フローズン・タイム ★★★
![]() | フローズン・タイム [DVD] (2008/07/25) ショーン・ビガースタッフエミリア・フォックス 映画の詳細を見る |
時間の流れを止めることができ、自分1人だけが動き回れる。誰もが想像したことのありそうなシチュエーションではないだろうか。「フローズン・タイム」のショーン・エリス監督は有名なフォトグラファーであり、彼自身の願望が、作品の主人公の能力に込められているようだ。
時間を止め、女性の美しい裸体をスケッチしていく。エロティックな描写もあるが、今作はどちらかといえばアート指向にあり、そこまでいやらしさを感じない。「美しい姿は、一瞬の中に息づく」芸術家ならではの感性と台詞運びが心地良い。
時間を止める刹那の演出や、回想と現代をシームレスに繋ぐ演出など随所にこだわりが観れるのだが、映画全体として見渡すと展開に若干の難がある。気になったのは起承転結の転に当たる部分で、彼女を怒らせ、そこからの修復過程が突発で駆け足に思えたのだ。聞けば今作は、短編ものが好評だったので長編の映画化になったとのこと。1シーン1シーンは魅力的だが、全体になると統一感がないのはこの辺りに原因があるのだろうか。時間配分と構成でもっと面白くなりそうである。
登場人物のユニークさ、深夜のスーパーやパーティー会場での馬鹿騒ぎは、さながらイギリス版「ルールズ・オブ・アトラクション」のようだ。青春群像劇として芸術家の観点として新鮮さが散りばめられた作品。出演している女性が全員、綺麗な人ばかりというのも本作の特色である。
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