妻夫木聡が悪人だったあの2ヶ月 [DVD]妻夫木聡が悪人だったあの2ヶ月 [DVD]
(2010/08/25)
妻夫木聡深津絵里

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 大分県に在住、福岡に10年近く住んでいた自分にとって、福岡-佐賀-長崎を舞台にした「悪人」がなにか身近なものに感じられた。天神の通り、鉄鍋餃子、呼子のイカ、三瀬峠に何でもない佐賀の国道。さらには福岡弁をはじめとする九州地方の方言。妻夫木聡が福岡県、深津絵里が大分県出身のせいか方言がスムーズに聞こえ、心地良かったり、場面によっては胸に刺さるものに。場所の距離感や地方都市・田舎の閉塞感もストーリーに絡みついてくるため、たかが映画なのに他人事ではない、そんな気持ちでスクリーンを注視していた。




*****以下、ネタばれ注意*****




 「悪人」を観ると、何故タイトルが悪人なのか不思議に思えた。殺人を犯した祐一をはじめ、登場人物の誰が悪人だったのかを問い掛けるためのタイトルなのか。そうすると鑑賞後は人物の顛末を回想し、誰が悪人だったのかを掘り下げてみたくなる。 とりわけ祐一は台詞も少なく、最も内面を掴むのが難しい人物に思えた。過去のトラウマを見せ、彼の置かれた境遇を思えば同情する余地もある、しかし最後に光代が「あの人は悪人やったんですよね。」と呟けば、また分からなくなるものだ。人は誰でも善人であり悪人だ。劇中の人物も然り、ということか。

 それよりも作品を通して痛感するのは、何のきっかけで悪の要素が生まれるのか、そして誰でも抱えている悪の部分も踏まえて、人と人は心が通じ合えるのか、ということである。劇中で最も印象に残った台詞は殺された娘の父親が増尾の友人に向かって語る場面だ。「あんた、大切な人はおるね?」「今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎったい。」胸がえぐられるような痛切な言葉だが、父親の気持ちが生前の娘に伝わっていれば、事故当日の佳乃の言動も変わっていたように思える。コミュニケーション不全、孤独や気持ちのすれ違いというシーンばかりが作品を覆っていた。

 人と人が分かり合えるためには、それなりの時間か若しくは光代のような絶対の覚悟が必要だということではないだろうか。勧善懲悪ではない、人々の暗部を垣間見る映画ではあるが、それでも希望が持てるのは作品のラストカットが祐一と光代の心が通い合った瞬間だったからだろう。


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