ザ・フォール/落下の王国 (Blu-ray)ザ・フォール/落下の王国 (Blu-ray)
(2009/02/11)
リー・ペイスカティンカ・アンタルー

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美しい映像に落ち、想像力豊かな物語に落ちる。


 初めて訪れた場所で思わぬ絶景に遭遇すると息を呑み、その景色を凝視することがある。「落下の王国」はその凝視の連続であり、どこでロケを行ったのか、現実世界にこのような場所があるのか、という事実と映像美にひたすら打ちのめされる。

 前回作品「ザ・セル」では、その世界観を表現するためにCGを多用していたターセム監督だが、今回はほとんどCGを使用していない。「ザ・セル」での異常連続殺人犯の脳の中と、今作「落下の王国」での5歳の少女の脳内イメージ。同じような精神世界を題材として選んでいるのだが、監督が望んだ画はおそらくは今作のほうだろう。CGを排除したそのままの世界、雄大な自然や規律のとれた建造物のショットは少女の空想絵巻のイメージそのものであり、テクニカルな構図も絵本の1ページのような温かみを与えるものだった。




*****以下、ネタばれ注意*****




 映像美を売りにした映画は得てして、物語がおざなりになり易い。「ザ・セル」がそうだったように、今作も中盤までは在り来たりな話だと感じていた。しかしラスト、サイレント活劇のスタントシーンの連続、そこでのナレーションで急に物語の角度が変わってくる。現実の映画の映像と、少女の空想ともとれる映像の融合。バスター・キートンのなかにロイは居たのか??居たとしてもそれは事故の前のシーンなのか??アレクサンドリアの語るその後のロイの活躍は勘違いなのか??など様々なことが頭の中を駆け巡った。

 モノクロのサイレント活劇はそれまでの色彩美とはまた違う世界を映し、自分のなかにある新たな感情領域を呼び起こす素晴らしいシークエンスとなった。これはターセム監督が映像だけではなく、物語を完成させようとする作家としての使命を果たした結果ともいえる。今作が放つ強烈なファンタジーこそ現実世界とを乖離させる有効な手段であり、"落ちる"という感覚に近いのかもしれない。


ザ・セルザ・セル
(2007/07/06)
ジェニファー・ロペスヴィンス・ヴォーン

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ジャンル:映画
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