ゴッドファーザー  PARTⅡ<デジタル・リストア版> [Blu-ray]ゴッドファーザー PARTⅡ<デジタル・リストア版> [Blu-ray]
(2010/09/16)
アル・パチーノ、ロバート・デュバル 他

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◆偉大な続編
 およそ100年に渡る映画史のなかで、ビト・コルレオーネほど純粋に愛されたキャラクターはいないだろう。そして、マイケル・コルレオーネほどその悲哀に満ちた人生を、愛せずにいられないキャラクターも他にいないだろう。ビトーとマイケル。偉大な人物を生み出した「ゴットファーザー」はPrat2にて、この2つの生き方が交わることになる。同じシリーズで2度、アカデミー作品賞を獲得した唯一の作品であり、そのことは今作がただの続編ではないことを証明している。


◆2つの時代と2人の俳優
 1917年と1958年の2つの時代。ファミリーの誕生(上昇)と衰退(下降)が交錯し、またそれぞれの時代のゴッドファーザーに注目が集まった。ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノだ。今作で評価されたのは、どちらかといえばアカデミー賞を受賞したロバート・デ・ニーロのほうである。マーロン・ブランドが演じたビトの若かりし頃を、臆することなく堂々と演じており、ゆったりとした素振りや喋り方は大物の風格やオーラを感じさせるものだった。

 ロバート・デ・ニーロも素晴らしかったが、個人的には疲労し、闇へ墜ちていくアル・パチーノの様子が強烈に印象に残った。水を頻繁に飲み、目をタオルで拭い、椅子に深々と腰掛ける。至るところから、マイケルの苦悩と憔悴がにじみ出ており、画面のコントラストも彼のシーンは暗いものが多かった。「この世で唯一確かな事は―人は殺せる」という台詞に「ゴッドファーザー」の冒頭で見せた、爽やかな好青年の面影は無くなっていた。





*****以下、ネタばれ注意*****




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(2008/10/03)
マーロン・ブランドアル・パチーノ

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◆目的と手段
 「ファミリーを守る」という想いは、ビトとマイケル共に同じである。その目的に辿り着くまで、明暗がはっきりと分かれるのだが、どこに違いがあったのだろうか。ビトはファミリーを誕生させたいわば発起人であり、純粋な気持ちで組織を守った人である。本音と建前を上手に使い分け、目の前の損得ではなく長いスパンで物事を考える、伝統を重んじるタイプであった。

 一方のマイケルはファミリーの後を継がざるをえなかった、いわば重責を負わされた後継者である。計算高く冷静な彼は、目的に対しどのような方法を使ってでも最短距離を目指し、その手段を選ばなかった。常に勝ち続ける彼だったが"0か1"、"絶対なる服従か排除"しか存在しない考え方は徐々に孤立を生み出していく。彼の決断により、兄のフレドを殺し、妹の夫を殺し、妹の気持ちは離れ、妻も離れ、最終的にはトムの気持ちも離れていく。決定的なのは母親にも想いが伝わらなかったことである。そのときの「時代が違う」というマイケルの言葉が重くのしかかった。

 温かい空気がファミリーのなかを漂っていたビトの時代とは異なり、マイケルのファミリーでは閉塞感や緊張感に包まれていた。そのマイケルの孤立はラストシーンで見事に表現されている。


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◆映画史上最高のシーン
 どんな映画でも"見せ場"というものが存在するが、今作のラスト5分ほど素晴らしいシーンはあまりないだろう。ビトの誕生日という設定で回想シーンに移るのだが、ソニー(ジェームズ・カーン)、フレド(ジョン・カザール)、トム(ロバート・デュヴァル )、マイケル(アル・パチーノ)、コニーの主要の登場人物が揃い食卓を囲む場面だ。家族の仲が良かった頃が映し出され嬉しくなる反面、この頃には戻れないのだという哀しみがすぐに押し寄せる。

 このシーンでは短い時間ながら、台詞やしぐさにキャラクターそれぞれの性格が巧みに表現されており、6時間かけて堪能した叙事詩は正にこのシーンのため、この瞬間のために鑑賞してきたのだ、という気分にさせられる。ビトが帰ってきたとのことで部屋を後にする一同と部屋に独り残ったマイケル。周りの人物の気持ちがどちらに傾くか、またファミリーの行く末を示した素晴らしい演出だ。


◆ゴッドファーザーが残したもの
 「ゴッドファーザーPrat2」の公開は1974年。その少し後の1980年代は俳優そのものの魅力よりも、観客の嗜好・マーケティング重視の映画製作へと移行した期間となった。メソッド派の俳優が影を潜め、動きの多い派手な演出の映画が台頭する時代となり、今作で出演した俳優や製作陣の一部も不遇の時を迎えることになる。そのような見地からしても「ゴッドファーザーPrat2」とは、豪華な名優と情熱をもった製作陣が結集した最後の作品であり、最後の抵抗であったのではないだろうか。

 自分の生前の作品だが、これほど画面に対し緊張し、品を感じ、感情を揺さぶられた映画はない。そしてこれから先、ハリウッド映画でこの感情に出会うことはないような気がする。例えそうだとしても、この映画ならば諦めがつくものだ。それほど「ゴッドファーザー」は完璧である。


                                                     (2001/6/15 記)


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テーマ:映画感想
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