仕事に疲れて海を見に行ったり、長い休みがあれば一人旅に行ったり、日常を離れ普段接することのない環境に身を置くことで、自分を見つめ直したいと思うことは誰もが持っている願望ではないだろうか。今作の主人公、エミール・ハーシュはその願望の極みともいえる計画を実行する。現在所有している現預金やクレジットカードを捨て、ゼロからのスタートで単身、アラスカを目指す旅に出るのだ。
*****以下、ネタばれ注意*****
しかもアラスカでは大自然のなか極限下でのサバイバル生活を送る。植物を採り、動物を狩る姿は過酷に映る反面、本当の自由を手に入れ人間の本能の源泉を体験しているようで、羨ましくも思えた。大きなシカを捌く等、そのような描写を通しても「イントゥ・ザ・ワイルド」が実話であるということに大変驚かされる。
エミール・ハーシュが旅に出る理由に、両親との確執が根底にあったのだが、彼はそのことや人生に必要な要素について・生きる命題について、最後には一定の答えを導き出したに違いない。しかし不幸だったのはその答えを見た後に最期を迎えてしまったことだ。彼の行動は無謀ではあったが、最期の瞬間まで自分の信念を貫き魂を燃やし続ける、その姿に清らかな感動を覚えた。
少し残念だったのは、考える時間が鑑賞者にあまり与えられなかったことである。主人公と同様に旅の気分や厳しい環境を長い時間共有したかったのだが、過去の出来事が挿入されたりナレーションが入ったりと気持ちが寸断され、その辺りの説明が丁寧過ぎる印象をうけた。
今作を観て感じたことは、人は独りでは生きていけないということ、そして気持ち次第で何でも出来るのだということだ。自分自身の生き方や秘めたポテンシャルを再度確認したくなる作品である。
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