父親たちの星条旗 ★★★

父親たちの星条旗父親たちの星条旗
(2008/06/11)
ライアン・フィリップジェシー・ブラッドフォード

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 太平洋戦争での激戦地、硫黄島での戦いをアメリカ・日本の双方から描いた戦争映画。今作「父親たちの星条旗」はアメリカの視点から描いたものである。監督:クリント・イーストウッド、製作:スティーブン・スピルバーグという世界を代表する映画人が手がける硫黄島がどのように描かれているのか非常に興味深かった。

 戦闘シーンはスピルバーグとドリームワークスのタッグ、そして海岸からの上陸作戦ということで「プライベートライアン」を真っ先に思い出させた。際どく悲惨な描写はプライベートライアンのほうが上回っていたが、戦艦からの砲撃や擂鉢山を見渡す壮大なパノラマ、大規模な物量攻撃・スペクタクルという点では本作も引けをとらなかった。
 
 特筆すべきは敵対する日本兵が全くと言っていいほど出演・登場しなかったこと、2部作だからなのか徹底したアメリカ側の主観で物語が展開される。それでもアメリカ万歳・大勝利という風には描いておらず、どちらかと言えばアメリカ兵がバタバタと死んでいく描写が多い。「戦争に英雄はいない」という監督の真摯な哲学が戦闘シーンにも反映されていたのだと思う。

 今作は擂鉢山に星条旗を掲げた兵士が、アメリカに帰還してからの苦悩の日々と硫黄島での出来事がフラッシュバックで交互に展開される構図である。前述のように戦闘シーンは派手だが、それ以外はいたって平凡、抑止の効いた淡々としたテンポはイーストウッドならではだ。カタルシスもないが腰を据えてじっくりと考えさせられるある種の重みを感じる。その重みから少しのだけ開放されるラストショットは安堵感や平和を連想させ印象深かった。

 自国であるアメリカをここまで抑え目に冷静に描いたイーストウッド監督が日本側の視点「硫黄島から手紙」でどのような表現をしているのか期待したい。予告を観る限りでは「硫黄島から手紙」のほうが感情的で悲惨なものになっていそうだが…一日本人として、その出来事をどのように受け止めるのか自分自身にも問い詰めてみたい。


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