☆ 2010年中に観た映画ベスト3 ☆
☆ 2010年中に観た映画ベスト3 ☆
昨年と同じく、年末ギリギリまで仕事に追われてあまり映画を鑑賞できなかった1年間。そんな今年を振り返って、2010年中に初めて観た作品のなかから、特に気に入ったベスト3を紹介します。
☆2010年初めて観た映画でのベスト3
1.脳内ニューヨーク ★★★★
2.インセプション ★★★★
3.(500)日のサマー ★★★
1位の「脳内ニューヨーク」は2010年の1月上旬、今年最初に鑑賞した映画だが、以後、年内にそれを上回る作品に出会うことはなかった。およそ1年前に観た作品にも関わらず、初見の際の驚きと感動は今でもはっきりと思い出せるほどだ。
1位の「脳内ニューヨーク」と2位の「インセプション」は物語の構造で何か類似点が在るように思える。”マトリョーシカ人形構造”とも言うべきか、物語が何階層かに分かれているのが特徴だ。「脳内ニューヨーク」では巨大な倉庫の中にニューヨークがあり、その中にも倉庫が存在し、その中にもニューヨークがあり、また倉庫が…と無限に世界が続いていく。厄介なのは序盤に主人公ケイデンの妄想の伏線があるので現実部分が何処なのか、はっきりとしない部分である。最初からケイデンの劇中内劇がスタートしていたのかもしれない。
監督・脚本のチャーリー・カウフマンが喜びを感じるのは、”観客が、自分が意図してない解釈をしてくれたときだ”とインタビューで答えている。物語の咀嚼はそれが世の中に出回った瞬間から観客側に委ねられているのだ。ならば「脳内ニューヨーク」の解釈も千差万別でいいはず。この物語をじっと静観していると、ケイデンの晩年の人生というテーマの他に、脳の神経細胞を俳優が演じているのでは??と考えたことがある。つまりケイデンは脳内物質であり、周囲の脳内活動と併せて誕生から死滅する様子を描いた物語なのではと思えたのだ。。。そう言えば、原題の「SYNECDOCHE」と神経細胞間活動の「Synapse」のニュアンスがなんとなく似ている気も(妄想)…脳機能、ニューラルネットワークを人間が演じている映画が「脳内ニューヨーク」ではなかろうか、、、という解釈をチャーリー・カウフマンに伝えたら喜んでもらえるかなぁ(笑)
残念なのは思ったほど「脳内ニューヨーク」が一般的に認知されていないことだ。賞レースにもそこまで絡んでいない。未曾有の脚本と世界観、万人受けはしない内容だが未見の人は是非鑑賞してほしい作品です。
2位の「インセプション」も前述のように”マトリョーシカ人形構造”の映画だった。ただし普通のマトリョーシカと違うのは、それが下の階層に潜っていくにも関わらず、もっと大きなマトリョーシカが存在して、物語全体を覆い尽くしていたのか??という疑問を最後に残したことである。現実か??夢か??最大の敵や感情の解放は自分の意識下にある、ということをスクリーンを通じて観客にインセプションのはクリストファー・ノーラン監督に他ならない。
また、「インセプション」において強く感じたのは物語の語り口が非常に巧いということだ。通常の作品であれば”夢装置”の説明から入りそうだが、それらを省き、夢の作り方やルールをアリアドネの目線を借りてスムーズに進行している点である。初めにエクストラクションを描き、その後でインセプションを観せる。ひとつのオリジナル映画の脚本では勿体ない、例えばテレビシリーズにも使えそうなアイディアを濃縮した作品だ。ペンローズの階段や回転する床等、メイキング映像だけでも楽しめる映画である。
3位の「(500)日のサマー」は、ジョセフ・ゴートン=レヴィットとズーイー・デシャネルの役柄のはまり具合が作品の説得力を上げている。”男女の仲をより深いものにしたい男性とあくまでカジュアルな仲を好む女性”という、ひと昔とは性別が逆の設定、草食男子を描いた内容は現在の時流に即しているネタだと感じた。シーンの初めには「○日目」という表記がされ、起承転結や時系列に縛られることなくエピソードを羅列、テンポの良い進行が目新しい。主演のジョセフ・ゴートン=レヴィット、監督のマーク・ウェブ共にハリウッドで注目される存在であり、今後も目が離せない。
また今年観た邦画の中での1位は「悪人」だった。舞台が自分の生活圏内である九州というのも、映画をより深く感じた要因のひとつである。それに関連し、鑑賞後の10月に「悪人」のロケ地を見に行く悪人ツアーを決行。以下、その一部を画像で紹介します。

祐一と光代が初めて会った場所である佐賀駅。金髪の妻夫木聡を見た、深津絵里の戸惑った表情が印象的なシーン。

光代が働いていた紳士服店。目の前には劇中の台詞にあった国道バイパスが見えます。

店長に許可を取って撮影。レジにはサインもあります。因みに劇中にでてきたカーテン越しの試着室は、実際の店舗にはなく、あれは作り物だったとのこと。

撮影の合間に妻夫木聡が黄色いソファーに座っていたとのこと。とにかく撮影中はピリピリした空気で全く喋ることなどできなかったそうです。

光代の通勤路??自転車で田園の間を走っていましたね。

実際に撮影が行われた呼子のイカ屋さん。3階での撮影だったが、行った日は2階での食事となりました。豪華なイカセット。刺身の後の天ぷらが最高。

このイカの目のアップから祐一の告白が始まりましたね。

柄本明がレンチを持って岡田将生を襲撃しそうになったお店の前。

満島ひかりが食べていた鉄鍋餃子。めちゃくちゃ美味いし値段も安い!!
2010年の邦画は「悪人」のほかにも「告白」が印象に残りました。逆に「ノルウェイの森」は原作に忠実すぎてあまり感化されなかった作品。規制があったのかもしれないが、トラン・アン・ユン監督オリジナルの切り込み方があったほうが2時間の尺に収まった気がする。
2011年の最大の注目作品はミヒャエル・ハネケ監督の「白いリボン」。2010年中の公開かと思いきや延びに延びてようやく2011年春に鑑賞できそうです。2009年のパルムドール作品が2年遅れて公開とは…日本配給制度や公開遅れは改善してほしいものだ。
■関連■
☆ 2009年中に観た映画ベスト3 ☆
☆ 2008年中に観た映画ベスト3 ☆
悪人 ★★★
告白 ★★★
昨年と同じく、年末ギリギリまで仕事に追われてあまり映画を鑑賞できなかった1年間。そんな今年を振り返って、2010年中に初めて観た作品のなかから、特に気に入ったベスト3を紹介します。
☆2010年初めて観た映画でのベスト3
1.脳内ニューヨーク ★★★★
2.インセプション ★★★★
3.(500)日のサマー ★★★
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1位の「脳内ニューヨーク」は2010年の1月上旬、今年最初に鑑賞した映画だが、以後、年内にそれを上回る作品に出会うことはなかった。およそ1年前に観た作品にも関わらず、初見の際の驚きと感動は今でもはっきりと思い出せるほどだ。
1位の「脳内ニューヨーク」と2位の「インセプション」は物語の構造で何か類似点が在るように思える。”マトリョーシカ人形構造”とも言うべきか、物語が何階層かに分かれているのが特徴だ。「脳内ニューヨーク」では巨大な倉庫の中にニューヨークがあり、その中にも倉庫が存在し、その中にもニューヨークがあり、また倉庫が…と無限に世界が続いていく。厄介なのは序盤に主人公ケイデンの妄想の伏線があるので現実部分が何処なのか、はっきりとしない部分である。最初からケイデンの劇中内劇がスタートしていたのかもしれない。
監督・脚本のチャーリー・カウフマンが喜びを感じるのは、”観客が、自分が意図してない解釈をしてくれたときだ”とインタビューで答えている。物語の咀嚼はそれが世の中に出回った瞬間から観客側に委ねられているのだ。ならば「脳内ニューヨーク」の解釈も千差万別でいいはず。この物語をじっと静観していると、ケイデンの晩年の人生というテーマの他に、脳の神経細胞を俳優が演じているのでは??と考えたことがある。つまりケイデンは脳内物質であり、周囲の脳内活動と併せて誕生から死滅する様子を描いた物語なのではと思えたのだ。。。そう言えば、原題の「SYNECDOCHE」と神経細胞間活動の「Synapse」のニュアンスがなんとなく似ている気も(妄想)…脳機能、ニューラルネットワークを人間が演じている映画が「脳内ニューヨーク」ではなかろうか、、、という解釈をチャーリー・カウフマンに伝えたら喜んでもらえるかなぁ(笑)
残念なのは思ったほど「脳内ニューヨーク」が一般的に認知されていないことだ。賞レースにもそこまで絡んでいない。未曾有の脚本と世界観、万人受けはしない内容だが未見の人は是非鑑賞してほしい作品です。
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2位の「インセプション」も前述のように”マトリョーシカ人形構造”の映画だった。ただし普通のマトリョーシカと違うのは、それが下の階層に潜っていくにも関わらず、もっと大きなマトリョーシカが存在して、物語全体を覆い尽くしていたのか??という疑問を最後に残したことである。現実か??夢か??最大の敵や感情の解放は自分の意識下にある、ということをスクリーンを通じて観客にインセプションのはクリストファー・ノーラン監督に他ならない。
また、「インセプション」において強く感じたのは物語の語り口が非常に巧いということだ。通常の作品であれば”夢装置”の説明から入りそうだが、それらを省き、夢の作り方やルールをアリアドネの目線を借りてスムーズに進行している点である。初めにエクストラクションを描き、その後でインセプションを観せる。ひとつのオリジナル映画の脚本では勿体ない、例えばテレビシリーズにも使えそうなアイディアを濃縮した作品だ。ペンローズの階段や回転する床等、メイキング映像だけでも楽しめる映画である。
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3位の「(500)日のサマー」は、ジョセフ・ゴートン=レヴィットとズーイー・デシャネルの役柄のはまり具合が作品の説得力を上げている。”男女の仲をより深いものにしたい男性とあくまでカジュアルな仲を好む女性”という、ひと昔とは性別が逆の設定、草食男子を描いた内容は現在の時流に即しているネタだと感じた。シーンの初めには「○日目」という表記がされ、起承転結や時系列に縛られることなくエピソードを羅列、テンポの良い進行が目新しい。主演のジョセフ・ゴートン=レヴィット、監督のマーク・ウェブ共にハリウッドで注目される存在であり、今後も目が離せない。
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また今年観た邦画の中での1位は「悪人」だった。舞台が自分の生活圏内である九州というのも、映画をより深く感じた要因のひとつである。それに関連し、鑑賞後の10月に「悪人」のロケ地を見に行く悪人ツアーを決行。以下、その一部を画像で紹介します。

祐一と光代が初めて会った場所である佐賀駅。金髪の妻夫木聡を見た、深津絵里の戸惑った表情が印象的なシーン。

光代が働いていた紳士服店。目の前には劇中の台詞にあった国道バイパスが見えます。

店長に許可を取って撮影。レジにはサインもあります。因みに劇中にでてきたカーテン越しの試着室は、実際の店舗にはなく、あれは作り物だったとのこと。

撮影の合間に妻夫木聡が黄色いソファーに座っていたとのこと。とにかく撮影中はピリピリした空気で全く喋ることなどできなかったそうです。

光代の通勤路??自転車で田園の間を走っていましたね。

実際に撮影が行われた呼子のイカ屋さん。3階での撮影だったが、行った日は2階での食事となりました。豪華なイカセット。刺身の後の天ぷらが最高。

このイカの目のアップから祐一の告白が始まりましたね。

柄本明がレンチを持って岡田将生を襲撃しそうになったお店の前。

満島ひかりが食べていた鉄鍋餃子。めちゃくちゃ美味いし値段も安い!!
2010年の邦画は「悪人」のほかにも「告白」が印象に残りました。逆に「ノルウェイの森」は原作に忠実すぎてあまり感化されなかった作品。規制があったのかもしれないが、トラン・アン・ユン監督オリジナルの切り込み方があったほうが2時間の尺に収まった気がする。
2011年の最大の注目作品はミヒャエル・ハネケ監督の「白いリボン」。2010年中の公開かと思いきや延びに延びてようやく2011年春に鑑賞できそうです。2009年のパルムドール作品が2年遅れて公開とは…日本配給制度や公開遅れは改善してほしいものだ。
■関連■
☆ 2009年中に観た映画ベスト3 ☆
☆ 2008年中に観た映画ベスト3 ☆
悪人 ★★★
告白 ★★★
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