ビフォア・サンライズ待望の続編。この映画・シリーズが特異なのは、1作目から2作目までの間が9年で前作と同じ役者がそのままその役を演じ、劇中の設定も9年後だということ。つまり前作を公開年度の1995年に観た人は実際に9年待ち、ようやく9年後の2人に再会出来たことになるのだ。そのような人は自分を取り巻く環境、ライフスタイル等の変化を含め懐かしく鑑賞できたのではないだろうか。
全体的な作風やスタンスは前作同様に2人の会話のみで展開される。前回では14時間という制限のなかだったが、今回は映画の上映時間と実時間が連動している部分、詩人・占い師といった脇役も全く登場しない、またBGMも一切ない、外部的要因を受け付けないため会話劇の濃度がより高くなったといえる。9年前の再開の約束は果たせたのか、ウィーンの公園での夜になにがあったのかなど、ビフォア・サンライズで明かさなかったネタをばらしているのはファンにとっては嬉しいことだろう。
鑑賞してまず目に飛び込んでくることは、当たり前のことだが2人の変わりよう老けように驚く(特にジュリー・デルピー)9年という歳月の重みを感じさせるが、それはそれで味がある。また2人の会話も夢や希望に満ちていた前作(23歳の設定)に比べ、結婚生活の不満や子供・仕事・政治といった、いかにも大人らしい現実的で切実なものが中心になっているのも感慨深いものだ。
*****以下、ネタばれ注意*****
「映画はラストで決まる」という言葉があるが今作ほど記憶に残る、印象的なものはそうはない。サンライズと同じくサンセットも、その後の2人がどうなったか想像を掻き立てるシーンでラストを迎えた。
彼女の部屋でニーナ・シモンの音楽をかけ、ジュリー・デルピーが彼女のコンサートでの仕草を真似する。一通り話しが終ったところでイーサン・ホークに「ベイビー 飛行機に乗り遅れるわよ」とニーナ・シモンの真似の延長上で忠告、イーサン・ホークは少し微笑んで「分かってる」再びデルピーにカメラが向けられ静かにフェードアウト。文章では通じにくいが最高に心地良い空気で終ってしまうのだ。
ただ単に「飛行に乗り遅れるわよ」と台詞を吐くだけではなく、ニーナ・シモンのとぼけた感じを入れつつ忠告する部分は見事である。また部屋に入る前くらいから、彼女の目使いが微妙に変わっている、イーサン・ホークを意識して見つめているのも意味深だ。これらの些細なしぐさは、2人の積み上げたキャラクターの賜物なのだが、その後を見たい、そこまで見たくないという絶妙の位置づけでパタンと物語を切ってしまう粋の良さ、このシリーズのそのような憎らしい演出がたまらなく大好きなのだ。
■関連作品■
恋人までの距離/ビフォア・サンライズ ★★★★★ビフォア・サンセット ★★★★★
ビフォア・サンセット大好きな作品です。
まさきさんの言うように、ラストの空気がたまらなく好きです!!激しく同意(笑)
もし観てなかったらイーサンホークの「ガタカ」もお薦めです。SFコーナーにあるかと思いますが、話は人間ドラマです。