大いなる陰謀 ★★



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 トム・クルーズが自分の部屋から一歩も外に出ない映画。他の作品で激しく走り回る彼が、政治家(共和党の上院議員)を演じ、会話のみの出演となるのは珍しいことだ。「大いなる陰謀」はロバート・レッドフォード、メリル・ストリープ、トム・クルーズのハリウッド3大スター共演が話題となっているが、そのほとんどが密室劇で、3人全員が交わるということでもない。

 アフガンで繰り広げる新たな作戦・戦略を軸に、政治家とマスコミ、大学教授と生徒、作戦を遂行している兵士の3つの場所が舞台となり、同時刻で話が展開される。まったく関係のないように見える、個々のエピソードが次第に繋がっていく構成は「バベル」を思い出させた。




*****以下、ネタばれ注意*****




 同時刻・国を跨ぐ物語はスケールの大きさを感じるが、場所が点在し会話がほどよい部分で移り変わるせいか、感動やメッセージ性が散漫となっている。新たな驚きや緊迫した展開もなく、メリル・ストリープを除いては演技の見せ場もそれほどない。若い兵士2名が銃弾を浴びる場面でも、壮大な音楽・スローモーション・フラッシュバックと演出も手垢のついたものだった。

 「大いなる陰謀」という邦題も意味もなくミスリードを誘う。陰謀とあるせいで、ロバート・レッドフォードとトム・クルーズが裏で繋がっているのか、と予想するが共謀していることもない。政治的な娯楽要素の強いサスペンスを期待して劇場に足を運ぶと、肩を落とす結果となるだろう。原題の「Lions for Lambs」の方が作品の中身を端的に示している。

 アメリカの現状、戦争への政策、マスコミの情報操作、若者への教育・将来・無関心さを危惧するロバート・レッドフォードの熱意も分からなくはない。ただ、それを伝えるための踏み込みや語り方が圧倒的に足りなかったように思える。


■関連作品■
Mi : 3 ★★★
宇宙戦争 ★★★
コラテラル ★★★★
ザ・エージェント ★★★
プラダを着た悪魔 ★★★★

[ 2008/04/22 00:00 ] 戦争・歴史 | TB(0) | CM(2)

パンズ・ラビリンス ★★★

パンズ・ラビリンス 通常版パンズ・ラビリンス 通常版
(2008/03/26)
イバナ・バケロ セルジ・ロペス マリベル・ベルドゥ ダグ・ジョーンズ

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 戦争やファシズムを題材にした映画は数多くあるが、子供の目線から語るというのはそうない。それに付け加えて劇中では、少女オフェリアの精神世界をも描いており、世間ではダークファンタジーと称されている異色の作品だ。




*****以下、ネタばれ注意*****




 幼い少女が思い描く世界というのは、それは色彩に富んだ華やかなイメージを連想させるがパンズ・ラビリンスは限りなく暗い。洞窟や地下室が舞台であり、虫が這いずり回り奇妙なクリーチャーが潜む光景が広がるのだ。しかしそのようなダークな世界以上に醜いのが現実の世界である。スペイン内戦下の独裁政治に感化された、ビダル大尉の歪んだ思想・言動はまさしく恐怖・脅威であった。


パンズ・ラビリンス DVD-BOXパンズ・ラビリンス DVD-BOX
(2008/03/26)
イバナ・バケロ、ダグ・ジョーンズ 他

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 この現実世界とファンタジーの世界との対比・対等関係が今作の脚本の巧いところだ。オフェリアは醜い現実から逃避するためにパンズ・ラビリンスを創り上げたのではなく、現実と対峙するために醜い世界を創り上げたのであり、自らに課した3つの試練は最終的には他者を守るという行動に繋がっていく。

 重くネガティブな作品にも捉えられるが、一握の希望を信じながら前へ進んでいくオフェリアの姿には胸うたれるものがあった。最後は死というこの上ない結末を迎えてしまうものの、暗い画が連続で続いていた作品中で、唯一煌びやかに映ったラストの景観は忘れることはできない。賛否はあるかと思うが、個人的には最高のエンディングであり、この美しさと哀しさの感情の共存・混同こそ、戦争の凄惨を際立たせる唯一の奇策だったのだろう。


[ 2008/03/29 00:00 ] 戦争・歴史 | TB(1) | CM(26)

ナショナル・トレジャー ★★★

ナショナル・トレジャー 特別版ナショナル・トレジャー 特別版
(2006/07/07)
ニコラス・ケイジ、ジョン・ボイド 他

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 ジェリー・ブラッカイマー製作という見出し、彼のプロデュースする作品はスケールが大きくて派手なものがほとんどである。「アルマゲドン」「パイレーツ・オブ・カリビアン」等々、巨大ハリウッド資本を携えたビッグバジェットムービーのオンパレードだ。それに比べると「ナショナル・トレジャー」はなんとも地味で堅実なものであった。秘密結社フリーメイソンにより守られた秘宝、独立宣言書に隠された謎を解くというストーリーラインで構成されたものだが、爆発シーンが1シーンであったり、ディズニー配給が影響しているせいもあってか、キャラクターの味付けや演出もなんとも汎用的なものばかりで驚く。

 謎ときものと言えば、最近では「ダ・ヴィンチ・コード」を思い出すが、向こうがヨーロッパを舞台にして現実から少し離れた位置に探し物があるのに対して、今作はアメリカの紙幣や国立公文書館、独立記念館、フランクリン博物館とアメリカ内の身近な観光地が物語の舞台であり、宝の在り処なのである。そのためそこに住んでいる人は場所の意外性に興味は一層深まる、それに詳しくない国外の人はなんとなく傍観するしかない。製作地であるアメリカとそれ以外の場所では、楽しみ方や印象がどうしても変わってしまうだろう。

 アドベンチャーものによくある、逃げ役に徹する主人公をニコラス・ケイジ、宝を追う役に徹するのがショーン・ビーンだ。ある場所に行く→手掛かり→次の場所→手掛かり→次の場所を延々と繰り返す、地味な構成ながらCGや爆発に溢れた現在ハリウッドのなかでは逆に新鮮で面白かったりする。宝の場所を示す地図や地下道での松明など、ニコラス・ケイジが演じたベン・ゲイツは正に現代世界に生きるインディ・ジョーンズそのものだ。


■関連作品■
ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記 ★★
パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールドエンド ★★★
トロイ ★★★★


[ 2007/12/01 00:01 ] 戦争・歴史 | TB(0) | CM(2)
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