ニコラス・ケイジヘレン・ミレン

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 ジェリー・ブラッカイマーが製作した作品で、一番好きな映画は「ザ・ロック」だ。アクション映画ながら、キャラクター像・音楽・演出、全てにおいて質が高く初見のときなど、かなり興奮しながら鑑賞したのを覚えている。なかでもエド・ハリスが演じたハメル准将の言動に惚れ込み「アクション映画の良し悪しは悪役で決まる」という自論を決定付けるかのような素晴らしい映画だった。

 あれから約10年経ち、ジェリー・ブラッカイマー×ニコラス・ケイジ×エド・ハリスが再び今作で集結したのである。中盤にあった英国でのカーチェイスシーンは、ベン・ゲイツとジェブ・ウィルキンソンの物語ではなく、スタンリー・グッドスピードとハメル准将のチェイスだと、心のなかで変換しながら楽しんだものだ。ハメル准将の良さは悪役ながら紳士的だったこと、今回のウィルキンソンも黄金都市を探すために手段を選ばない悪役なのだが根は悪くない。梯子から落ちそうになったダイアン・クルーガーを助けたり、後半の展開であったり所々でそれらしい行動はあった。扱う題材からか、それほど脅威には思えなかったが、ニコラス・ケイジと同じ画面に映るたび、あの青く鋭い瞳が映るたびに嬉しくなったのは自分だけではないはずだ。


ナショナル・トレジャー&ナショナル・トレジャー2/リンカーン暗殺者の日記 アルティメット・5-Disc・セットナショナル・トレジャー&ナショナル・トレジャー2/リンカーン暗殺者の日記 アルティメット・5-Disc・セット
(2008/06/04)
ニコラス・ケイジ、ダイアン・クルーガー 他

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*****以下、ネタばれ注意*****




 本編のほうは前作と変わらず、謎解き→場所→次の謎→次の場所の繰り返しである。続編なのに主要キャラクターに魅力が感じられなかったのは、それぞれが抱える危機的状況が安易過ぎることだろう。ベン・ゲイツとアビゲイルは別居、ライリーは本が売れず且つ脱税で追徴金を払う羽目に、ベン・ゲイツの父親ヘンリー・ゲイツと母親の確執、どれを取り上げても想定内の出来事であり、意外性もなくラストを迎えてしまう。なんともディズニーらしい安定した味付けなのだが、平坦すぎるという印象は否めない。

 また前作であった独立宣言書強奪に対するものが、今作では大統領のみが知る本の存在だ。ここが最大の見せ場になるはずなのだが、大統領を誘拐して直接、本の在り処を聞きだすとはなんとも芸がない。本人からではなく、何らかの方法で華麗に場所を導いた方が、よほど盛り上がったのではないだろうか。

 ニコラス・ケイジは続編映画に出演しない俳優ということを聞いたことがあるが、本作を観てその意味がなんとなく分かった気がした。


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