ピアニスト ピアニスト
イザベル・ユペール、ブノワ・マジメル 他 (2003/12/05)
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 「私には感情がないの覚えておいて あるとしても知性が必ず勝る」このような傲慢な台詞を吐き捨てるピアノ教師が、実はポルノショップに通っていたり他人のセックスを覗き悶える...その特異な性癖と想像を超える展開にはショックさえ覚えてしまった。

 厳格な母親の存在、抑圧されている家庭環境が彼女の内面を歪めたのはおおよそ理解できる。ただそのような描写をストレートに表現するあたり、ミヒャエル・ハネケ監督らしさが存分にでているなと感じた。前作「ファニーゲーム」に続き人間の生理的な不快感を追求し続けているようだった。

 ピアノの生徒に対しては厳しく叱りつける、サディスト的な一面を見せておいて、若い青年に感情が芽生えると思い切り殴れ縛れなど、深層ではマゾヒストというキャラクター設定も面白い。縄や鎖といった道具をベットの下からそそくさと差し出すシーンなどはもはや笑うところだろう。

 それでも今作はコメディではなく質の高いドラマである。笑いともシリアスとも受け止められる、薄い氷の上を上手に誘導できたのはやはり監督の手腕だ。狂気のなかで悶え続けるピアノ教師に、かすかな希望さえ残さない展開には悪意さえ感じるが、妖しくも哀しげな光を本作は放っており、それをどうにも無視できないのである。


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テーマ:映画感想
ジャンル:映画
コメント
 「ピアニスト」は衝撃的な作品でした。何故に、このような映画を作るのだろうかという疑問すらわいてきました。全く救済が無いにもかかわらず、嫌悪感がないのです。凝視してしまいました。この主人公が「女」であるというのは同性として「痛さ」すら感じます。観るのを薦められないが、心に残ってしまいました。ビデオ屋でパッケ-ジを見るたびに、ため息をついてしまいます。主演のイザベル・ユベ-ルの勇気に賞賛を送りたいと思います。
2007/08/10(Fri) 01:09 | URL | パタリロ | 【編集
コメントありがとうございます。
本当に衝撃的でしたよね。
痛いシーンがあってそれが頭から離れない、
パタリロさんと同じくパッケージを観るたびに
そのイメージが甦ります。それでもふとした時に
観たくなったりして...
それでも人には薦めにくいですね。
逆にパタリロさんのように鑑賞している人に出会う
と嬉しくなります。
今後ともよろしくお願いします!!
2007/08/10(Fri) 19:52 | URL | >パタリロさんへ | 【編集
こちらこそよろしくお願いいたします。私のほうこそ「ピアニスト」をここまで、理解されている男の方がいらっしゃるとは、嬉しい驚きでした。ヨ-ロッパでこそ作れたのでしょうね。
2007/08/13(Mon) 16:57 | URL | パタリロ | 【編集
「ピアニスト」を観てから、ミヒャエル・ハネケ監督にさらに興味を持ちました。問題作と言われてますが、こういう表現をする監督がいても面白いと思います。たしかにヨーロッパならではですね。
2007/08/14(Tue) 11:05 | URL | >パタリロさんへ | 【編集
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