難病に侵された孫の治療・渡航費を稼ぐために未亡人のマギーが始めた仕事…それが男性を相手にした手淫であり、いつしかロンドン一の右腕と言われるまでに成り上がる。作品の設定はなんともユニークなものだが大袈裟なコメディでもシリアスでもない、特有の温かさを感じるのは主役のマリアンヌ・フェイスフルのお陰だ。
お金のためとはいえ自身の行いに戸惑いつつ、献身的に仕事に励む姿。そして息子や孫に接する普段の姿、女性の強さと母親としての優しさを兼ね備えたキャラクターが魅力的であり、イカせる未亡人という難題を見事にクリアしていた。四六時中、困った顔をしていた彼女がお店のボスに向けて一瞬だけ見せた"あっかんべえ"がものすごくキュートであり、熟女好きの人が観たら堪らない映画だろうなと思った。その辺りの嗜好性をくすぐられる描写のオンパレードである。
上述のように基本はヒューマンドラマだが冒頭から重く不気味な音楽が鳴り響く。ロンドン郊外の風景と疲れた人々、その閉塞感を表すようにコントラストを抑えた映像、そしてゆったりとしたテンポはハリウッド映画にはあまり観られないものだ。今回はドラマであるが、サスペンスやホラーへも転化できるような寒々としたトーンが印象に残った。
手コキという表に見せられない事象を、どう映像で表現するのか気になっていたが壁越しに行うというアイディアに感心してしまう。これを「日本式」だとボスは語っていたが、本当にこのような作りの店が東京にあるのか、なんとも疑問に思った。「アーセナル、アストン・ヴィラ、ブラックバーン…」とプレミアリーグのクラブ名を叫びながら絶頂を迎えた男のシーンが最高に可笑しい。
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