ゆきゆきて、神軍 [DVD]ゆきゆきて、神軍 [DVD]
(2007/08/24)
奥崎謙三

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観てはいけないものを観た、世の中と人の暗部を覗いてしまった感覚。


 「ソドムの市」を鑑賞した時、観てはいけないものを観た、パンドラの箱を開けてしまった、という思いがした。「ゆきゆきて、神軍」も鑑賞直後はどんよりとして、同じ様な思いが脳裏を駆け巡った。

 「ゆきゆきて、神軍」というドキュメンタリー映画の存在は随分前から知っていたが、内容から察するに観ることで価値観や自身のメンタルがやられるのでは…等ある種の恐怖感のようなものに支配され、特段鑑賞する気は起きなかった。それでも、マイケル・ムーアが「僕が生涯観た映画の中でも最高のドキュメンタリーだ。」と、発言していたり、様々な映画コラムでも繰り返し列挙される本作タイトルに、避けては通れないドキュメンタリーだと感じ、意を決して鑑賞したものだ。

 このドキュメンンタリーの根幹には反戦という道義が流れており、それがせめてもの救いにも見える。終戦間近でのニューギニア島の状況、食料が無くやむを得ず食人(カニバリズム)という行為に走ってしまう異様さ…戦争の悲惨な状況が証言者の口からダイレクトに伝わってくるのだ。しかしその道義をも凌駕するのが主演の奥崎謙三であり、よくよく考えると「ゆきゆきて、神軍」とは反戦ドキュメンタリーではなく「奥崎謙三」という人物に迫ったドキュメンタリーであることに気付く。

特に気になった台詞。

「暴力をふるっていい結果が出る暴力だったら、許されると。だから私は大いに今後生きてる限り、私の判断と責任によって、自分と、それから人類によい結果をもたらす暴力ならばね、大いに使うと」

 奥崎謙三氏の言葉であるが、その思想こと戦争を生んでしまうのではと思わずにはいられない。銃殺された部下の真相を解明すること、戦争の悲惨さを世間に訴えかけるのは道義としては納得がいく。しかしその過程で、暴力や一方的な解釈を投げる行為には疑問が残った。

 奥崎謙三氏のパワフルさ、法を犯すことを躊躇わない行動力を記録として収めたことには意義があると思う。しかしながら「ゆきゆきて、神軍」から放たれる特異なオーラに、私は呆然とするしかなかった。


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