リミット ★★★

[リミット] コレクターズ・エディション [Blu-ray][リミット] コレクターズ・エディション [Blu-ray]
(2011/04/02)
ライアン・レイノルズ

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棺の中だけで90分


 目覚めたら棺の中というシチュエーション。「キルビル Vol.2」思い出させる。ユア・サーマンはパイメイ師匠から教わった拳法によりこの苦境を脱したが、ライアン・レイノルズは生身の人間だ。地上を見せることは無い、主人公以外の人物は誰も登場しない等、未曽有の映像体験を詰め込んだ実験映画とも言えるのが、今作「リミット」である。

 「オープン・ウォーター2」や「フローズン」などのいわゆるシチュエーションスリラーと「リミット」が決定的に違うのが、自分の置かれた状況までの顛末が不明だということである。そのため今作はパニックホラーの要素に加えサスペンスの色合いも強く感じる。地上と唯一の交信手段が携帯電話。機械の向こう側の相手が善人だろうが悪人だろうが、顔が見えないことで疑心暗鬼となり、また、自分が居る場所が分からないことも更なる不安と謎を煽っていた。もしも自分が同じ状況に巡り合わせたら…と考えるだけでゾッとする状態である。

この単純なプロットで90分もの間、集中力と緊張感を観客に途切れさせなかったのはカメラワークによる功績が大きい。狭い棺の中を時には俯瞰で、または全身を舐めるように見せるカメラワークは実に多彩で物語にリズムを与えていた。狭い棺の中でも躍動を感じさせるのはそのお陰だろう。




*****以下、ネタばれ注意*****




 「リミット」が興行的にも評論家からも支持を集めたのは、単なるスリラーに終わらせず社会風刺の味付けを盛り込んでいたからではなかろうか。電話をたらい回しにされたり、こちらが死にそうな状況なのに、労働契約解除を宣告される箇所はユーモアを踏まえての風刺である。アメリカという一国の体制と不況に喘ぐ社会、低所得者軽視を物語に絡め上手に問題点を炙り出している。エンドロールに行く際の刹那の驚き、そこから間髪与えずに流れる陽気な音楽とその後の笑い声。サスペンスをひっくり返しての転調劇はある種の快感である。主人公が助かる→絶望→やっぱり助かりそう→やっぱり絶望を何度も繰り返す後半のプロットも見せ場の連続だった。バッドエンドを選んだのも助かるよりも何倍も記憶に残る展開である。ラストで「ショーン・ホワイト」の台詞にびっくりしたが、その後のエンドロールの長さにも驚かされた。設定や舞台に関わらず映画作りには多くの労力を要するのだと痛感する瞬間である。


■関連作品■
フローズン ★★★
オープン・ウォーター2 ★★
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