シン・ゴジラ ★★★★


シン・ゴジラ Blu-ray特別版3枚組



日本映画を不信していた自分を恥じるほど…


 近年、邦画を観て、ここまで熱い気持ちになったのは久しぶりだった。2014年レジェンダリー・ピクチャーズが製作した、いわゆるハリウッド版ゴジラを観たときに、迫力の映像・ビジュアルに圧倒され「あぁ、もう日本でゴジラは作れないな」と思った。

 それ以前に、自分自身がどこか邦画を敬遠していたようにもある。「日本よ、これが映画だ。」、「アベンジャーズ」公開時の憎たらしい挑発的なキャッチコピーだが、それを完全には否定できず、ある部分で納得していたりもした。邦画を観たとしてもドラマやドキュメンタリー、まして大掛かりなアクションものやSF、ディザスター系はハリウッドの映像に遠く及ばず、鑑賞しても無駄であると鼻から決めつけていたのだ。

 そこにきての「シン・ゴジラ」である。面白い!!まずはハリウッド版のゴジラより面白く、さらに製作費が10分の1程度というから驚きだ。物語は3.11を体験した日本の現状を上手く絡めており、どのような困難な状況に陥っても皆で力を合わせ、知恵を出し合えばそれを乗り越えられる、と説いている。無論、東日本大震災からの復興もそうだが、私には日本の映画業界に「もっと自信を持っていこう!!」と庵野秀明総監督が檄を飛ばしているようにも観えたのだ。

 嬉しいのは、面白い映画をきちんと観客が評価し、興行収入を得たという点である。これにより、日本でも信念を持って映画製作に臨めば、ジャンルを選ばずビジネスとして成り立つことが証明された。特撮という日本のお家芸を不信していた自分が恥ずかしくなるほど「シン・ゴジラ」は我々にプライドを取り戻させた作品である。

 一部では石原さとみの存在や演技に難がでているようだが、ポリティカルな人物・言葉の波のなかにあのようなフィクション寄りのキャラクターが居ても良いのではないだろうか。すし詰めの群像劇に紛れる緩和剤であり、その存在がなければ今作のテンションを保つことが難しいように思えるが。


■■関連作品■■
GODZILLA/ゴジラ ★★★

ビットコイン / 夢と未来 ★★




ビットコイン 夢と未来 (字幕版)


インターネットで起きたゴールドラッシュ


 先頃話題になっていたビットコインについて知りたく、本を読むよりも分かり易いかなと思い鑑賞した。しかし本作はビットコインの仕組みや利用法よりも、ビットコインに着眼しそれをビジネスにしたベンチャー企業や個人の様子に多くの時間を割いている。序盤に簡単なイントロダクションはあるものの、通貨発行にあたる発掘や価値が上下するといった、市場原理がよく分からないまま物語が進んでしまった。

 後にネットなどで仕組みを調べるもやはり複雑で、簡単に説明してもそれだけで90分が終わりそうではある。アニメでもよいのでこの辺りを上手に噛み砕いて説明するメディア媒体の登場に期待したいところ。

 2009年から運用開始となった新しい産業だけに、ベンチャー企業の広がりも目覚しい。朝から晩まで働き、次々に大きなオフィスへと引越す様子はアメリカンドリームを目指す、正にゴールドラッシュのよう。しかし、マウントゴックスがシステムの脆弱性を発端とし破綻したことや、インタビューを受けていた社長が法の枠組みの未整備により逮捕されるなど、物語の終盤はなかなかにドラマチックな展開をみせた。

 1度動き出したシステムは止まらない。上記の問題はビットコインを取り巻く環境下で起きた2次災害であり、ビットコインそのものは存続し続けている。最大のロマンは創設者のナカモト・サトシが誰なのか不明だということだ。世界の経済構造を変えるイノベーションとなるか後に廃れる仮想通貨一部か。ビットコインの動向はなんとも刺激的である。

デッドプール ★★★


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ヒーロー映画乱立時代に開花する毒花


 ここ数年、ハリウッドのビッグバジェット映画はアメコミヒーローものに占拠されていた。バットマンとスーパーマンが戦えば、同時期・同じ映画館でアイアンマンとキャプテン・アメリカが対決する、ひと昔では考え難い事態が巻き起こっている。

 私もヒーローものは嫌いではないので、ある程度は鑑賞しているものの、公開本数はインフラ気味だと思う。新たなヒーローが登場し、地球規模・宇宙規模の危機に陥りそれを救う、ヒーローは時として己の行動に悩み仲間と袂を分かつこともある…。このようなルーチンに食傷気味だった。

 このようなヒーロー映画乱立時代にこそ開花したのが「デッドプール」である。デッドプール最大の特徴は第四の壁を越えて観客に語りかけてくることだ。拷問中でも戦闘中でもお構いなし、赤いマスク姿の悪ガキは劇中とにかく喋る!!他のヒーローをディスり、自分の身内であるX-MENをディスり、現実世界の俳優をディスり、自らであるライアン・レイノルズを皮肉り、スタジオに対し予算が足りないと愚痴をこぼす。

 たしかに他の「バットマンVS~」「シビル・ウォー」に比べアクションの派手さはない。正義心もモラルもない。しかしながら、ただひとりの愛する女性の為だけに行動する姿に不覚にも感動してしまうのだ。

 結果、デッドプールはそこそこの製作費しか与えられなかったものの、興行収入は爆破的な大ヒットとなった。他のヒーロー映画にない要素が多く、それが新鮮に映ったこと、もっと言えばヒーロー映画が乱立している”現在”だからこそ、輝けた異端者ではないだろうか。乱立状態でなければB級映画として埋もれていた可能性が高い。
 
 映画の世界観を飛び越えて語りかける、ある種の反則技で一躍アメコミヒーローの人気者になったデッドプール。もちろん次回作の企画もあるようだが、予算を増やしたり、話の規模が大きくなったとき、この熱狂が持続するか非常に難しいように思える。キャラクターを理解しているライアン・レイノルズや今作のスタッフが携われば要らぬ心配事だろうか??三振かホームランか。終始喋りまくり落ち着きのないデッドプールのように、続編まで私自身もなんだか落ち着かない。


■関連作品■
リミット ★★★
X-MEN/ファースト・ジェネレーション ★★★

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