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(2011/09/07)
ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル 他

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 ナタリー・ポートマンの為の映画!!と言っていいほど、その存在感は圧倒的だった。優雅で繊細、純真といった白鳥のイメージは、正にそれまでのナタリー・ポートマンそのもの。その彼女が男を誘惑する、邪悪なブラック・スワンを踊らないといけないということは、演技と現実世界の境遇がダブって見え、この上ない説得力を引き出している。プリマドンナとしてのニナ、そして俳優業としてのナタリー・ポートマン。客席へメッセージをどのように伝えるか、芸術の産みの苦しみをホラーテイストを交えて描いた怪作である。

 ニナを演じたナタリー・ポートマンは「クローサー」でストリッパーを演じているが、個人的にはそこまで印象に残っていない。やはり「レオン」の頃のあどけなさが勝っていたように思える。「ブラック・スワン」はそれまでのイメージを一新させる、重要な位置付けとなり、彼女のキャリアを大きく変える映画になっただろう。劇中では自慰行為をはじめとして、自傷行為、レズビアン等、様々な状況を体当たりで見せている。もちろん、撮影の1年前から準備を始めていたとされるバレーシーンも、素人眼だが見応えはあった。




*****以下、ネタばれ注意*****




 今作がユニークなのは、物語の起承転結のうち承の部分が異常に長いということだ。人物の紹介・イントロダクションがあり、新しい主役の発表以後は、ずっと悩み苦しみ続けるナタリー・ポートマンを観なくてはならない。背中の引っ掻き傷はまだ理解できるが、人が暗闇から突然現れたり、ウィノナ・ライダーが爪やすりで顔を刺す箇所はもはやホラーである。妄想を孕んでいるが、電車の向かいの席のおじさんの笑顔と自慰行為は笑う箇所だろう。そのような長い長いストレスの道を抜けようやく、ブラック・スワンの舞へと辿り着く。もっと長くその舞を観たかったが、CGを交え美しく躍動するシーンは、多大なストレスの後のご褒美タイムともいえる。怒涛のラストはハッピーエンドと捉えることができ、主人公が落下する様子は、ダーレン・アロノフスキー監督の前作「レスラー」のラストと被って見えた。

 重厚な人間ドラマにだけ比重を向ければ同監督の「レクイエム・フォー・ドリーム」を超える絶望感を期待できたのだが、リアリティとは一線を画した精神崩壊の過剰な画は時に滑稽に映る。その隙間こそが映画を楽しむ為の余裕であり、今作が(個人的にだが)傑作とは呼べない、怪作と紹介したくなる所以ではなかろうか。

■関連作品■
レスラー ★★★
ファウンテン/永遠につづく愛 ★
レオン ★★★
クローサー ★★
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2011/05/19(Thu) 08:57:35 |  作曲♪心をこめて作曲します♪