(500)日のサマー ★★★

(500)日のサマー [Blu-ray](500)日のサマー [Blu-ray]
(2012/09/05)
ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ズーイー・デシャネル 他

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 草食系男子のエース


 「500日のサマー」をデートムービーと思い、カップルで観に行くと気まずい雰囲気になるだろう。冒頭でも語られるように今作は一般的なラブロマンスではなく、男と女の思考の違いや恋における勘違い、失恋のショックをリアルに描く、一種のハウトゥー作品でもある。誰にでもある恋愛の体験を今回は男性目線で描いているのだが、人を好きになる視点(トム)と人から好かれる視点(サマー)に分けて鑑賞することもでき、自分自身のこれまでの恋愛感は果たしてどちらだったか、内省しながら観るのも面白いだろう。また今作は以下の点が特に優れていた。

1.主役の2人がはまり役
 もはや素で演じているのではないか、と思わせるほどジョセフ・ゴートン=レヴィットの草食系男子ぶりとズーイー・デシャネルの天真爛漫ぶりがはまっていた。特にサマーを演じたズーイーはトムを同情してしまうほど思わせぶりな言動、小悪魔ぶりが際だっており、しかもそれを"許せてしまう女性"を説得力たっぷりに演じている。"こんな女性を相手にしていたらこっちが疲れるから別れよう、と思わせておいてほっておけない存在の女性"はハリウッド広しとはいえ、ズーイー・デシャネル以外は現状居ないだろう。よくよく考えるとサマーは最初から嘘は言わず正直にトムと接していた。この500日はトムの壮大な勘違い録と形容できるが、勘違いも彼女の前なら無理はないな・・・と感じさせるズーイーはやはりすごい。

2.時系列を入れ替えた演出
 今作はトムとサマーが出会った日から500日目までを描いた作品である。シーンの初めには「○日目」と表示され上映中はこの500日の間を行ったり来たりする。巧いのはIKEAで2人の関係が上手くいっていたシーンを見せ、その後の日では同じIKEAでも2人のリアクションが全く違っていたことだ。恋の上昇と終わりの予感を同じ場所で見せ、気持ちの変化を分かりやすく伝えていた。ミュージカル調に恋の高揚感を表現した直後に、どん底に陥ったトムを捉えたエレベーターのシーンもこの演出ならではだ。画面を縦に分割し理想と現実を並べて展開するシーンも新しい見せ方である。

 上記でも述べたミュージカルのシーンのように全てが上手くいく、全てが輝いてみえるほどの幸福状態と、全てが無意味で世界の終わりまで感じてしまう、この2つの感情を体験できるのが恋愛である。ときに素晴らしく、ときに苦しいこの気持ちの往来こそが経験となり、人を成長させる糧でもある。今現在、恋愛で傷ついている人こそ今作の意義を見いだせるのかもしれない。


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