「88ミニッツ」は主演のアル・パチーノをはじめウィリアム・フォーサイスやエイミー・ブレネマン、若手俳優のリーリー・ソビエスキーと演技も素晴らしく、面白い俳優陣が揃った作品である。しかしこれらの旨味を打ち消す、脚本や演出の連続だったなという印象をうけた。
*****以下、ネタばれ注意*****
今作は「おまえの命はあと88分−」という脅迫電話以降、ほぼ残り時間通りに物語が展開されるリアルタイムサスペンスだ。その特徴からテレビドラマの「24」を連想させ、素早いテンポや臨場感を煽るカメラワークはそれと似ている。問題はその技法にアル・パチーノがはまっていないということだ。FBI異常犯罪分析医の彼が過去のトラウマを抱きつつ、真犯人を捜していくのだが、キャラクター像を深める時間がほとんどなく指令を受けて移動する駒と化している。
それが顕著に表れているのが携帯電話を使いすぎているということ、人間を相手に葛藤するのではなく、あらゆる情報が電話越しにくるために面白味に欠けるのだ。ストーリー展開にしてもあまりに万能のツールとなっており、また部下をはじめとする主人公の周囲の人間が効率よく動きすぎているのも、リアリティを削ぐものだった。
アル・パチーノはやはり、どしりと構えてそこから激昂するときの緩急や溜めが魅力なのではないだろうか。その瞬間のみを魅せる、アクションスターではないため本作のプロットは合っていないように思える。「オーシャンズ13」を除いて近年は「リクルート」「シモーヌ」などこれといったヒット作がない。彼本来の味がだせる企画や映画と巡りあってほしいものだ。
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ヒート ★★★★オーシャンズ13 ★★★ロード・キラー ★★★アイズ・ワイド・シャット ★★