007 / 慰めの報酬 ★★

007 / 慰めの報酬  [Blu-ray]007 / 慰めの報酬 [Blu-ray]
(2009/06/19)
ダニエル・クレイグオルガ・キュリレンコ

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カジノ・ロワイヤルに比べ、アクションに比重を置いたのが残念。


 「007」シリーズ第22弾にして初の続編となる「慰めの報酬」。物語は前作「カジノ・ロワイヤル」の1時間後から始まるスリリングな立ち上がり。キャラクターも前作から引続き登場することになり、さらにジェームズ・ボンドの心境を理解する意味でも、今作を観る前に「カジノ・ロワイヤル」の再鑑賞を強くお勧めしたい。特にミスター・ホワイト、フィリックス、マティスに関しての位置関係は把握しておく必要がある。




*****以下、ネタばれ注意*****




 秘密兵器やスマートさを排し、リアルにそして人間ドラマを重視したことで成功を収めた新生007。「慰めの報酬」では前作の倍、アクションを盛り込んだせいか、スピード感はあるものの若干、人間ドラマが弱くなっている印象をうけた。ジェームズ・ボンドが全てを捨てる覚悟で愛したヴェスパー。彼女を失ったことへの復讐心が続編となった今作の核であるが、悪の組織が大き過ぎ、いまひとつ背後関係が読み難い。

 今回の取り敢えずの敵はドミニク・グリーンであったが、彼自身が直接ヴェスパーを操っていた訳ではない。さらに大物ミスター・ホワイトに関しても逃がしており、なんともすっきりとしないもの。ラストの言動により一応の復讐劇は終わるのだが、顛末がはっきりとしない。もっとシンプルに相関をまとめ、ボンドの激昂や葛藤を観たかったものだ。

 アクションは全編に渡り展開され、陸・海・空と余すところなく魅せてくれた。しかしひとつひとつのシーンが短く、チェイスの締め方も思いの他あっさりしている。良かったのは冒頭のカーチェイスとその後のロープを使ってのアクションシーンだ。やはり007シリーズは前半に面白いアクションが詰まっているなと改めて感じてしまう。石油まみれの女性の死体、砂漠のホテルの内装や大掛かりな爆発は往年のシリーズを思い起こさせて嬉しくなった。

 落下するボンドを上から追うカメラや、バイクで船にジャンプした際の背後から映したカメラワークは、ボーンシリーズの影響をうけているように思える。カット割りを早くし、スローを使わず、主人公の動きに連動した編集は近年のアクション映画の主流だ。

 ダニエル・クレイグの体を張った演技とクールな表情は相変わらずかっこよく、2作目にして既に貫禄さえ感じてしまう。残念なのはマチュー・アマルリックだ。個人的に好きな俳優で、ダニエル・クレイグとは「ミュンヘン」以来の共演となったが、登場時間・見せ場・個性に乏しい敵キャラクターである。唯一、ボンドと戦った際に発していた「ヒャー、ヒョー」という、甲高い奇声だけが記憶に残った(笑)不気味な存在に仕上げるために、もう数シーンほど見せ場・演出やエピソードがほしかったところだ。


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