アルゴ<エクステンデッド・バージョン> [Blu-ray]アルゴ<エクステンデッド・バージョン> [Blu-ray]
(2013/09/04)
ベン・アフレック、ブライアン・クランストン 他

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作品の根幹に漂う映画への愛情


 ベン・アフレックは本物の巨匠監督になりそうだ。完璧な時代描写は「ゾディアック」、中東や異国の空気感は「ミュンヘン」のようである。同胞の国外脱出という硬派なストーリーをサスペンスとコメディ要素を巧く混ぜ合わせた「アルゴ」はベン・アフレック”監督”としての評価・名声をさらに高める作品となった。

 「ペルシャ帝国―現在の国名はイラン…」米国とイランの関係を端的に説明した冒頭の絵コンテは、世界情勢に疎い自分にとっては大変に助かり、また劇中で登場するアルゴの絵コンテへの伏線となる憎い演出だ。そこから当時の映像を交えながら、暴動の緊張感で張り詰めた1979年のイランへと観客を一気に送り込む。

 イランから6人のアメリカ人を国外脱出させる作戦は、偽のSF映画を製作し、そのスタッフのロケハンに仕立て上げ出国させるという、突拍子もないもの。しかもその作戦が真実であるから尚のこと驚く。国家間を股にかけた一大作戦が偽映画なのだから、アメリカにとっての、また世界にとっての”映画”の影響力の高さを思わせる。

 劇中で感心した点が2つある。ひとつは時代考証・描写に尋常ではない力を注いでいるところ。遠くから引いた画ではCGを使い、細かい箇所・小道具に至るまで徹底したリアリティを貫いていることだ。それはエンドロールでの画像比較でも分かるのだが、これにより物語への没頭感、説得力が増す結果となる。派手な爆破、銃撃戦はなくともグイグイと画力で惹きつけられるのだ。それはさながら画面の細部まで、また画面に写りもしない引き出しの中身まで几帳面にこだわりぬいた、デヴィッド・フィンチャーの「ゾディアック」のようである。

 もうひとつはサスペンスとコメディ要素の加減だ。「大使館占拠→作戦熟慮→実行」時間と拘束の危機に迫られる緊張の連続だけではなく、偽映画を作り上げる要素、アラン・アーキンとジョン・グッドマンの軽妙なやり取りが映画に良いアクセントを与えている。ベン・アフレックを含め3人で卓を囲み「フ○ッキン、アルゴ!」と乾杯するシーンなどは最高である。CIA本部の上司役、ブライアン・クランストン、人質のクレア・デュバルをはじめキャスティングも渋く上質な演技は見応えがあった。

 「アルゴ」という偽映画製作の作戦。例えばこれが劇中であった英会話教師作戦であったなら、2012年の世の中に映画として当時を再構築する流れが起きただろうか??今作は評論家の間でも概ね好評価を得ているが、その根底には映画への愛情が見え隠れしているからだ。



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