郊外の大型ショッピングモールに行くと、ここで暮らすことが出来るのでは??と考えたことがある。室内の気温は一定に保たれ、生活に不自由しない色々なお店が整然と並ぶ。映画館もあり、暇になれば行き交う人々を傍観するのも良いだろう。その建造物が家にもなり一つの街のようなものだ。最近では、24時間営業のホームセンターで何日間か宿泊したコメディアンの記事を目にした。住めば都と言うことか、意外な場所に住むことで新たな発見や喜びを見つけられるのではないだろうか。本作の舞台は題名通り、空港のターミナルに住むことになった男の話である。
驚嘆したのは劇中のターミナルが原寸大に再現された巨大なセットだったということだ。実在する店舗の数々、エスカレーター、ロビーなど、どう見ても本物であり、メイキングの建築工程を見て呆気にとられる。実際の空港での撮影が困難なら作れば良いという、ハリウッド映画の大味さとスピルバーグ監督のチャレンジ精神に感服してしまった。誰も助けてくれない状況をズームから俯瞰視点まですーっと1ショットで撮る様子、1階から2階まで自由自在に動き回るカメラワークは、セットならではのもので撮影技術のひとつひとつにワクワクしてしまう。
*****以下、ネタばれ注意*****
「ビッグ」で子供の心を持つ大人を演じたトム・ハンクスは、本作でも相変わらず居そうな人物に成りきる名人ぶりを見せつけた。クラコウジア出身のビクターも子供のような優しさと素直さを持った人柄なのだが、目の輝きよう、振る舞いなどは見事である。空港で一躍有名になったビクターがターミナルを出ようとしたときに、周りの人が彼の後に続いて大行進をするシーンがあったが、「ヒーロー」を作りたがるアメリカ人らしい場面として妙に印象に残った。
ビクターがこだわった「約束」もシリアスなものではく、どこかファンタジーにあふれるものだ。キャサリン・ゼタ=ジョーンズとの恋物語を成就させなかったのも、空港内に限定してのファンタジーを貫くためのように思える。男性関係に悩む、小悪魔らしい女性をキャサリン・ゼタ=ジョーンズが軽やかに好演していたが、実は彼女が登場する場面、ワックスを塗布した床にこけるシーンが1番面白かった。
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