メッセージ ★★★★


メッセージ [Blu-ray]


記憶には感情が伴う


 甘い経験、苦い思い出、などと言われるように、記憶には感情が伴う。記憶に感情が伴うことで、素晴らしい体験を繰り返したいという思いや、過ちを繰り返したくないといった、心情が生まれてくるのだろう。成長や人生を豊かにするために欠かせない人間の本質である。




*****以下、ネタばれ注意*****




 主人公のルイーズはヘプタポッドの文字を理解するにつれて、未来が見えるようになる。おそらくはその未来の記憶にも感情が伴っているのだろう。だからこそ、イアンとの離婚や娘との死別といった、最も辛い出来事が先に分かっていてもその運命を受け入れたのだ。

 「メッセージ」はイントロダクションこそ、SF映画によくある異星人とのファーストコンタクトもの、全世界を巻き込むスケールの大きなものだが、物語はルイーズの主観で語られ、ごくごく個人的な内容であることが次第に明らかになる。冒頭とラストで流れる、マックス・リヒターの「On the Nature of Daylight」は安らかにその運命を暗示し、観客を感動に包んだ。かくいう私も、鑑賞後この曲がずっと頭から離れず、主人公の気持ちを何とか理解しようと想いを巡らせたものだ。

 物語の始まりが、1番先の未来=ラストというサプライズ。では何故、冒頭の大学の講義や日常生活において終始、ルイーズは怪訝そうな表情だったのか(笑)ミスリードへと上手に誘導したエイミー・アダムスの演技はさすがである。

 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の前作「ボーダーライン」では国境検閲所での舐めるような空撮ショットが印象的だったが、「メッセージ」もヘリコプターで宇宙船へと向かうシーンが同じように鮮烈だった。大渋滞した禁止区域を越えると、山肌から雲が流れ、その白い雲の間にぬっと現れた未知の物体がなんとも美しく不気味。そこで流れるスコア「Arrival」の影響もあり、好奇心と歪な不安が同居した屈指の名シーンといえる。この場面が上手いのは、一般人はそのエリアに入れないこと、宇宙船の大きさ、宇宙船と作戦基地の距離間といった情報を言葉ではなく、1ショットの映像で見せていることだ。


■■関連作品■■
バットマンVSスーパーマン/ジャスティスの誕生 ★★
キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー ★★★
ハート・ロッカー ★★★

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス ★★


ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]


自分ってのは身勝手な人間でして...


 前作が期待以上に良かったせいか、こうあってほしい、こうあるべき「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」像も勝手に肥大化していったように思う。かくなる自分もその1人で続編へのハードルがあがり過ぎていたせいか、リミックス(原題:Vol.2)は正直あまり乗れなかったのである。では周りはどうかと言えば、あらゆる媒体で”前作以上””MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)において最高傑作””スター・ウォーズと並ぶスペースオペラ”などの文字列が踊っており、自分との温度差に焦るくらいだ。

 なぜこのような乖離が起こるのか??要は求めていたものや好みの問題である。今作の物語のメイン軸はスター・ロードと父親エゴとの再会から起こるひと騒動で、中盤以降の展開がメロー過ぎており、突き抜けた明朗さが失われてように思うのだ。監督のインタビューからも想像できるが、ストーリー主軸のキャラクターというよりはキャラクター掘り下げの為のストーリーを目指していたのだろう。シリーズを通じての世界観やアイテムを転がすより、既存キャラクターの魅力や内面に注力したのがリミックスだといえる。




*****以下、ネタばれ注意*****




 父子の関係はスター・ウォーズで観ていたし、そのネタを2作目でやるかと若干辟易しながらも、選ばれた者のスーパー能力をあっさりと否定するのがガーディアンズらしく、その辺りはホッとしてみたり。ドラックスとマンティスのやりとりやジョークがくどく思えたり。血縁関係の近しい者同士の摩擦、克服・成長から起こる感動。自分ってのは身勝手な人間でして、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」ではもっと分かり易いアクション活劇を求めているのだ。軽いノリの冒険後に訪れるちょっとした感動くらいが丁度いい、本当に自分はわがままである。

 今作で母親から貰ったSONYのウォークマンを、父親エゴによって壊される衝撃の展開があった。しかしラストでZuneをゲット。何故、ipodではないのか、利権やなにかの問題なのかと勘繰りながら300曲近くをダウンロードできるという台詞から、次作では90年代や00年代のポップスが登場するのか??自身の家系による呪縛から解放されたスター・ロードと共に明快な冒険に期待したい。


■■関連作品■■
キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー ★★★
007/スペクター ★★

レヴェナント/蘇えりし者 ★★★


レヴェナント:蘇えりし者(2枚組)[4K ULTRA HD + Blu-ray]


フラットな気持ちで作品を鑑賞できるか。


 レオナルド・ディカプリオの物語にも見える。これまでアカデミー賞に4度ノミネートされながら、オスカー像を手にすることができなかった彼は、いよいよ自らを極限状態にまで追い詰める。死の淵からの生還を、大自然と共に本能のままスクリーンに投影したのだ。時に生魚・生肉を貪り、裸体で馬の体内に入り込む等々…「体を張る」という表現を超え「演技」を超え、生きるために無意識に動く瞬間を映像に残した、そんな印象だった。

 しかし正直に言えば、「悲願のアカデミー賞主演男優賞なるか!?」という映画とはかけ離れた外部要因が、時にヒュー・グラスをディカプリオに見せてしまったと思えなくもない。どんなに過酷な撮影をしようが、生肉を喰らおうが、「全てはオスカーのため」と見えてしまっては意味がない。勿論、本人もそのつもりは毛頭ないだろうが、そのようなことが劇中、頭をよぎったのも事実である。

 そのような意味では、フィッツジェラルドを演じたトム・ハーディの方が自然体で違和感なくキャラクターに没入できていたように思えた。どのような振る舞いをしても「オスカーのため」と捉えられてしまうのは、若い頃より常に第一線で注目されたハリウッドスターならではの苦労だと思う。しかし私はこうも思った。「レヴェナント/蘇えりし者」により、ついにアカデミー主演男優賞に輝いたレオナルド・ディカプリオは自らに纏わりついた足枷をようやく外せるのでは、ということだ。

 本人も観客も余計な雑念やプレッシャーがなくなり、作品選びを含め次回作以降こそがレオナルド・ディカプリオの自由な演技が観れるのではないだろうか。「レヴェナント」は自然と共生し死の淵から甦る男の物語だった。それに準えて今後の彼の活躍が心から楽しみである。


■■関連作品■■
バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) ★★★★
インセプション ★★★★
ウルフ・オブ・ウォールストリート ★★
ブラッド・ダイアモンド ★★★


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