愛について、ある土曜日の面会室 [DVD]愛について、ある土曜日の面会室 [DVD]
(2013/07/05)
ファリダ・ラウアッジ

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若干28歳 女性監督の鋭い眼差し


 「愛について、ある土曜日の面会室」トーンの重そうな邦題だなというイメージだったが、内容の完成度、質の高さから、今作が若干28歳の女性監督の作品(レア・フェネール)であることが到底信じられなかった。その冷静で確かな人間観察眼と作風のリズムは、巨匠でしか出せない威厳なようなものさえ感じさせたからだ。

 今作は群像劇であり、冒頭では、刑務所入口の前で泣き叫ぶ女性がピックアップされる。この女性が物語の中心となるのかと思いきや、その後のストーリーはその周りで傍観していた3組の人間模様に焦点が当たるのだ。泣き叫ぶ女性を助けなかったのは、これから始まるわずか30分の面談に、大いなる決意で臨むため他人に構う余裕がなかったように見てとれる。3組の抱える事情は様々であり、別のジャンルの映画を観ているよう。この個々の点が線に移行する過程、絶妙なアンサンブル加減こそが本作の魅力だ。




*****以下、ネタばれ注意*****




 1組目は、若いカップルの物語。モラトリアム人間というべきか大人になりきれない男と、その男の、子供を宿した少女の話。2人の現況や関係性はどこかジャン= ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ監督の「ある子供」を連想させる。上質なヒューマンドラマであり最後の面談を通して、何か想いが吹っ切れたような少女の表情が印象的だ。
 
 2組目は息子が殺された被害者の母親と加害者の少年の物語。どのような展開になるのか分からない、また被害者の母親と加害者の少年という関係性、ある種のサスペンスを鑑賞しているようなものだった。最後の面談を終えても、明確な動機や犯人の心境が理解できず、消化不良のまま佇んでいる姿が印象的。

 3組目は面談の途中に、囚人と面会者が入れ替わるという前代未聞の作戦に挑んだ男性の物語。日本とは違い、ガラス越しの面談ではないから為せる離れ業とはいえ、防犯カメラ等はないの??その大胆なやり口はクライムファンタジーと称するべきもの。他2組とは異なる切り口で、一歩間違えば映画のバランスを崩しかねないエピソードだが、アンダーグラウンドな組織が背後に見えたり、移動や感情が顕わになるシーンが多いこのエピソードの存在こそ、今作の強力な牽引力になっていたようにも思える。最後は見事に入れ替えりが成功するが、塀の中に残されたステファンの顛末が気になって仕方ない。

 このステファンを演じていたのは「ゼロ・ダーク・サーティ」内で拷問を受けていたレダ・カテブ。「愛について、ある土曜日の面会室」でも不遇の日常、雇い主に殴られるなど可哀想な役柄だが、何処か記憶に残る俳優として今後の活躍にも期待したい。


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ゼロ・ダーク・サーティ ★★★
ある子供 ★★★


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