ビフォア・ミッドナイト ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産) [Blu-ray]ビフォア・ミッドナイト ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産) [Blu-ray]
(2014/07/02)
イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー 他

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映画史に残るラブストーリー


 シリーズ3作目だが改めて思うことがある、今作ビフォアシリーズこそ恋愛映画、もしくはラブストーリーとして、私のなかではナンバー1であるということだ。

 そんな素晴らしい映画に水を差すのは、本作「ビフォア・ミッドナイト」の予告編に「全世代の女性に贈る恋愛映画の金字塔シリーズ」というフレーズがあること…。今シリーズは、男女間の気持ちの齟齬を会話を通じて平等に描いているのに、女性にと限定されるのは到底納得がいかない。事実、私は学生の頃よりこのシリーズの熱烈なファンであり、(1作目から数え)18年越しの最新作も当然心待ちにしていたのだ。仮に上記のようなコピーを謳うことで、興行収入が伸びるという理由が存在するにせよ、首を長くして待ちわびた極東の30代男性は、ものすごく寂しい気分となった。いやいや男性である自分にも贈ってくれよと(笑)自分が予告編集者なら全身全霊で上記フレーズを止めていただろう。こんなに素晴らしい作品の間口を狭めたり、物語に対する誤解を招く行為は映画関係者として言語道断な行為では。映画や観客への愛情を感じない。

 「愛するということは相手を理解することではなく、理解しようとする姿勢そのもの」というテーマを、会話のみで表現する姿勢は3作目にしてさらに磨きを増していたように思える。映画の時間軸と実世界の時間軸がリンクする9年越しの物語。それぞれの作品に起承転結が存在するが、このシリーズ自体が大きな枠組みで編成されていると捉えることもできる。

「ビフォア・サンライズ」= 出会い(起)
「ビフォア・サンセット」= 進展(承)
「ビフォア・ミッドナイト」 = 危機(転)

映画の枠を越えた9年越しの実験、いや祭り。ひとつのライフワークと表して良い唯一無二の作品群だ。




*****以下、ネタばれ注意*****




 上記でも述べたように、今回の見所は転=危機の到来である。1作目、2作目の限られた時間のなかで互いを知っていくという甘いロマンスではない。長い時間を共に過ごし、それぞれの嫌な部分も分かり家庭環境も変わった末の会話なのだ。当然2人の間に新鮮味はなくなっており、おっぱいを丸出しにして電話しようがパートナーを目の前に用を足そうがおかまいなし、恥や虚栄心は遥か昔になくなっていることが観てとれる。

 20分にも渡る長いホテルでの口喧嘩は圧巻で、物語をどのように着陸させるか注目したが、そこで1994年の出会いの際にも用いたタイムマシンの話が登場する。素直に謝らず他の誰かを演じて歩み寄る、正に「愛するということは相手を理解することではなく、理解しようとする姿勢そのもの」をそこに見いだした、素晴らしいエンディングではなかろうか。イーサン・ホークの歩みに、とぼけた感じで応えたジュリー・デルピーがなんともキュートだ。

 また本作では、互いを理解する姿勢にも必ず終りが訪れることを示している。ゼニア・カロゲロプーロが語るエピソードに、それまで感じなかった最期をはっきりと見せるのだ。「過ぎゆく日々」に乾杯する一同、物事の有限を匂わせる切ない瞬間だ。



■関連作品■
恋人までの距離/ビフォア・サンライズ ★★★★★
ビフォア・サンセット ★★★★★
その土曜日、7時58分 ★★★★
フッテージ ★★
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