ブライアン・デ・パルマ監督に多額のお金を渡してはいけない、鑑賞後そんな気持ちになった。今作の舞台は1947年のロサンゼルス、現代もまだ謎とされている通称「ブラック・ダリア事件」の衝撃の真実とその周りで起こる人間模様の相関が本映画の大筋である。デ・パルマ監督といえば長回しのショットや多彩なアングルなど独特の映像表現が思い浮かぶ。今回もそのような表現が所々で垣間見れるのとともに、1940年代アメリカハリウッドを示す華やかな側面と殺人事件・暴動などの重く暗い側面とを丁寧に映像に練りこんであった。
しかしである、せっかくの舞台が用意されているのにも関わらず俳優人が現代風、且つ魅力のないキャラクターに仕上がっていたのはいただけない。1番の致命傷はブラック・ダリア役を演じたミア・カーシュナーと「そっくりな」設定のはずのヒラリー・スワックが似てないどころか華がなかったこと。これによってブラック・ダリアの魅力にはまった刑事が、そっくりな美女にのめり込んでいくという進行上の重要なラインに、説得力がなくなっていったように思える。
またデ・パルマ監督がみせるB級らしさ、楽しさ、味付けが今回は姿を潜めていた。あの「ミッション・インポッシブル」でさえ、ラストは超スピードの列車の屋根で犯人を追い込んだり、ヘリがトンネルの中を飛んだりとぶっとんだ見せ場があった。「ブラック・ダリア」では製作費がたくさんあったせいなのか、豪華な出演陣ゆえのせいなのか、どのシーンも優等生、綺麗すぎるために印象には残らない。あの監督らしさを味わうには例えば、製作費を制限することや無名の俳優を起用するなどある種の縛りを設けたほうが好転するのかもしれない。
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ミッション・インポッシブル ★★★★ラッキーナンバー7 ★★サンキュー・スモーキング ★★マッチポイント ★★★