SUPERMARKET FANTASY [通常盤]SUPERMARKET FANTASY [通常盤]
(2008/12/10)
Mr.Children

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 2月15日(日) Mr.Children Tour 2009 -終末のコンフィデンスソングス- マリンメッセ福岡2日目に行ってきました。Mr.Childrenライブはそのツアーごとにコンセプトが決まっていて、それによって曲や演出が変わっていくのも楽しみのひとつ。以下、2/15のセットリストです。


■Mr.Children Tour 2009 -終末のコンフィデンスソングス-

1.終末のコンフィデンスソング
2.everybody goes -秩序のない現代にドロップキック-
3.光の射す方へ
4.水上バス
5.つよがり
6.ロックンロール
7.東京
8.口がすべって
9.ファスナー
10.フェイク
11.掌
12.声
13.車の中でかくれてキスをしよう
14.HANABI
15.youthful days
16.エソラ
17.innocent world
18.風と星とメビウスの輪
19.GIFT
20.少年
21.花の匂い
22.優しい歌


 アルバム「SUPERMARKET FANTASY」の発売以来、1番聴いていたのがトラック1の「終末のコンフィデンスソング」。今回のツアーでもその曲を1番楽しみにしていたところ、スタートのいきなり1曲目で歌ったために、興奮してよく分からないまま終了(笑)できれば中盤辺りでじっくりと聴きたかったです。セットリストは「SUPERMARKET FANTASY」の曲を中心に構成され、そのアルバムの曲と曲の間に、昔のアルバムから、それぞれのコンフィデンスソングを上手に挟んでいるなという印象をうけました。MCのなかでそれらを"本日のお勧め料理"と形容していたように、「つよがり」や「車の中でかくれてキスをしよう」など最新の曲だけでなく昔の曲を挿入しているのが嬉しかったです。

 曲目のなかで1番盛り上がっていたのは「youthful days」「エソラ」「innocent world」の部分。特に「エソラ」はアルバムとツアーのコンセプトカラーでもある虹の帯が画面いっぱいに映し出され、曲の歌詞に導かれるようにテンションも最高潮に。曲の入り方もかっこよくアレンジされており、「Dance Dance Dance」の後継ソングとして次回以降のツアーにも含まれていく予感がしました。


Mr.Children “HOME” TOUR 2007~in the field~Mr.Children “HOME” TOUR 2007~in the field~
(2008/08/06)
Mr.Children

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 Mr.Children以外で興味深かったのが、自分の前の席に居た高校1年生くらいの男子2人組み。ライブが始まる前の時点で既に、ツアーオフィシャルグッズのパンフレット、パーカーを購入していて、且つ、そのパーカーを着つつライブに参加していました。単純に計算してチケット代7,875円+パンフレット3,000円+パーカー7,200円+交通費等々…高校生ながら、よくぞそこまでおこづかいを貯めたなぁ、と勝手にしみじみ。若い人にも支持される光景を目の当りにして、やはりMr.Childrenの歌の根底には普遍のテーマが練り込まれているんだろうなと思ったり、彼らの1番好きな曲を尋ねてみたくなったり...ただノリノリでライブ観戦していて暑くなったのか、そのパーカーいつの間にか脱いでたし!!

 さて、今回のツアーでも1番歌ってほしかった「UFO」はスルーされたわけで。このブログで毎回言っているように「UFO」「one two three」「SUNRISE」はいつか絶対に歌ってほしい。あと最近では「ラヴ コネクション」「旅人」「タイムマシーンに乗って」も聴きたいなと思いだして…結局は全部聴きたいんです(笑)Tour 2009はハッピーなツアーだったけど、次回は毒気の強いライブにして欲しい、2005年のようなツアーをもう一度、生で観たいなと切望しています。


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"HOME" TOUR 2007-in the field-/Mr.Children
SUPERMARKET FANTASY / Mr.Children
"HOME" TOUR 2007-in the field- DVD/Mr.Children
"HOME" TOUR 2007 DVD/Mr.Children
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ウォンテッド [Blu-ray]ウォンテッド [Blu-ray]
(2012/04/13)
ジェームズ・マカヴォイ、アンジェリーナ・ジョリー 他

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物語のアクションではなく、アクションのための物語


 "銃弾の弾道を曲げる"という演出は、2003年公開「リベリオン」のガン=カタ以来の衝撃であった。拳銃を構えテニスラケットのようにスイングしながら発砲すると、銃弾の弾道が曲がるのだ。「マトリックス」での銃弾の軌道をCGで表現する画に、湾曲の動きを加えた大変ユニークなアクションである。「ウォンテッド」という作品自体グラフィックノベルが原作であり、そのせいもあってか突っ込み所が満載の内容であった。




*****以下、ネタばれ注意*****




 最大の突っ込み箇所は「1を倒して1000を救う」と謳いながら、電車のシーンでは次々と一般市民を巻き込んでおり、1000を救う前に1000を殺していそうな勢いだなと感じたこと。また、冒頭のビルのガラスを突き破って水平に飛んだ男の力はなんだったのだろうか??銃弾を曲げるよりも急加速で空を飛ぶスキルを磨いた方が最強に近い気もするのだがよく分からない??ハエの羽を撃ち落したり、紡績機を使った修行だったり、B級と思える要素は多い。細かな部分は突っ込まずに笑い飛ばせなければ今作は楽しめないだろう。

 本作はR-15指定だったが、その規制線通り血しぶきやバイオレンス描写が予想以上に激しいもの。予告編に観れるスタイリッシュなアクションに加え、生々しい血みどろの戦いや、ネズミ爆弾など際どいシーンがあるため、この辺りの好みも人によって分かれそうだ。

 以上のような描写はロシア人監督ティムール・ベクマンベトフによるものである。ロシア版マトリックスと言われた「ナイトウォッチ」「デイ・ウォッチ」が評価をうけ、今作で初のハリウッド進出となったのだが、おそらく彼は瞬間的な画を撮るのに長けているのだろう。スローモーションやCGを駆使しインパクトのある場面がいくつかあるのだが、そのことが先行し過ぎて前後の物語に無理が生じている。物語にあるアクションではなく、アクションのための物語となっている印象だ。そのため電車を使用する必然性の無さや唐突な場面転換などの粗が目立ってしまう。アクションに対する情熱は強いため、なんとも惜しい出来である。


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インクレディブル・ハルク (Blu-ray Disc)インクレディブル・ハルク (Blu-ray Disc)
(2009/02/25)
エドワード・ノートンリヴ・タイラー

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 「ハルク」は2003年にアン・リー監督の下、1度は映画化されているが今作はその続編ではなく、新生の「ハルク」として刷新された作品である。わずか数年で、新たなるプロジェクトを立ち上げることは映画界でも珍しいことだが、ハルクというアメコミヒーローがいかに人気があるかを伺わせる流れだ。

 アン・リー監督の「ハルク」はブルース・バナーの内面や人物描写に重きを置きすぎたために、どこかテンポが悪くエンターテイメント性を欠く内容だった。その点を踏まえての新生ハルクだけあり今回は冒頭から展開が速い。2003年版で何十分もかけた、ハルク誕生のエピソードをオープニングクレジットでさっと紹介し、その後は逃亡・変身・活躍をアクション満載で描いている。以下、アクションシーン別に内容を挙げてみた。




*****以下、ネタばれ注意*****




1.ブラジル・スラム街での逃走劇
 現実世界にこのような場所があるのかと驚いたのが、ブラジル・スラムの街並みである。「シティ・オブ・ゴッド」を過去に鑑賞したことがあったのだが、今作のように空撮を用いて1ショットで観せられると、その広さと斜面に密集した家々がまるで絵本の世界のものと思えるほど壮観なシーンだった。この地形を利用しての人間VS人間の逃走劇。狭い路地を駆け抜けるのだが、エドワード・ノートン本人が映るアクションシーンはここで最後となり、以降はCGのハルクが暴れることになる。


ハルク 2枚組スペシャル・エディションハルク 2枚組スペシャル・エディション
(2003/11/28)
エリック・バナジェニファー・コネリー

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2.カルヴァー大学敷地内 芝生上での戦い
 このシーンで初めてハルクの全体像がはっきりと観えるのだが、真昼間、都会のなかの青々とした芝生の上で戦う様子がなんとも新鮮である。ハルクVS人間なのだが、超人的な動きで攻撃するティム・ロスやガンマ砲を発する新兵器などの見せ場が続く。面白いのは軍隊の重兵器が一斉ではなく順序よく攻撃しているところだ。ジープからハルクに攻撃→破壊される→次の兵器という具合である。芝生の向こうからジャンプして登場するジープが、いちいち可笑しかった。

3.ハルクVSアボミネーション 都心部での戦い
 ラストを飾るのがハルクとアボミネーションの決戦であり、都心のど真ん中で、車をなぎ倒しながら2体の重量級の攻防が繰り広げられた。ハルクの相手が人間のみだった2003年版とは異なり、分かり易い悪玉を出現させたことで単純に楽しむことが出来た。「ハルクスマッシュ」も綺麗に決まり気持ちが良いシーンである。

 以上、3つのシーンは時間帯やキャラクター、場所を上手に変え様々な角度からアクションの面白さを引き出していた。ルイ・レテリエ監督のアクションに対する志は好きだが、少し残念だったのがCGに見えるところが目立ちすぎたところだ。ハルクはどうしようもないが、ヘリコプターに関しては何とか実機を出現させてほしかった。


超人ハルク オリジナルTV:スペシャル・コレクションVol.1 (ユニバーサル・セレクション2008年第8弾) 【初回生産限定】超人ハルク オリジナルTV:スペシャル・コレクションVol.1 (ユニバーサル・セレクション2008年第8弾) 【初回生産限定】
(2008/08/07)
ビル・ビクスビールー・フェリグノ

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 また俳優陣も好演していたが、1番目立っていたのはリヴ・タイラーではないだろうか。タクシーの運転手にぶち切れる様子や彼女の体格の良さ、ぎこちない演技が逆に味があるように思えた。

 さて、今作で最もテンションが上がったのがロバート・ダウニーJrが登場したラストシーンだ。ハルクVSアイアンマンという、アメコミ屈指の攻撃力とテクノロジーの戦いは誰もが観たい一戦である。しかしマーヴェル・スタジオズはこの2人に止まらず、ソーとキャプテン・アメリカを絡めたアベンジャーズなる一大プロジェクトを進めているようだ。正に夢の共演であるが2011年の公開を予定するその頃まで、現状のアメコミブームが続いているのかが心配でもある。もし実現できるのなら製作費10億ドルをかけたドリームマッチを期待したいものだが…。


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チェ 39歳 別れの手紙 [DVD]チェ 39歳 別れの手紙 [DVD]
(2009/12/11)
ベニチオ・デル・トロ

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 「チェ」2部作を2本とも観終えると多少の繋がりはあるものの、それぞれが独立した映画であることがよく分かる。時系列を入れ替え、国連での演説とゲリラ戦を交互に映し、チェ・ゲバラがいかにして英雄的な存在になったかを描いた「28歳の革命」。一方で「39歳 別れの手紙」ではボリビアで行った活動を「○日目」と字幕を表示しつつ、時系列通りに出来事を綴っている。前作にあったような趣向を凝らした演出はなく、構成も進行も非常にシンプルなものだ。またコントラストの強い鮮やかな色調の画も少なく、全体的に冷淡な映像で仕上げており、それはチェ・ゲバラの最期をどこか予感させるものであった。




*****以下、ネタばれ注意*****




 「チェ/28歳の革命」ではチェ・ゲバラと彼を取り巻く現象を外側から見せていたのに対し、「チェ/39歳 別れの手紙」では彼自身を内側から見せている印象をうけた。それはチェ・ゲバラの呼吸の音の近さであったり、処刑のシーンで主観の映像に切り替わったりと、革命家の側面ではなく1人の人間として思慮する箇所が前作より多かったように思う。

 農民の支持を得られなかったことや、ボリビア政府の立ち回りなど、活動の失敗が描かれ徐々に追い詰められていく姿を観るのは辛いものがある。ストイックにその事象を追った映画だが、最後に少しだけドラマの要素があった。それが捕まったチェ・ゲバラと見張り兵との会話のシーンである。「私は人間を信じてる」という言葉に、革命活動の根幹の行動原理。さらには彼の没後も尚、人々に支持される理由を見た気がした。


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イーグル・アイ (Blu-ray Disc)イーグル・アイ (Blu-ray Disc)
(2009/02/13)
シャイア・ラブーフミシェル・モナハン

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詰め込み過ぎの映画


 「イーグル・アイ」の感想を尋ねられたら迷わず"詰め込み過ぎの映画"と答えるだろう。スピード感がありアクションも豊富なのだが、様々な要素が絡み合いよく分からなかった、というのが本音である。

 また作品を観ながら、沢山の映画のタイトルが脳裏をよぎった。ストーリーの根幹は「激突」「逃亡者」「エネミー・オブ・アメリカ」「フォーン・ブース」やヒッチコックの作品。ビジュアルイメージは「2001年宇宙の旅」「セブン」「12モンキーズ」などである。つまり今作は色々な映画の良いとこ取りであり"どこかで見たことあるな"との既視感が絶えないのだ。ジャンルもアクション、サスペンス、SFと多岐に跨り、テロへの警戒、監視国家、親子・兄弟間の確執、逃亡者と追跡者などメッセージ性やドラマもぎゅうぎゅうに詰めている印象。満腹感はあるが消化不良に陥った人が大半なのではないだろうか。




*****以下、ネタばれ注意*****




 1番分からないのが主人公の声帯がそこまで重要なのか??という点である。アリアはあそこまで電子機器を駆使できるのだから、ギロチン作戦などの解除を待たずにミサイルを撃てば良いのでは??と思ってしまう。軍事類の操作がギロチン作戦解除以前の、アリアの越権行為にあたるとしても、もっと最短な方法があるはず…あれほどの規模の事象を思い通りに動かせるのに、最終的に声帯が必要というのは説得力に欠ける。

 序盤~中盤までは割と面白いのだが、イーグル・アイ計画が明らかになった後から物語が失速するのは残念。大統領殺害の起爆装置がトランペットの内部にあり、ある音に反応して爆発する。それを演出するために楽譜や音符のCGまで用意する可笑しさ。何小説も待たずにさっさと起爆するように仕込んでおけよ、と突っ込みたい。アリアは何にしてもじらし過ぎて、まどろっこしい機械である。

 全体としてアクションシーンは素晴らしく、カメラワークが惜しいものの久々に本気のカーチェイスを観た。トンネル内の無人戦闘機のミサイルも迫力に満ち、空港の貨物室の追走劇は遊園地アトラクション並みに楽しいものである。シャイア・ラブーフとミシェル・モナハンは卒なく役をこなしていたが、難をいえば追手のビリー・ボブ・ソーントンにもうひとつ味付けがあっても良かったと思う。最も印象に残ったのは謎のマサコツアー(笑)



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デトロイト・メタル・シティ スペシャル・エディション [DVD]デトロイト・メタル・シティ スペシャル・エディション [DVD]
(2009/02/13)
松山ケンイチ加藤ローサ

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 役者冥利に尽きる 根岸崇一とヨハネ・クラウザーII世の2面性


 松山ケンイチは役柄のイメージが固定しないよう、どんな役でも演じることから"カメレオン俳優"と呼ばれている。そして「デトロイト・メタル・シティ」ほど彼のカメレオンぶりが活かされるストーリーも他にないだろう。

 ポップミュージックを好み田舎から上京した根岸崇一と、メタルバンドのボーカル&ギターとして激しいライブパフォーマンスを見せるヨハネ・クラウザーII世の2面性。素朴と過激、その往復と落差こそが今作の最大の魅力であり、松山ケンイチはその旨味を存分に見せつけていた。1つの作品で2人分演じるということは彼自身も役者冥利に尽きるだろう。

 また松山ケンイチ以外の俳優陣も相当にはまり役だった。デスレコーズの極悪社長を松雪泰子、DMC熱狂的信者を大倉孝二、主人公の母親を宮崎美子が好演し、作品の色と見事に同化していた。少ない登場機会だったが、ドラムでおたくの秋山竜次がそれほど目立ってないことが逆に面白い。やる気の無い様子や無表情でドラムを叩くシーンが可笑しかった。




*****以下、ネタばれ注意*****




 冒頭からテンポよく様々なエピソードが連なり、ほどよく見せ場が配置されていて飽きない。タバコを投げつける仕草や誤って首を吊ってしまうクラウザーII世など爆笑シーンが多く、個人的にはキャラクターショーのシークエンスがツボだった。コメディ映画は笑いが続き過ぎると間延びするが、ポップやメタル音楽が挿入されているせいか、テンションが持続されるのも心地良い。最近、アメリカの映画で試された演出だが、劇中でカラオケのテロップが入るバージョンが公開されても面白そうだ。デスメタルで映画館が一体になるのも一興ではないだろうか。

 主人公、根岸崇一の実家が大分県の犬飼町という設定に驚く。大分出身の自分でも犬飼町には行ったことがなかったのだが、ほのぼのとした風景にノスタルジーを感じてしまった。田舎からわずか数シーンでライブ会場に画面が切り替わる。その瞬時のギアチェンジこそがDMCの快感の源泉なのだ。



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(2009/02/11)
リー・ペイスカティンカ・アンタルー

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美しい映像に落ち、想像力豊かな物語に落ちる。


 初めて訪れた場所で思わぬ絶景に遭遇すると息を呑み、その景色を凝視することがある。「落下の王国」はその凝視の連続であり、どこでロケを行ったのか、現実世界にこのような場所があるのか、という事実と映像美にひたすら打ちのめされる。

 前回作品「ザ・セル」では、その世界観を表現するためにCGを多用していたターセム監督だが、今回はほとんどCGを使用していない。「ザ・セル」での異常連続殺人犯の脳の中と、今作「落下の王国」での5歳の少女の脳内イメージ。同じような精神世界を題材として選んでいるのだが、監督が望んだ画はおそらくは今作のほうだろう。CGを排除したそのままの世界、雄大な自然や規律のとれた建造物のショットは少女の空想絵巻のイメージそのものであり、テクニカルな構図も絵本の1ページのような温かみを与えるものだった。




*****以下、ネタばれ注意*****




 映像美を売りにした映画は得てして、物語がおざなりになり易い。「ザ・セル」がそうだったように、今作も中盤までは在り来たりな話だと感じていた。しかしラスト、サイレント活劇のスタントシーンの連続、そこでのナレーションで急に物語の角度が変わってくる。現実の映画の映像と、少女の空想ともとれる映像の融合。バスター・キートンのなかにロイは居たのか??居たとしてもそれは事故の前のシーンなのか??アレクサンドリアの語るその後のロイの活躍は勘違いなのか??など様々なことが頭の中を駆け巡った。

 モノクロのサイレント活劇はそれまでの色彩美とはまた違う世界を映し、自分のなかにある新たな感情領域を呼び起こす素晴らしいシークエンスとなった。これはターセム監督が映像だけではなく、物語を完成させようとする作家としての使命を果たした結果ともいえる。今作が放つ強烈なファンタジーこそ現実世界とを乖離させる有効な手段であり、"落ちる"という感覚に近いのかもしれない。


ザ・セルザ・セル
(2007/07/06)
ジェニファー・ロペスヴィンス・ヴォーン

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ランボー 最後の戦場(Blu-ray)ランボー 最後の戦場(Blu-ray)
(2009/02/04)
シルベスター・スタローンジュリー・ベンツ

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 本作を観て、軍事政権下おける内戦の描き方が一方的過ぎる、好戦的に描いている、と批判をする人もいるかもしれない。しかし不器用とも時代錯誤とも言われようと、自分にとってはこの方法しかないんだ、というランボーの想い、そしてなによりもスタローン自身の熱い想いが胸に響いてきた。

 「ランボー 最後の戦場」では「怒りのアフガン」とは異なり、戦うことの意義を様々な演出を交えて訴えている。非暴力で世界を救おうとするNPOと、戦うことでしか生きる意味を見い出せない男の対比はそのことを際立たせていた。現地の村に本や薬を与えるNPO団体、その一方で船に残った死体を処理するランボーの行動をカットバックで見せる演出は、手段の違い・生き方の違いを見事に表現しているシーンだ。

 魅せる戦い方から泥臭くとも、ひたすらに敵を討つスタイルは闘争の本能がまとわりついている、ランボー本来の行動に即したものである。アクションのスケールやギミックという角度から捉えれば、過去のシリーズよりも見劣りするが、それを補う迫力やリアリティがあった。




*****以下、ネタばれ注意*****




 戦いを終え、無数の死体や生き残ったメンバーを見渡すランボー。その出来事を踏まえて、彼は新たな生きがいを見つけ出そうとしたのだろう。帰郷し再びアメリカの地を歩く彼の後姿には、孤独な人生を背負ってきた影と、微かな希望も覗かせた。大きな余韻を残す、この上ないラストシーンだ。

 それにしても、目で確認できる範囲でこれほど人が死ぬ映画も珍しい。「プラベート・ライアン」「スターシップ・トゥルーパーズ」「ゴースト・オブ・マーズ」よりもひょっとしたら多いかもしれない。いずれにせよ、90分少しの短い上映時間に凝縮された激しい戦闘シーン、人体損壊の連続にはただただ圧倒される。


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百万円と苦虫女百万円と苦虫女
(2009/01/30)
蒼井優森山未來

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 「リリイ・シュシュのすべて」で初めて蒼井優を観たときに、透明感があり何かつかみどころのない女優だなと思った。「百万円と苦虫女」は久しぶりの単独主演作であり、他に灰汁の強い共演者が居ないために彼女の魅力がより目立っている。人と距離を置き、目を逸らしながらボソボソと喋る様子、地面から1㎝くらい浮いているのではと思う浮遊感のようなものは、やはり蒼井優独特のセンスなのだろう。それにしても身体のラインが細過ぎである!!

 今作の主人公、鈴子はアルバイトをして百万円貯まると誰も知らない土地に引越し、それを繰り返すという行動にでる。何故そのようなことをするのか「なんとなく」と答えた鈴子だったが、本当はある程度の深いコミュニケーションを拒み、その人間関係から逃げるためだった。自分の出身地を偽ったり、飲み会を嫌がったり、本音を話さなかったりと、他人からの干渉を避け続ける描写は都会的で、いかにも現在の若者らしいなという印象をうける。




*****以下、ネタばれ注意*****




百万円と苦虫女 オリジナル・サウンドトラック百万円と苦虫女 オリジナル・サウンドトラック
(2008/07/02)
サントラ原田郁子

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 アルバイトをしながら各地を渡り歩きゼロからすべてを構築する難しさ、帰宅したときにぐたっと寝そべるシーンが何度もあったがものすごく疲れる生き方だろう。しかしそのような生き方が完全に悪いわけではなく、その対比の位置付けに存在したのが田舎のシーンだった。

 今作の田舎の人達は、ひとつのコミュニティに浸かり過ぎているあまりに、鈴子の気持ちを汲み取れず彼女を非難してしまう。つまり作品ではひとつのコミュニケーションを浅くとるのも深すぎるほうも否定しており、周りとのリレーションシップのほどよいバランスを目指すように、ということを軽く語りかけているのだ。単純にその深さを賛美するのではない、作品の感覚と柔軟さにものすごく共感がもてた。

 常に人から好かれる鈴子だが、ラストでも観れるようにそれまで少しだけ運がなかっただけなのである。そのことを"苦虫女"と表現し、その苦虫女からちょっとだけ脱却したのかなと成長を感じさせる展開は清々しいものだ。主人公が携帯電話を持たないという設定も新鮮であり、鈴子が自分の弱さを見つけ出したのは弟からの手紙である。現代劇のなかに舞い降りた手書きの手紙、そこにコミュニケーションの本質があるのではないだろうか。


リリイ・シュシュのすべて 通常版リリイ・シュシュのすべて 通常版
(2002/06/28)
市原隼人

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 劇中ではユーモラスなシーンが多く、特に桃園で働いた田舎のシーンは可笑しい。いまどき見かけなくなった型の目覚まし時計や、桃娘辞退の黒板の文字、3項目目にあった「山梨に勝てる」というちょっとしたアピールがいちいち面白かった。


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