イースタン・プロミスイースタン・プロミス
(2008/11/14)
ヴィゴ・モーテンセンナオミ・ワッツ

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 デヴィッド・クローネンバーグ監督の作品はそれほど観たことはないのだが、前作の「ヒストリー・オブ・バイオレンス」と「イースタン・プロミス」の2作品に限定すれば、バイオレンス・二面性・内に秘めたもうひとつの感情、このようなキーワードを軸に物語を創造していることが分かる。作家として監督としてこれらが、現在のクローネンバーグの向かうベクトルのようだ。

 冒頭から血の多い痛いシーンの連続なのだが、人を殴る描写や、凍った死体、指の切断に至るまで他の映画でいう画面からフレームアウトしている箇所を、クローネンバーグ監督は堂々と正面から描く。その勢いに乗っかってなのか、ヴィゴ・モーテンセンは全身モロ出し状態で、サウナでのファイトシーンに挑んでいた。この、あえて見せる技法により次に何が起こるか油断ならない緊張感を生み出し、ラストまでその緊張の糸を張った状態を維持している。




*****以下、ネタばれ注意*****




 また俳優陣も素晴らしく今作でヴィゴ・モーテンセンがアカデミー主演男優賞にノミネートされた。上述のファイトシーンのように正に全身全霊で臨んでおり、「ロード・オブ・ザ・リング」のアラゴルンというイメージを完全に消し去る、強烈で魅力に富んだキャラクターを演じている。またアカデミー賞に絡まなかったことが不思議なほど、ヴァンサン・カッセルもマフィアのドンの息子役として好演。親子間の確執と自己の性に関する葛藤など、不安定ながら純粋な一面もある難しい人物を、こちらも上手に演じていた。彼(キリル)の役に説得力をもたせられなければ、今作は途端にチープな作品へと墜ちていただろう。

 嫌悪しそうなほど過激なシーンもあるが、それが癖となり痛さと気持ち悪さを求めて再度鑑賞したくなる。物語の進捗状況としては、解決途中に訪れるラストシーン。ヴィゴ・モーテンセンの遠い目線が、戻れない日々や深い思慮を残す。「ヒストリー・オブ・バイオレンス」と同じく、忘れられない重いラストカットだ。


■関連作品■
ヒストリー・オブ・バイオレンス ★★★
インランド・エンパイア ★★★★
X-ファイル/ザ・ムービー ★★★
オーシャンズ13 ★★★
すべてはその朝始まった ★★
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ジャンル:映画
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