アメイジング・スパイダーマン2TM(初回限定版) [Blu-ray]アメイジング・スパイダーマン2TM(初回限定版) [Blu-ray]
(2014/08/22)
アンドリュー・ガーフィールド、エマ・ストーン 他

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スーパースケールの青春映画


 「茶目っ気のある、楽しい大作にしたいと思った」マーク・ウェブ監督の、この言葉が全てである。「アメイジング・スパイダーマン2」は巨費を投じた超大作ながら、とてもリラックして楽しめる映画だ。良く言えば、爽快・分かり易い。悪く言えば単純・浅い、といったところか。自分自身も鑑賞直後は、スパイダーマン(ピーター・パーカー)がチャラ過ぎるヴィラン(敵)の動機付けが弱い、など批判的に捉えたのだが、しかしこれこそがスパイダーマンの魅力では??と考えるようになったのである。

 そもそも主人公のピーター・パーカーは高校卒業したばかりのティーン。強大な力を持っていようと、難敵が出現しようと、悩みといえば自分や家族・恋人のことのみ。タイムズ・スクエアのビル群が壊れようが、街のエネルギー源である発電所が破壊されようが、そんなことはおかまいなしで良いのである。巨悪の根源はオズコープ社、スパイダーマンもヴィランも偶発的に力を手に入れた表裏一体の存在、その勧善懲悪さ、明快さが映画本来のエンターテイメント性を増幅させているのだ。

 鑑賞直後の斜に構えた視点は、やはり「ダークナイト」に起因したものである。同作は善と悪の存在意義を哲学的、現実的に描いたことで、アメコミ作品を大人の映画として昇華させた過去があった。直近の「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」も物語に政治的な側面を持たせる等、悩ましいヒーローと社会問題の連動はハリウッド映画のトレンドである。しかし今作はその時流には便乗しなかった。正にDCコミック系、アイアンマン・ハルク等のアベンジャーズ系と袂を分かつ路線を進んで行くように思えたのだ。




*****以下、ネタばれ注意*****




 印象深いのはスパイダーマンと市民が一体となっている描写の多さだ。エレクトロを倒すシーンでは消防士の帽子を被り協力して放水、大勢の人が乗車するバスの横転を危機一髪で防ぐ、コスプレした子供との交流…と正に皆に必要とされる、人気者ヒーローの記号が林立している。これは市民からの賛辞を一切描かなかった「マン・オブ・スティール」とは実に対照的だ。

 不満点はラストシーンを予告編で流していること。ポスターではエレクトロ、グリーン・ゴブリン、ライノとの1対3のバトルをイメージさせるが実際はタイマン勝負だったこと。リチャード・パーカーの過去を冒頭に描き簡単に最期(もしかしたら最期ではないかも??)をばらしたこと。グウェン・ステイシーの顛末がそこまで悲劇的に映らなかったこと…それでも大都市をウェブスイングするスパイダーマンを観ればそんな欠所は忘れ、気分は高揚する。スーパースケールの青春映画として今後も駆け抜けて欲しいものだ。


■関連作品■
アメイジング・スパイダーマン ★★
(500)日のサマー ★★★
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ホワイトハウス・ダウン ★★★
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(2014/09/03)
クリス・エヴァンス、スカーレット・ヨハンソン 他

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地に足の着いたリアルさと絵空事のマッチング


 「アイアンマン3」でマシンの遠隔操作や、アイアンマンが同時に何台も登場するいわゆる”なんでもアリ”の描写に辟易とし、「アベンジャーズ」以降のマーベル・シネマティック・ユニバースに、そこはかとない不安を感じたのは記憶に新しいことだった。そのような想いを完全に払拭したのが今作「キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー」である。

 私がキャプテン・アメリカの魅力を挙げるとすれば、生真面目だが戦闘能力はそこまで高くない点だ。マーベルヒーローが集合した「アベンジャーズ」のなかでも1番弱いのは彼なのでは??と思ったほど。弱いというのは語弊があるが言い換えるなら、アイアンマンの滑空とビーム、ハルクのパワーとジャンプ力、ソーのムジョルニアでの天候操作などの、これという攻撃の必殺技がキャプテン・アメリカにはない(または映画では描かれていなかった)のだ。

 しかしながら今作はその地味さ、基本的にパンチ・キックしかない彼の地に足の着いたアクションが現実感を際立たせ、リアルで迫力のあるシーンを作りだしている。また最強の暗殺者と謳われたウィンター・ソルジャーも、改造されたメタル・アームなるものを擁するが基本的には武器に頼りがち(笑)ほどほどに弱いところに好感を覚えたのだ。

 今作が巧いのは、キャプテン・アメリカ、ブラック・ウィドウ、ウィンター・ソルジャー、対テロリズムチームS.T.R.I.K.Eが地上で武術・銃撃戦を繰り広げるのに対し、空想的な見せ場を新キャラクターのファルコンが担当している点だ。これによりビジュアルと力関係のバランスがとれ、リアルと絵空事を無理なく同居させることに成功している。




*****以下、ネタばれ注意*****




 物語も現在の情報管理社会を鑑みた政治色の強いもの。正義であるはずの組織が実は非合法に情報を傍受している点はエドワード・スノーデン氏の一連の問題を想起させる展開。ここに大俳優ロバート・レッドフォードが加わることでより一層の硬派でサスペンスフルな空気を醸し出していた。

 クールなヴィラン、地に足の着いたアクション、社会派な物語を見事に融合し、それまでのマーベル映画になかった作風を紡ぎ上げた今作。マーベル・シネマティック・ユニバースのフェーズ1ではアイアンマンやニック・フューリーが先頭に立っていたが、フェーズ2はいよいよキャプテン・アメリカが陣頭に立つ様相だ。

 個人的にツボにはまったウィンター・ソルジャー(バッキー・バーンズ)の暗躍とエージェント13を演じたエミリー・ヴァンキャンプの今後に注目したい。ジェニファー・ローレンスを彷彿とさせるエミリー・ヴァンキャンプがスカーレット・ヨハンソンよりも妙にエロく見えたのは自分だけ??だろうか。


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アベンジャーズ ★★★
アイアンマン3 ★★
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(2014/05/28)
レオナルド・ディカプリオ、ジョナ・ヒル 他

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狂乱の果ての遠い眼差し


 フェラーリを運転しながら、口淫をうけるレオナルド・ディカプリオ。娼婦のお尻越しのレオナルド・ディカプリオ…冒頭からかなり過激な映画だなと思っていたら、3時間ずっとそのような描写の連続で驚いた。金・セックス・ドラッグ…離婚やFBIからの捜査など、物語に多少の起伏はあるものの基本的には、ジョーダン・ベルフォートの破天荒な生活のみにスポットを当てている。

 26歳で証券会社を設立し、年収約46億円を稼いだベルフォートの本当の顔が観れると思いきや、孤独や葛藤はほとんど描かれない。ディカプリオは本人(ベルフォート)と会いリサーチをしたとのこと。本人曰く贅沢を尽くしたことに全く罪悪感はないそうで…つまり映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」はこのような狂乱の日常を過ごした男をありののままに正直に描いただけの作品である。

 そのためかジョーダン・ベルフォートがあまり魅力的に思えなかったのだ。人よりも行動力があり強欲な男、確かに羨ましくもあるが、あまりに続く同じような描写には辟易させる。

 本作で印象に残ったのはジョーダン・ベルフォートではなく、その周囲の人物が見せる、心ここにあらずといった状態の時の眼(まなざし)である。FBI捜査官が地下鉄で見せた遠い眼、ベルフォートのセミナーに参加した人々の眼。そしてなにより1万ドル貰える代わりに丸坊主になった女性の表情だ。彼女の髪にバリカンが入った瞬間、周りの人は興奮するものの、直ぐに次の余興に投じている。皆の興味がなくなり1万ドルを手にした彼女の表情は何とも言えないもの。

 投機的な意味での株式投資というのはゼロサムゲームだ。A社の株式は○万株あり、上限株数が決まった中で価値が上下するだけ、ひとつのお椀にお金を投げ入れ値段が高い状態で誰がそのお椀からお金を持ち出すかのババ抜きである。つまり沢山儲けた人がいれば、それだけ損をした人も大勢いたことになる。誰もがお金を求めるも、熱狂するあまり本来の目的を忘れ心を乱す…遠い眼差しの向こうには行き過ぎた金融システム、独善的な欲望への警鐘が見てとれる。


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