「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジャック・スパロウ船長ことジョニー・デップ。「チェ 28歳の革命/39歳 別れの手紙」でチェ・ゲバラを演じたベニチオ・デル・トロ。「スパイダーマン」シリーズ、スパイダーマン役のトビー・マグワイヤ。このヒーロー3人が同じオープンカーに乗り1つの画面に納まっている奇跡。そしてヒーローとは思えない、横暴振りを、壊れた様を見れるのが「ラスベガスをやっつけろ」である。
ジョニー・デップは禿げた変な髪型でトカゲのような動き。ベニチオ・デル・トロは中年太りした情緒不安定な怪しい弁護士。妙な長髪のトビー・マグワイヤ。3人とも他の映画で観れるような輝きはなく、とことん壊れているのだ。この様子はファンならずとも絶句ものであり、ドラック中毒という設定はあるが撮影するにあたり、どうやってテンションを維持していたのか気になる。
*****以下、ネタばれ注意*****
監督のテリー・ギリアムは「バロン」「未来世紀ブラジル」「12モンキーズ」のようにスケールの大きな物語を創造することが多い。その監督が現実世界でラスベガスを舞台に描くというのは、意外に思えたが見事に常識離れをした世界を映している。怪獣が出現する、アニメーションで蝙蝠を飛ばす、顔が変形するなど奇妙で歪んだ世界をドラック中毒者の視点から強烈に描いているのだ。
破天荒な演出と豪華スターの怪演により、カルト的な雰囲気があるが主題は別に存在している。1970年代初頭、ベトナム戦争前後のアメリカ社会の変化、イデオロギーの変化への抵抗である。劇中にはこのような台詞が、「この旅の使命。それはアメリカ人の正義と真実を この国の豊かな可能性を証明するためだ」ドラックに入浸るジョニー・デップだが、ふと我に返り遠くを見つめる寂しげな瞳こそが物語の根幹なのだ。
ドラック、ベトナム、ヒッピーなど日本人には馴染みの薄い題材だが、他では観れないスターの弾けぶりも含めて一見の価値はあるだろう。
■関連作品■
パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド ★★★チェ/28歳の革命 ★★★スパイダーマン3 ★★★シークレット・ウインドウ ★