「ショーシャンクの空に」を観た後に「ドリームキャッチャー」を観ると、原作者が同じ人だということが信じ難くなる。スティーブン・キングが描く世界は、時に多くの人の涙腺を刺激し、またその一方でホラー要素をふんだんに盛り込み、鑑賞者を恐怖に陥れるカルト作品も執筆し続けている。
両極端のベクトルを走る彼の新作映画「ミスト」は、雑誌広告や予告を見ると感動系というイメージがした。ただ、映画秘宝で紹介されていたことやR-15指定からホラー系とも想像できた。よく分からないまま、警戒しながらの鑑賞.....結論をいえばカルト作品だが、最後で想像を超える虚無感に襲われる驚くべき怪作なのである。
極限状態での人間模様や異常な精神が交じり合う緊張感、様々なクリーチャーとの闘いなど、まさしくカルト映画の集大成であり、豪華な祭りのようでこの上ない高揚感を味わった(途中までは)。反面、フランク・ダラボンとスティーブン・キングのコンビということから「グリーンマイル」のような感動を求め劇場に足を運ぶと、肩透かしを喰らう結果になるだろう。
*****以下、ネタばれ注意*****
「ミスト」には映画シナリオ上でのタブーを破る展開が2つあった。ひとつは主人公が最後まで信仰心を受け入れず、そのシンボル的な存在の人物が抹消されたこと。もうひとつは自分の手で我が子を銃殺したことだ。勿論、その行動には納得しうる理由があったのだが、その意外な捻りがラストの"霧が晴れてしまう"という悲劇を際立たせた。主人公は最終的に4人の人間の命を奪い、"罪"を犯してしまう。その結果として「死」以上の"罰"をうける展開がなんとも皮肉である。神や信仰は尊いもの、とまでにはいかないが、罪や煩悩には必ず災いが起こるというメッセージなのだろう。
それにしても主人公トーマス・ジェーンの行動・選択はほとんど裏目にでている。絵を片付けなかったこと、序盤で母親を助けなかったこと、発電機から物音がするとのことで倉庫に皆を集めてしまったこと、薬局に行ったこと、ボンネットにある拳銃を拾ったこと。子供に優しく強い父親として当然主人公に感情移入し、その選択を信じるが、鑑賞者共にすかさせる結果には脱力感を覚えた。後味の悪い映画として、また運のない主人公、救いのない映画として「ミスト」は今後も長く語り継がれそうだ。
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私も先日見てきました。
ラストは本当に後味が悪いのですがだからこそこの作品は傑作になったと思います。
ハリウッド流ハッピーエンドだったら私は凡作と感じた事でしょう。
作品として意味のある後味の悪さじゃないでしょうか。