トゥモロー・ワールド ★★★

トゥモロー・ワールド プレミアム・エディショントゥモロー・ワールド プレミアム・エディション
(2007/03/21)
クライヴ・オーウェンジュリアン・ムーア

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子供が生まれない世界とは


 「子供が全く産まれない世界」この舞台設定に興味をもつ。これまでのSF映画での近未来世界といえば、核汚染による荒廃、地球の異常気象による滅亡、徹底的な管理社会などだったが、その定石を覆す設定は興味深い。

 そして、それらの世界には上位組織に抵抗するためにレジスタンス活動を行う組織が必ず存在していた。組織は後世へと希望を繋げるための抵抗をするのだが、子供が産まれない世界のなかでは「将来」そのものがないのだ。今作でもフィッシュという反政府組織はあるが、多くの人は現状に落胆し無気力の状態に陥っている。開発や生産・芸術など経済活動が止まる、この現象は考えるだけで恐ろしいもの。「トゥモロー・ワールド」ではその恐ろしく鬱々しい世界観を、最新CGや長回しのショットを利用した刺激的な映像で表現している。

 主人公はごく普通の庶民、物語は完全な一人称で描かれており、情報や世界は主人公の視点に限定されている。そして脅威から、ひたすら逃げるという構図は「宇宙戦争」を思い出させるが、それほどエンターテイメント色は強くない。世界の滅亡、人々が落胆し政府が安楽死できる薬を配布するという設定は「エンド・オブ・ザ・ワールド」を思い出させたが映像やダークな空気感は今作が遥かに上回っていた。

 エンターテイメントとメッセージ性・哲学との中間をバランスさせ、後半には誰もが息をのむ素晴らしいシーンも用意されてある。興行収入の大ヒットは無かったが、SFファンが好んでやまない様々な魅力が凝縮されており、地味ながらも多くの人に愛される作品になりそうだ。


■関連作品■
宇宙戦争 ★★★
ハンニバル ★★★★
ボーン・アイデンティティー ★★
シューテム・アップ ★★★
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4 Comments

はぐ  

この映画の発想は、面白いと思った。少子化が進む中で将来こういうことも起こりうるのだろうかと、妙に考えてしまった。主人公の妻が、あっさり殺されてしまうあたりは、衝撃が強かった。妻の願いを果たそうと奮闘する主人公の姿には、感動させられた。あの銃撃戦の中、滅亡の言葉しか思い描けない世界で、可能性を秘めた子どもが、一生懸命泣いているシーンは、心打たれるものでした。クライマックス、親子は、どこに行ったんだろう。

2007/09/30 (Sun) 21:09 | REPLY |   

>はぐさんへ  

そうですね。他の作品が描く近未来像よりも、現実的で恐かったですね。
主人公の妻、ジュリアン・ムーアの展開は驚きました。他の映画も彼女はこういう扱いのときがあって(笑)
劇中もクライマックスも語り過ぎていないので、自分で想像しないといけないですね。「ヒューマンプロジェクト」という謎の組織に行ってどうなるのか…希望がもてる展開でも、画面が暗めだったのが印象に残っています。

2007/09/30 (Sun) 21:36 | EDIT | REPLY |   

ぴーち  

こんばんは!
先日、コメント差し上げようと
こちらに書かせていただいたところ、
アクセス集中の為に、拒否されてしまいましたので、また伺いました^^
この映画の最後の長回しシーンがすきです。
まるで、観ているものもその戦闘現場にでも居るような
臨場感が感じられましたよね。
そして、子供はいつの世でも天使のような扱いを受けるようです。
ハリーポッターの監督、こういう映画も作りたかったんでしょうね~。
では、応援して帰りますね!

2007/09/30 (Sun) 21:51 | REPLY |   

>ぴーちさんへ  

アクセス集中は時間帯によってありますね。僕自身も更新できないことが何度かありました。また来て頂いてありがとうございます!!
後半の長回しはすごいですよね~。戦場の緊張感と製作サイドの緊張感と両方味わった気分になりました。アルフォンソ・キュアロン監督は作風が幅広く「天国の口、終りの楽園」が1番好きです!!ぴーちさんがまだ未見だったら、是非とも鑑賞してみてください。

2007/09/30 (Sun) 22:06 | EDIT | REPLY |   

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