スポーツ・エージェントという一般的にあまり馴染みの無い職業、要はスポーツ選手専属の契約請負人のようなものだ。華やかな選手の裏方に徹し、少しでも良い数字の契約が取れるよう奔走するのがジェリー・マクガイアを演じるトム・クルーズだ。いつも表舞台に立っている彼が、この映画では裏方に回り込んでいるという逆転現象。スポーツ業界ではなくむしろ、トム・クルーズ自身のキャラクターで映画業界のエージェントを描いたほうが、よほどドラマチックなものになるのではと思ってしまった。
邦題は「ザ・エージェント」とあるが、内容はスポーツ・エージェントよりもレニー・ゼルウィガーとの恋模様の描写が色濃く、原題が「ジェリー・マクガイア」とあるように今作は1人の男のヒューマンドラマとなっている。序盤であれだけこの業界を変える、と宣言した割にその活躍が観られず結局は利潤追求になっているような展開には少し疑問が残った。
見逃せない要素としては俳優陣、キャスティングの巧さだ。トム・クルーズのオーバーアクトの数々、ハイテンションになったかと思えば実は寂しがり屋センチメンタルな一面があるという、感情の起伏もさることながら、そのままのトム・クルーズを観ているようで楽しい。キューバ・グッディング・Jrにぶち切れるところ、「show me the money」と連呼するシーンなど、トップギアへの入れ方はさすがであり、ケイティ・ホームズとの婚約が決まった際のテレビ番組で喜んでいた彼の姿を思い出させた。
またヒロインには当時まだブレイク前のレニー・ゼルウィガー。トム・クルーズの相手役としては地味な印象を受けるが、家庭的で愛嬌がありキャラクターの魅力は充分。夫に先立たれ子持ち、「世界一老けている26歳」という台詞があったように、またしても負け犬女を演じているのだが、実はトム・クルーズ、ヒュー・グラント、ジュード・ロウととにかく2枚目俳優と共演が多く、レニー・ゼルウィガーの視点から言えば完全な勝ち組である。
今作でキューバ・グッディング・Jrがアカデミー賞を受賞し世間の評判も良いが、個人的にはアカデミー賞はどうかと思う。落ち目のアメフト選手ロッドを好演しているのは分かるのだが、彼がアメフト選手としてどういう状態なのか、またラストの試合の重要度がいまいち伝わってこず、その辺りが若干不親切かなと感じた。
■関連作品■
宇宙戦争 ★★★M:I-3 ★★★コラテラル ★★★★ブリジットジョーンズの日記 ★★★★ブリジットジョーンズの日記/きれそうな私の12ヶ月 ★★★