百万円と苦虫女 ★★★★

百万円と苦虫女百万円と苦虫女
(2009/01/30)
蒼井優森山未來

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 「リリイ・シュシュのすべて」で初めて蒼井優を観たときに、透明感があり何かつかみどころのない女優だなと思った。「百万円と苦虫女」は久しぶりの単独主演作であり、他に灰汁の強い共演者が居ないために彼女の魅力がより目立っている。人と距離を置き、目を逸らしながらボソボソと喋る様子、地面から1㎝くらい浮いているのではと思う浮遊感のようなものは、やはり蒼井優独特のセンスなのだろう。それにしても身体のラインが細過ぎである!!

 今作の主人公、鈴子はアルバイトをして百万円貯まると誰も知らない土地に引越し、それを繰り返すという行動にでる。何故そのようなことをするのか「なんとなく」と答えた鈴子だったが、本当はある程度の深いコミュニケーションを拒み、その人間関係から逃げるためだった。自分の出身地を偽ったり、飲み会を嫌がったり、本音を話さなかったりと、他人からの干渉を避け続ける描写は都会的で、いかにも現在の若者らしいなという印象をうける。




*****以下、ネタばれ注意*****




百万円と苦虫女 オリジナル・サウンドトラック百万円と苦虫女 オリジナル・サウンドトラック
(2008/07/02)
サントラ原田郁子

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 アルバイトをしながら各地を渡り歩きゼロからすべてを構築する難しさ、帰宅したときにぐたっと寝そべるシーンが何度もあったがものすごく疲れる生き方だろう。しかしそのような生き方が完全に悪いわけではなく、その対比の位置付けに存在したのが田舎のシーンだった。

 今作の田舎の人達は、ひとつのコミュニティに浸かり過ぎているあまりに、鈴子の気持ちを汲み取れず彼女を非難してしまう。つまり作品ではひとつのコミュニケーションを浅くとるのも深すぎるほうも否定しており、周りとのリレーションシップのほどよいバランスを目指すように、ということを軽く語りかけているのだ。単純にその深さを賛美するのではない、作品の感覚と柔軟さにものすごく共感がもてた。

 常に人から好かれる鈴子だが、ラストでも観れるようにそれまで少しだけ運がなかっただけなのである。そのことを"苦虫女"と表現し、その苦虫女からちょっとだけ脱却したのかなと成長を感じさせる展開は清々しいものだ。主人公が携帯電話を持たないという設定も新鮮であり、鈴子が自分の弱さを見つけ出したのは弟からの手紙である。現代劇のなかに舞い降りた手書きの手紙、そこにコミュニケーションの本質があるのではないだろうか。


リリイ・シュシュのすべて 通常版リリイ・シュシュのすべて 通常版
(2002/06/28)
市原隼人

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 劇中ではユーモラスなシーンが多く、特に桃園で働いた田舎のシーンは可笑しい。いまどき見かけなくなった型の目覚まし時計や、桃娘辞退の黒板の文字、3項目目にあった「山梨に勝てる」というちょっとしたアピールがいちいち面白かった。


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