*****以下、ネタばれ注意*****
序盤から性的な描写が多く、大胆なシーンの連続に驚く。物語の途中、プールサイドで自慰行為をする場面があり、射精したあとのものが水面に落ち、沈んでいく画が印象的に残った。酸素に触れると死んでしまう精子は、生命の根源から死への一瞬の変化を示し、今作の訴える儚さを表現しているようだ。
「天国の口、終りの楽園。」では、セックス、ドラック、アルコールと、感情が高揚しやすい要素や悦楽を多く描くことと同時に、事故・墓・病気と"死"を連想させる要素も描いていた。若い2人フリオとテノッチ、そして人妻のルイサは、幻の海岸を目指しながら様々な悦に走る。しかしその合間でふと我に返る瞬間があった。車のなかでの生の確執と車の窓から眺める死。興奮から冷静へ、2つの感覚は常に隣り合わせであり、ルイサの生の残り時間と、フリオとテノッチが少年から大人になることへの変化を静かに暗喩していた。
物語としては単純極まりなく、驚くような展開も少ない。しかし、ただのロードムービーとは言えない不思議な魅力に惹かれる作品であり、「もう会うこともない」という哀しいナレーションが鑑賞後も胸に響く。
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