ゴッドファーザー ★★★★★

ゴッドファーザー PartI <デジタル・リストア版>ゴッドファーザー PartI <デジタル・リストア版>
(2008/10/03)
マーロン・ブランドアル・パチーノ

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 「ゴッドファーザー」が長年愛され続けている理由はマフィアの世界を題材としながらも、普遍の人間像を描いているところにある。裏世界が物語となるなかで、実にリアルな人々が行き交い、その間で発生する人間模様が自分自身の状況や、周りの社会・環境と合致するのだ。ある人は登場人物の誰かに自分を見い出し、組織を職場や社会に重ね、ファミリーを家族や友人に置き換えて、コルレオーネ家の行方をじっくりと堪能する。

 勿論、そのような刷り込みが発生するのは人物描写がきめ細かく、数多く登場するキャラクターの性格がその後の行動にぴたりと当てはまり、さらにその言動が然るべき結果を引き起こすところにある。実社会では当たり前の因果・結果なのだが、これほど複雑な相関関係を映画のプロットで表現することは実に困難なことだ。「ゴッドファーザー」では、そのことが、美術・音楽・編集・俳優…と全ての要素で完璧に交わっており、魅力に溢れたキャラクター達から何かを汲み取ろうとする意欲が何度も鑑賞する要因となっているのだ。




*****以下、ネタばれ注意*****





ゴッドファーザー コッポラ・リストレーション ブルーレイBOX (Blu-ray Disc)ゴッドファーザー コッポラ・リストレーション ブルーレイBOX (Blu-ray Disc)
(2008/10/03)
マーロン・ブランドアル・パチーノ

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 「I believe in America」世界一有名なオープニングから始まり、ドン・コルネオーネ襲撃、マイケルの結婚、ソニー殺害、アポロニアの死、5大ファミリー殺害(バルジーニ、タッタリア、モー・グリーン、ストラキ、クネオ)と怒涛のごとく見せ場が押し寄せる。そのなかでも特に印象に残ったのはレストランでの、ソロッツオとマクラスキー殺害シーンだ。マイケルがマフィアの世界へと一線を越える重要な場面だが、普段は冷静な彼が見せる動揺と眼の動き、高架列車の車輪のきしむ音が最大限の緊張感を与えている。物語の冒頭とラストでは、眼つきやしぐさががらりと変わるマイケル。アル・パチーノの演技は見事であり、何故アカデミー賞を受賞できなかったのか未だに疑問に思うほどだ。

 「ゴッドファーザー」が175分、「ゴッドファーザーPART2」が200分。併せて6時間近くあるが時間の代償を全く感じさせず、むしろこの作品から学ぶべきことは多い。全ての要素を完璧に仕上げた「ゴッドファーザー」は、正に不朽の名作といえる。


■関連作品■
ゴッドファーザー Part3 ★★★
ヒート ★★★★
オーシャンズ13 ★★★
88ミニッツ ★
ラッキー・ユー ★★★

4ヶ月、3週と2日 ★★★

4ヶ月、3週と2日 デラックス版4ヶ月、3週と2日 デラックス版
(2008/09/10)
アナマリア・マリンカローラ・ヴァシリウ

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 「4ヶ月、3週と2日」は2007年度、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを獲得した作品だ。パルム・ドールはその年の審査委員長によって大賞になる映画のトーンが異なるため、鑑賞するのが楽しみでもある。今作はヒューマンドラマなのだが、これまであまり触れることのなかったテーマ選びと緊張感を持続させる演出が特に素晴らしかった。

 劇中には大きく分けて3つのストレスが存在したのだが、作品を嫌悪するストレスではなく物語性を高める要因としてそれらが上手に機能していた。以下、そのストレスを挙げてみる。

1.目的や展開が見えにくい
 今回、内容に関して一切の情報を断ち鑑賞したのだが、冒頭からしばらくしても映画のテーマが全く分からなかった。35分が経過した辺りで核心に迫るキーワードが登場。物語の輪郭が見えてくるのだがその後の展開も読めないため、最後まで飽きることなく集中して鑑賞できる。起承転結や時間配分が読めない構成である。




*****以下、ネタばれ注意*****




2.見えないという恐怖、見せすぎない演出
 今作の登場人物は主人公とルームメイトの2人を中心に展開され、キャラクターの数はそれほど多くはない。ほとんどが主人公の視点で描かれるのだが、なにか重要な出来事がおきると視点が入れ替わり、そのシーンは見せずその後に結果が分かるというハパターンが確立されていた。それはトイレの壁であったり、電話であったりと、一定の隔たりを設けることで見せない恐怖心を煽っている。長回しの1ショットが多いのだが、なかでも誕生日パーティーの長回しが印象深い。他愛もない会話のなかでの主人公の動揺。そこに居ながらにして、会話に集中できないという、日常にある事象を見事に表現していた。


麦の穂をゆらす風 プレミアム・エディション麦の穂をゆらす風 プレミアム・エディション
(2007/04/25)
キリアン・マーフィーポードリック・ディレーニー

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3.誰とも交われない主人公
 物語の軸に中絶があり、ルーメイトのガビツァを助けるため主人公のオティリアが様々な行動にでる。鑑賞したほとんどの人が感じるのは、助けられたガビツァの態度だ。彼女は自分が堕胎したにも関わらず、どこか他人行儀でありオティリアにも素っ気無い素振りを見せていた。堕ろした胎児をダスターシュートに投げ入れる間の沈黙と音。暗闇に響き渡った鈍い音が頭から離れなかった。友人を助けるために法を犯し、生命を捨てる行為を全うするが誰とも交われないオティリア。彼女の孤独はラストシーンの表情で読み取れる。

 以上のように作品からうけたストレスは物語のテーマを深く心に刻む要因に、そして社会が抱える様々な問題点に直結するように仕組まれている。貞操観念の崩壊や性の若年化が進むならば、今作を鑑賞することが最大限の抑止力になるのではと思うほどの衝撃だ。中絶代金を払えず、足りない分の見返りとして医者に身体を許す女性、これほどブラックな味付けのジレンマもそうあるものではない。


[ 2008/09/17 00:00 ] ヒューマンドラマ | TB(0) | CM(0)

ウォンテッド ★★

Wanted [Original Motion Picture Soundtrack]Wanted [Original Motion Picture Soundtrack]
(2008/06/24)
Ann Atkinson、

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 "銃弾の弾道を曲げる"という演出は、2003年公開「リベリオン」のガン=カタ以来の衝撃であった。拳銃を構えテニスラケットのようにスイングしながら発砲すると、銃弾の弾道が曲がるのだ。「マトリックス」での銃弾の軌道をCGで表現する画に、湾曲の動きを加えた大変ユニークなアクションである。現実的にはあり得ない事象で突っ込みたくなるが「ウォンテッド」という作品自体グラフィックノベルが原作であり、そのせいもあってか突っ込み所が満載の内容であった。




*****以下、ネタばれ注意*****




 最大の突っ込み箇所は「1を倒して1000を救う」と謳いながら、電車のシーンでは次々と一般市民を巻き込んでおり、1000を救う前に1000を殺していそうな勢いだなと思ったことだ。また、冒頭のビルのガラスを突き破って水平に飛んだ男の力はなんだったのだろうか??銃弾を曲げるよりも急加速で空を飛ぶスキルを磨いた方が最強に近い気もするのだがよく分からない…??ハエの羽を撃ち落したり、紡績機を使った修行だったり、B級と思える要素は多い。細かな部分は突っ込まずに笑い飛ばせなければ今作は楽しめないだろう。

 「ウォンテッド」はR-15指定だったが、その規制線通り血しぶきやバイオレンス描写が予想以上に激しいものだった。予告編に観れるスタイリッシュなアクションに加え、生々しい血みどろの戦いや、ネズミ爆弾など際どいシーンがあるため、この辺りの好みも人によって分かれそうだ。


トゥームレイダー1&2ツインパック 「ウォンテッド」公開記念スペシャル・プライス版トゥームレイダー1&2ツインパック 「ウォンテッド」公開記念スペシャル・プライス版
(2008/09/10)
アンジェリーナ・ジョリーノア・テイラー

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 以上のような描写はロシア人監督ティムール・ベクマンベトフによるものである。ロシア版マトリックスと言われた「ナイトウォッチ」「デイ・ウォッチ」が評価をうけ、今作で初のハリウッド進出となったのだが、おそらく彼は瞬間的な画を撮るのに長けているのだろう。スローモーションやCGを駆使しインパクトのある場面がいくつかあるのだが、そのことが先行し過ぎて前後の物語に無理が生じている。物語にあるアクションではなく、アクションのための物語となっている印象だ。そのため電車を使用する必然性の無さや唐突な場面転換などの粗が目立ってしまう。アクションに対する情熱は強いため、なんとも惜しい出来である。

 アンジェリーナ・ジョリーが死にモーガン・フリーマンも死ぬ。ハリウッドの定石を外すオチではあるが、今作のヒットにより続編を製作中とのことである。主要キャストが存在しないなか、どのような展開になるのか、ジェームズ・マカヴォイと併せて今後に注目していきたい。


■関連作品■
Mr.&Mrs. スミス ★★
ダークナイト ★★★★★
バットマン ビギンズ ★★★★
宇宙戦争 ★★★

[ 2008/09/14 00:00 ] アクション | TB(0) | CM(0)
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