「ハンニバル」を大分の映画館で鑑賞していたとき隣の人が何かを食べていたようだったが、その物音がピタリと止まった瞬間があった。一度席を立って二度と戻ってこない人もいた。劇中にいくつかあるショッキングなシーンは、映画を見慣れている自分でも堪えるものがあり、そのような描写に慣れていない人や内容を知らずに観た人にとっては、恐ろしい体験になっただろう。
そのようなこともあり「ハンニバル」はインパクトのあるシーンしか話題に上らなかった。それは「羊たちの沈黙」のような心理・内側から湧き出る恐怖とは方向性が異なるものである。前作で背中の皮を剥がす様子を映さなかったのに対し、今作では頭が切り取られ脳みそを摘出する流れを正面から映しているのだ。
今作にはリナルド・パッツィ、メイスン・ヴァージャー、ポール・クレンドラと3人の悪人が出てくる。どの人物も個性的で、それなりの理由からレクター捕獲に躍起になっているのだが、例の如く裏を衝かれ制裁を加えられることに。その制裁こそが「ハンニバル」の見せ場でありレクターの魅力を深める強烈なシーンに仕上がっていた。なかでもクレンドラに行なった「最後の晩餐」は映画史に残る悲惨でユーモラスなもの、自分の脳味噌を食べさせるという画はインパクトがあるうえにどこか滑稽に映ってもいた。
クラリスとレクターの絶妙な駆け引き、支配関係を描ききった前作を超える出来とは言えないものの、ハンニバル・レクターを知るという意味では充分に楽しめた。リドリー・スコット監督ということもあり、ビジュアルには徹底したこだわりが観られ、特に序盤のフィレンツェでのロケーションが印象深い。配役が変更になったクラリス役も難しい立場ながら、ジュリアン・ムーアが好演していたように思える。
■関連作品■
ハンニバル・ライジング ★レッド・ドラゴン ★★★
羊たちの沈黙 ★★★★★ハンニバル ★★★★
映像が綺麗なこと・・・レクターの心理描写の抽出・・残虐な行為もスマートで美しく感じてしまう程です!!
ハンニバルライジングも良かったですね!