ベンジャミン・バトン 数奇な人生 (2枚組) [Blu-ray]ベンジャミン・バトン 数奇な人生 (2枚組) [Blu-ray]
(2009/07/15)
ティルダ・スウィントンジェイソン・フレミング

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デビッド・フィンチャーの描くファンタジー


 「セブン」「ファイト・クラブ」に続きブラッド・ピットとデビッド・フィンチャーが3度目のタッグを組んだ作品が「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」だ。この映画の見所のひとつとして、80代の外見から少しずつ若返っていくブラッド・ピットの変わり様が挙げられる。CG合成ということが全く分からないスムーズな繋ぎ目と、見事なまでの容姿の遍歴に、映像技術の進歩の凄みを見せつけられた。

 現在のロバート・レッドフォードを思い起こす老けメイクから、「リバー・ランズ・スルー・イット」「レジェンド・オブ・フォール」頃の好青年のブラッド・ピットを思い出す若メイクまで、彼のファンにとってはたまらない描写と驚きの連続である。またその一方で、主人公の運命の人とも言えるデイジー役をケイト・ブランシェットが好演。彼女もまた若い頃から老齢までの各年代を演じ、魅力的なキャラクターを築き上げていた。




*****以下、ネタばれ注意*****




 物語はベンジャミン・バトンを中心に様々な人との出会いと別れを描いており、最後まで観終えると群像劇のような印象もうける。話のなかで常に隣にあったのが"死"。そしてもうひとつが、人と人との繋がりや因果である。オープニングとエンディングを飾った逆回転で進む時計。それは勿論ベンジャミン・バトンの逆行する体質や時の儚さを示すが、その裏側にある歯車と歯車の噛み合わせや、タイミングも本作を表す重要な要素に思えた。

 デイジーの交通事故は彼女の人生の一大転機であり、その顛末を事細かにナレーションしたシーンは記憶に残る。交通事故は様々な因果が絡み合った末の出来事であり、それによってベンジャミン・バトンとの再会、さらにはその後の2人の歩みへと繋がることになる。無限に広がる選択肢と不思議な因果によって結びついた、自分と周囲の人の存在を再認識させる演出だ。そして、その不思議な因果関係の最期は必ず死なのである。"人生は分からない"という台詞にささやかな希望と、一抹の切なさを感じてしまった。

 回想録で進む展開は「グリーン・マイル」、人々との繋がりは「フォレスト・ガンプ」「マグノリア」などをそれぞれ連想した。人生の逆行という独自のテーマはあるものの、そこを活かした大きな感動を覚なかったことが残念である。デビッド・フィンチャー監督の攻撃的で鋭い作家性が好きなだけに、ファンタジックな内容は個人的な嗜好としてマッチしなかったのだろう。次回作では是非、刺激と緻密に練られた映像群の世界に再び導いて欲しいものだ。


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