「フィクション」と「ノンフィクション」と題された2部構成で展開される「ストーリーテリング」。面白いのは80年代と2000年を舞台にしたことで、それぞれの時代での世相を反映した風刺や人間模様がブラックに描かれていることだ。それぞれの話に主人公が居て、それぞれの結末を迎えることになるのだ。
「黒人を差別してはいけない」と自分に言い聞かせ、SM好きな黒人教授の言いなりになり、身体を捧げてしまう白人女子大学生。80年代のアメリカでの出来事を虚構(フィクション)と題して描く。
家庭環境は中流かそれよりも上、経済的に裕福で豊かだが無気力で落ちこぼれの高校生。アッパーミドルの典型的な家庭の様子を現実(ノンフィクション)と題して描く。
劇中内に凝縮されたアメリカ社会への皮肉、世間では黙殺されタブーとされている事柄を、およそ90分に詰め込んだ勢いが素直にすごい。低俗なのか真摯なのか、笑えるか笑えないか、微妙でデリケートな台詞や描写をどう捉えるか、そこは鑑賞者の判断だ。
個人的には手放しに笑ってしまったのだが、この笑うという行為自体、自分自身(鑑賞者)を冷笑していることであり、あまりに窮屈で理不尽な世の中を、ブラックユーモで埋め尽くした監督トッド・ソロンズの狙いそのものなのだろう。好き嫌いがはっきりと分かれ、問題視される映画。実現は難しいが、日本の現状をユーモアにまとめた「ストーリーテリング」のような邦画がひとつくらいあってもいいように思った。
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