今作のテーマのひとつに「孤独」というものが挙げられる。何気ない日常を送る2人の女性、孤独を満たす手段はそれぞれ対照的であり、互いの弱さを補填し合うかのような絶妙な距離感、支配と私欲のバランス関係をサスペンスフルに描いていた。
知的であり厳格、その性格故に周囲から孤立しているバーバラ(ジュディ・デンチ)はある日、赴任してきた新任教師シーバ(ケイト・ブランシェット)が男子生徒とセックスしている姿を目撃する。
このショッキングな出来事は、対応によってはシーバと本当の友人としての関係を構築し、孤独から抜け出せる起因となったかもしれないがその弱みに付け込みシーバを支配しようとしてしまう。自身のノートにしか心の中を曝け出せない彼女は、職場の人にも妹にまでも最後まで本心を口に出すことはなかった。おそらくその想いを誰とも通わすことなく誰とも理解しえないまま、生涯を終えることになるだろう。
特異な性格の持ち主だがバスルームでの独白などは妙にリアリティがあり、人間関係の構築が下手・疎遠になっている現代社会のなかではジュディ・デンチのような思考も多少は共感できるのではないだろうか。
一方の完璧なまでの美しさを備えたシーバは、優しい夫、2人の子供に恵まれ、一見するとなに不自由しない生活を送っているようだったが、そのような現状を電車とホームの間にある、埋めようのない隙間と形容し、15歳の少年と関係をもってしまう。
本作のケイト・ブランシェットは劇中でも表現されているようにまさに妖精そのもの。透明感というべきか無垢で魅力溢れる様子、しぐさを上手にフィルムに焼き付けたなという印象。そのために怒りの感情をぶつけるラストでのギャップがより際立って見えるようになっているのだ。
今作でジュディ・デンチがアカデミー主演女優賞に、ケイト・ブランシェットが助演女優賞にそれぞれノミネートされた。2人の大女優による、キャリアやプライドを交えた演技対決を観るだけでも十分に楽めるだろう。
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バベル ★★★007/カジノ・ロワイヤル ★★★★
どちらの女性の気持ちもわかります。
孤独というキーワードから生まれる闇も・・・☆