ファンボーイズ [DVD]ファンボーイズ [DVD]
(2010/05/12)
サム・ハンティントン

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スター・ウォーズファンもスタートレックファンも楽しめる作品


 「ファンボーイズ」を観ると、アメリカ人にとって「スター・ウォーズ」や「スタートレック」は映画やテレビシリーズの概念を越え、一過性の社会現象やブームを越え、それがひとつの文化であることをはっきりと痛感させられる。また、同国内でスターウォーズ派とスタートレック派の両派閥が存在することを、この映画で初めて知り驚いた。「ハン・ソロはホモ野郎」や「(スタートレックの)メンバーにゲイが居る」など、互いを罵り合う場面は面白いのだが、当該人にとっては最大限の屈辱なのだろう、喧嘩が始まってしまう。作品を愛しすぎるが故の顛末だ。

 今作は余命少ない友達のために、仲間と共にスカイウォーカーランチに忍び込み公開前の「スター・ウォーズ エピソード1」を盗み観るという内容だ。今作が良いのは話を重たくすることなく、飽きさせず軽妙なロードムービーに仕上げている点である。

 劇中ではスターウォーズに関するうんちくが随所で語られるほか、実際にスター・ウォーズに出演していた人物が何名かカメオ出演しているためマニアにとっては堪らない内容となっている。ユニークなのはスターウォーズが好きであることを全面に出しながらも、少しシニカルな分析もしているところだ。エピソード1 ファントム・メナス公開前に背中にジャジャー・ビンクスのタトゥーを入れ「重要なキャラクターに違いない」とフライングし過ぎた男や、ようやく本公開になったところで「もしも駄作だったら?」と言ってみたりと、熱狂から冷静になっているところに好感がもてる。1番面白かったのは、ハリソン・フォードについて「最高の俳優だ!!失敗作はひとつもない!!」と叫んだあとに「6デイズ・7ナイツ」の看板が映されたシーン。ハリソン・フォード本人に怒られかねないブラックな笑いである。

 作品のアウトラインだけ聞くと、単純なおバカムービーに思えてしまうが、仲間内での対立、将来への不安や夢、淡い恋心など脚本の作りが意外と丁寧。最後には感動までしてしまうおまけつきだ。キャラクターの成長がはっきりと見てとれ爽やかな後味となる。本編を観た後に、本家スターウォーズを再度、鑑賞したくなるのは言うまでもない。


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(2010/09/10)
レオナルド・ディカプリオ、マーク・ラファロ 他

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大袈裟な謳い文句の功罪


 「開始何分で謎が解けるか??」「脳を活性化させる謎解きミステリー」。今作「シャッターアイランド」の宣伝の謳い文句である。それに加え上映前には、”結末を他言しないように”との字幕まで登場する始末。「シャッターアイランド」には確かに驚くべき展開があるのだが、煽りすぎのせいで期待値が高くなり肩透かしを喰らった感がある。それよりは純粋に刑事ミステリーものとして宣伝し、意外性のある展開に素直に驚きたかった。「あっと驚く展開が・・・」「大どんでん返しが・・・」そのコピーに興味をもって鑑賞を決める観客も少なくないのだが、今回はその煽りが大袈裟すぎたように思えた。




*****以下、ネタばれ注意*****




 今作の最大の売りは謎が謎を呼ぶミステリアスな展開だが、孤島シャッターアイランドを再現したロケ地、回想シーンの映像美、恐怖を掻き立てる音楽が特に素晴らしかった。不快な轟音と灯台を映すシルエットは最も不気味で印象深いシーン。逃げ出すことのできない空間と狂気に迫るストーリー進行は「シャイニング」を連想させる。

 真実に迫ることで逆に自分を苦しめることになったテディ。治療により過去を知り、結果として大きなストレスを抱えてしまうのはなにか矛盾を感じる。精神治療とロボトミー手術。ダッハウのナチ強制収容所や子供の溺死シーンなど暗い描写が続くなか、ラストのディカプリオの台詞で物語が引き締まる。「モンスターとして生きるか、善良な人間として死ぬか」総てを悟った主人公の悲しくも感動的な台詞ではないか。この言葉があるのと無いのとでは映画の質や印象もずっと違っていただろう。

 登場人物の目線や動作の不自然さ、コップの水が無くなっているシーン等々、見落とした箇所や新たな発見のためにもう一度鑑賞したくなる作品である。レオナルド・ディカプリオをはじめとして、マーク・ラファエロ、ベン・キングスレー、ミシェル・ウィリアムズ等、渋く豪華な俳優陣も注目所だ。


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