ミュンヘン スペシャル・エディション【2枚組】ミュンヘン スペシャル・エディション【2枚組】
(2008/10/17)
エリック・バナダニエル・クレイグ

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 この作品を観るにあたり、1972年にこのような凄惨な事件が起きていたことを初めて知った。今作ではオリンピック選手村にて人質となった、11名全員死亡のあとの事象を描いている。ミュンヘン事件そのものでも映画の題材になりそうだが、首相直々に命令を下した事件首謀者への「報復」に焦点をおいたのは、昨今の世界情勢をふまえた結果ではないだろうか。

 今作が他の同類作品と違う点は、人間ドラマに時間を割いていないこと。イスラエル秘密情報機関がメインのため、どうしても視点が偏りがちになりそうだが、主観を入れすぎていないためイスラエル・パレスチナ両国を均等に、慎重に描いているなという印象をうける。

 人間ドラマに時間を割かないことで、今作はひたすら人間を殺していくという展開。突然の爆発や銃殺といったシーンの連続である。その唐突で過激、あっさりとした描き方にテロを実行している人も1人の人間であるということ、報復をしても誰が得するでもなく虚無感が生まれるだけである。と、同時に報復の連鎖を断ち切ることの難しさを改めて考えさせられた。

 自分と関係のある人間を殺されて憤慨するのは当然の感情である。復讐というのもある意味では人間らしいとも言える。しかしその無意味な繰り返しにほんのわずかでも一石を投じることが出来たなら、エンターテイメントという枠を越えた本作品の本当の意義があるのかもしれない。映画が放てる最大限の力を信じたいし、そう願いたい。


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